異世界転生チートクソ野郎を原住民がぶちのめす~ただそれだけの物語~
恐れていた結末
『“大地の檻”!』
ミツルから不穏な気配を感じ取ったらしい精霊が、先んじて魔法を解き放つ。
その効果が一瞬で発現し、ミツルの足元が消失した。
その部分だけ大地を陥没させ、即席の落とし穴にしたのだ。
魔法の働きは、それだけに留まらず、落下していくミツルの体に向かって、土の棘が前後左右から襲いかかる。
しかし、その棘がミツルの体を貫くことは無かった。
それどころか、体の表面に纏った魔力の鎧すら突破できていない。
そして、ソフィーは魔力の流れを読み取ることで、二人の攻防を正確に把握していた。
「精霊さん……どうか、ご無事で……」
祈ることしか出来ない無力な自分が嫌になる。
しかし、それでも無駄死にはしないと自分で決めたのだ。
目的を果たすまで、倒れる訳にはいかないと。
そして、そんなソフィーの苦悩を嘲笑うかのようにミツルが動く。
「危ないなぁ。僕が防がなかったら死んでたよ? まだ何にもしてないのにさ。ってことで、これは正当防衛だよね!」
風の魔法で穴から素早く脱出したミツルが、炎と雷の魔法で反撃する。
しかし、精霊も一瞬で土の防壁を築いて、嵐のように放たれる魔法を捌いていく。
今の所、戦いの均衡は五分五分で保たれていた。
『それは申し訳ありませんね。ですが、殺されてから動くことは出来ないもので。先手を取らせて頂きました。それに、今からでも遅くはありませんよ? あなたが大人しく去るなら追撃はしません』
「ははっ。襲ってきた相手の事なんて信じられないね。けど、今からでも遅くないっていうのは君も同じだよ? 大人しく僕と契約するなら生かしておいてあげる」
『……どこまでいっても平行線ですね。仕方ありません。殺生は好みではありませんが、この地の平穏のため、あなたには死んで頂きます』
「そう? じゃあ、こっちも遠慮なく。……“宵闇の帳”」
『っ!?』
炎と雷を継続させたまま、第3の魔法を展開するミツル。
それにより生じた漆黒の布が、精霊の体を包み込んだ。
必死に藻掻いて逃れようとする精霊だが、その布に実体は無いようで、なんの影響も与えられていない。
そして、その動きが少しずつ鈍くなり、やがて精霊は完全に沈黙した。
「いやぁ、魔法の展開スピードと精度は悪くなかったけど、扱う魔力の量と質が致命的に足りないね。特に量が少なすぎる。今の短い戦闘だけで全体の1割くらいは消費したんじゃない? 僕は0.01%すら使ってないのに。……いや、これも僕の方が特別なのか。ははっ、この世界で僕が魔力を使い切ることは無いかもね。さしずめ【無限の魔力】って所かな?」
一人で勝手に盛り上がって頷いているミツルには目を向けず、ソフィーは倒れた精霊の未来をひたすら案じていた。
ミツルから不穏な気配を感じ取ったらしい精霊が、先んじて魔法を解き放つ。
その効果が一瞬で発現し、ミツルの足元が消失した。
その部分だけ大地を陥没させ、即席の落とし穴にしたのだ。
魔法の働きは、それだけに留まらず、落下していくミツルの体に向かって、土の棘が前後左右から襲いかかる。
しかし、その棘がミツルの体を貫くことは無かった。
それどころか、体の表面に纏った魔力の鎧すら突破できていない。
そして、ソフィーは魔力の流れを読み取ることで、二人の攻防を正確に把握していた。
「精霊さん……どうか、ご無事で……」
祈ることしか出来ない無力な自分が嫌になる。
しかし、それでも無駄死にはしないと自分で決めたのだ。
目的を果たすまで、倒れる訳にはいかないと。
そして、そんなソフィーの苦悩を嘲笑うかのようにミツルが動く。
「危ないなぁ。僕が防がなかったら死んでたよ? まだ何にもしてないのにさ。ってことで、これは正当防衛だよね!」
風の魔法で穴から素早く脱出したミツルが、炎と雷の魔法で反撃する。
しかし、精霊も一瞬で土の防壁を築いて、嵐のように放たれる魔法を捌いていく。
今の所、戦いの均衡は五分五分で保たれていた。
『それは申し訳ありませんね。ですが、殺されてから動くことは出来ないもので。先手を取らせて頂きました。それに、今からでも遅くはありませんよ? あなたが大人しく去るなら追撃はしません』
「ははっ。襲ってきた相手の事なんて信じられないね。けど、今からでも遅くないっていうのは君も同じだよ? 大人しく僕と契約するなら生かしておいてあげる」
『……どこまでいっても平行線ですね。仕方ありません。殺生は好みではありませんが、この地の平穏のため、あなたには死んで頂きます』
「そう? じゃあ、こっちも遠慮なく。……“宵闇の帳”」
『っ!?』
炎と雷を継続させたまま、第3の魔法を展開するミツル。
それにより生じた漆黒の布が、精霊の体を包み込んだ。
必死に藻掻いて逃れようとする精霊だが、その布に実体は無いようで、なんの影響も与えられていない。
そして、その動きが少しずつ鈍くなり、やがて精霊は完全に沈黙した。
「いやぁ、魔法の展開スピードと精度は悪くなかったけど、扱う魔力の量と質が致命的に足りないね。特に量が少なすぎる。今の短い戦闘だけで全体の1割くらいは消費したんじゃない? 僕は0.01%すら使ってないのに。……いや、これも僕の方が特別なのか。ははっ、この世界で僕が魔力を使い切ることは無いかもね。さしずめ【無限の魔力】って所かな?」
一人で勝手に盛り上がって頷いているミツルには目を向けず、ソフィーは倒れた精霊の未来をひたすら案じていた。
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