異世界転生チートクソ野郎を原住民がぶちのめす~ただそれだけの物語~
新たな力
「精霊?」
「へぇ。こっちの世界にゃあ人間よりも魔法に秀でた“精霊”って存在がいるんですよ。なんでも、そいつらと契約すりゃあ、必要な時に好きな魔法を使って貰えるとか。人前には滅多に姿を見せねぇもんで、あっしも詳しい事は知らねぇんですがね?」
ミツルの凶行により、一つの遺跡と九人の命が失われて、はや数日。
とある夜の酒場に、いかにも胡散臭そうな男と密談するミツルの姿があった。
「……嫌な予感がしますね」
そして、彼らの会話を盗み聞きする影が、店内に一つ。
その正体は、イブキ達のパーティーで最も隠密に長けたソフィーである。
タヌキのような耳と尻尾がピクピクと揺れているが、本人は会話に意識を向けているため、全く気付いていない。
まぁ、魔法で姿や気配を絶っているので問題ないが。
ちなみに、他の三人は店外から見張っている。
「確かに、そんな存在なら僕の新たな力になってくれそうだ。いくら僕が(この世界では)優秀だからって、一人で出来る事には限界があるし。かといって、人間だと足手まといにしかならないだろうからね」
どうやら、ミツルは、あれだけの力を持ちながら、まだ力を求めているらしい。
そこで、あの怪しげな情報屋を訪ねたようだ。
前世で虐げられた反動で、力に過剰な執着を抱くようになったのか、あるいは単に身の安全を盤石なものにしたいのか。
動機については推測の域を出ないが、どちらにしろ、ソフィー達にとって歓迎できる事態ではない。
ただでさえ厄介な戦闘能力を持っているのに、精霊との契約を許せば更に危険度が跳ね上がってしまう。
とはいえ、接触を避けている以上、出来ることは限られる。
こちらの存在を気取られるくらい派手に動いてしまえば、それだけで全滅の危険があるからだ。
ソフィーは、歯痒い思いを抱えつつも話の進行を見守るしかなかった。
「ただ、さっきも言ったように、精霊は見つけるのが至難の業でしてね。当てもなく闇雲に探し回った所で、何年掛かるか分かったもんじゃありやせん。……けど、お客さんは運がいい。ちょうど、この街の近くの山に居るらしいんですよ、精霊が。どうやら訳ありみたいでねぇ。山頂付近の小屋から離れようとしないそうで。その精霊に詳しい夫婦が、この近所に住んでるみたいなんで、気になるなら話を聞きに行ってみたらどうです?」
「ありがとう。助かったよ。情報料は、これくらいで足りるかな?」
何枚かの硬貨を懐から取り出し、男に握らせるミツル。
二人の手で隠れて良く見えなかったが、情報屋の笑みを見る限り、それなりの大金を渡したらしい。
「へぇ。充分でさぁ! ウヒヒッ、良ければ、これからも御贔屓に。旦那なら、いつでも歓迎しますぜ?」
「考えておくよ」
最後にミツルは、にっこり笑って、店を後にした。
「へぇ。こっちの世界にゃあ人間よりも魔法に秀でた“精霊”って存在がいるんですよ。なんでも、そいつらと契約すりゃあ、必要な時に好きな魔法を使って貰えるとか。人前には滅多に姿を見せねぇもんで、あっしも詳しい事は知らねぇんですがね?」
ミツルの凶行により、一つの遺跡と九人の命が失われて、はや数日。
とある夜の酒場に、いかにも胡散臭そうな男と密談するミツルの姿があった。
「……嫌な予感がしますね」
そして、彼らの会話を盗み聞きする影が、店内に一つ。
その正体は、イブキ達のパーティーで最も隠密に長けたソフィーである。
タヌキのような耳と尻尾がピクピクと揺れているが、本人は会話に意識を向けているため、全く気付いていない。
まぁ、魔法で姿や気配を絶っているので問題ないが。
ちなみに、他の三人は店外から見張っている。
「確かに、そんな存在なら僕の新たな力になってくれそうだ。いくら僕が(この世界では)優秀だからって、一人で出来る事には限界があるし。かといって、人間だと足手まといにしかならないだろうからね」
どうやら、ミツルは、あれだけの力を持ちながら、まだ力を求めているらしい。
そこで、あの怪しげな情報屋を訪ねたようだ。
前世で虐げられた反動で、力に過剰な執着を抱くようになったのか、あるいは単に身の安全を盤石なものにしたいのか。
動機については推測の域を出ないが、どちらにしろ、ソフィー達にとって歓迎できる事態ではない。
ただでさえ厄介な戦闘能力を持っているのに、精霊との契約を許せば更に危険度が跳ね上がってしまう。
とはいえ、接触を避けている以上、出来ることは限られる。
こちらの存在を気取られるくらい派手に動いてしまえば、それだけで全滅の危険があるからだ。
ソフィーは、歯痒い思いを抱えつつも話の進行を見守るしかなかった。
「ただ、さっきも言ったように、精霊は見つけるのが至難の業でしてね。当てもなく闇雲に探し回った所で、何年掛かるか分かったもんじゃありやせん。……けど、お客さんは運がいい。ちょうど、この街の近くの山に居るらしいんですよ、精霊が。どうやら訳ありみたいでねぇ。山頂付近の小屋から離れようとしないそうで。その精霊に詳しい夫婦が、この近所に住んでるみたいなんで、気になるなら話を聞きに行ってみたらどうです?」
「ありがとう。助かったよ。情報料は、これくらいで足りるかな?」
何枚かの硬貨を懐から取り出し、男に握らせるミツル。
二人の手で隠れて良く見えなかったが、情報屋の笑みを見る限り、それなりの大金を渡したらしい。
「へぇ。充分でさぁ! ウヒヒッ、良ければ、これからも御贔屓に。旦那なら、いつでも歓迎しますぜ?」
「考えておくよ」
最後にミツルは、にっこり笑って、店を後にした。
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