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アパートのとなりに引っ越して来た年上のお姉さんが美人でしかも巨乳だったけど、紳士でいたいからひたすら目を逸らしていたら『普通に見て良いよ』と言ってくれた

三葉 空

7 等身大

 彼女が出来たら、こんなことはしないと思ったけど。


「うっ……」


 俺は布団の上でスッキリしていた。


「光さん、ごめんなさい」


 そんな風に謝るのが、俺のモーニングルーティーンになりつつあったり。


 いやいや、違う。


 俺のモーニングルーティーンはもっと爽やかで……


「おはよう、伊織くん」


 今日も、光さんの笑顔が眩しい。


 何でこんなにも輝かしいんだろうか、この人は。


「お、おはようございます」


「あ、伊織くん」


「えっ?」


「シャツがよれているよ?」


 光さんはきれいな指先で、俺の襟元を直してくれる。


「あ、ありがとうございます」


「せっかくの良い男が台無しだよ?」


「いやいや、俺なんてそんな……」


「だって、その……私の彼氏なんだもん」


「ひ、光さん……」


 やべー、メチャクチャちゅーしたい。


 して良いかな? 良いよね?」


「光さん」


 俺が肩を掴むと、光さんは少しビクっとしながらも、すっと目を閉じてくれる。


 ゴクリ、と息を呑みながら、俺は彼女の唇に自分のそれを寄せた――


「ねえねえ、ママ。あのお兄ちゃんとお姉ちゃん、ちゅーしようとしているよ」


 その声にビクっとした。


「こら、見ちゃダメよ!」


 同じアパートの親子にキスしようとした現場を目撃され、俺と光さんは激しく赤面をする。


「おほほ、お邪魔しました~」


 お母さんはそう言って、子供と一緒に部屋の中に引っ込んだ。


 俺と光さんはしばし、呆然と佇む。


「……あ、じゃあ、行こうか」


「そ、そうですね」


 俺と光さんはぎこちなく言い合って、アパートの階段を下りた。




      ◇




 完全に不完全燃焼だ。


 俺は大学の講義中も、ずっと頭の中で光さんの唇を思い浮かべていた。


 もう童貞じゃないのに、いまだに童貞みたいな思考が抜けない。


「伊織、どした? そんな風のボケっとして」


 友人の矢野康太やのこうたが言う。


 結構なイケメンで、モテる奴だ。


「いや、ちょっと……今朝、彼女といってらっしゃいのキスをし損ねたから」


「へ~、彼女と……って、ええええぇ!?」


 康太の声が響き渡る。


「こら、そこうるさいぞ」


「あ、すんません」


 康太は頭を下げて、


「伊織、お前いつの間に彼女なんて出来たんだよ?」


「まあ、つい最近」


「後で詳しく教えろよ」




      ◇




「へx~、年上で美人で巨乳、おまけに小学校の先生か」


 康太はコーヒーを啜りながら言う。


「そそるなぁ」


「おい、手を出すなよ」


「いやいや、友達の彼女に手は出さないから。別れたら話は別だけど」


「別れねーよ……たぶん」


「自信が無いんだな」


「だって、俺は今までロクに女子と付き合って経験もないし」


「ちなみに、もうエッチはしたのか?」


「まあ、一応……」


「へえ、やるじゃん。おめでとう」


「サンキュ。けど、俺は何だかんだ、まだ童貞みたいなもんだなって。毎朝シコっているし」


「まあ、それは別腹だったりするからな」


「え、康太もするの?」


「いや、俺はしないよ。シコるとダサホルモンが出るから」


「あー、それ聞いたことあるわ。けど、やめられないんだよな」


「AVとかも見ているのか?」


「まあ、スマホでサンプル動画とかを」


「ダサいな~、お前。その内、年上の素敵な彼女に愛を尽かされるぞ?」


「や、やっぱりそうかな? 今朝も、決める所で決められなかったし」


「まあ、それはいかにもラブコメっぽいハプニングだから良いんじゃね?」


 康太は言う。


「なあ、康太。お前のテクを教えてくれよ」


「デートの? それともセックスの?」


「両方だ」


「欲張りな奴だなぁ」


 康太は言う。


「別にアドバイスをしても良いけど、俺とお前はタイプが違うからな。下手に背伸びをするよりも、等身大のお前で彼女に寄り添ってあげれば良いんじゃないか?」


「康太……お前、ただのチャラ男じゃないんだな」


「うるせえよ」


 康太はスマホを見る。


「あ、悪い。彼女から呼び出しだわ」


「今、何人と付き合っているの?」


「ん? 5人くらいかな」


「最低のクズ野郎だな。やっぱり、お前はただのチャラ男だ」


「デキるチャラ男だよ」


 ニッと康太は笑う。


「まあ、また彼女のことで悩んだら相談しろよ。有料で承ってやる」


「うるせえよ、クズ野郎」


「じゃな」


 康太は去って行った。


「等身大の自分で……か」


 悔しいけど、あのクズ野郎の言葉に少し勇気づけられた。




      ◇




 アパートに帰ると、俺は光さんの部屋のチャイムを押そうとした。


「あっ、伊織くん」


 すると、階段を上って来た光さんがいた。


「光さん」


「また奇遇だね。あ、そうだ、良ければこれから一緒にごはんでも……」


 俺は少し強引に光さんを抱き寄せて、キスをした。


「あ、ママ。あのお兄ちゃんとお姉ちゃんがキスをしているよ!」


「こら、見ちゃいけません!」


 もはや、周りの声は耳に入らない。


 すっと唇を離す。


「い、伊織くん……」


「光さん……好きです。だから、キスをしました」


 俺は気の利いた言葉なんて言えないから、真っ直ぐにそう伝えた。


「伊織くん……私も好きよ」


 光さんは俺に抱き付く。


「あの……俺の部屋でエッチしませんか?」


「えっ?」


「もう、堪らないので。ごはんは、その後に……」


「伊織くんって、やっぱりエッチな子だね」


「ダメですか?」


「私も……伊織くんが欲しかったの。すごく、たくましいから」


「本当ですか? 大きさだけは、自信があったんです」


「やだもう、恥ずかしからやめて……」


「あ、そうだ。今日は挟んでもらいたいんですけど……良いですか?」


「……良いよ」


 そんな会話をしながら、俺と光さんは部屋に入って行く。


 それを見つめていた少年は、


「ママ、僕もかわいい彼女とエッチがしたい」


「んまっ!」


 と言ったとか言わないとか。








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