彼女たちを守るために俺は死ぬことにした

アサミカナエ

10/2(金) 穂積音和②

 それから音和の朝ごはんをパン屋で買い、虎蛇に直接登校した。
 音和を座らせて口にパンを放り込み、食べてる間に凛々姉とスケジュールを確認する。


「……ところであの子は大丈夫?」


 ちらりと音和を見て、凛々姉が耳打ちしてきた。
 口はかろうじてもぐもぐ動かしているが、目を真っ赤に腫らせてぼんやりと一点を見つめ、おとなしく座っている。


「うーん無理やり連れて来たんだけど、やっぱマズそうかな」

「心ここにあらずという感じだけど。なにがあったの?」

「ちょっと、ね……」

「穂積を振ったのか」

「違います」


 最低な邪推をする凛々姉を一瞥して、音和に目を向けた。パンを食べながらしくしく泣いている音和。俺はこいつにどれだけ償えばいいのだろうか。
 ひとまず泣いているのを落ち着かせてから、1年の教室へ途中まで送って行った。

 虎蛇に戻ると、さっきまで黙っていたみんなが心配して声をかけてくれた。虎蛇のメンバー、みんないいやつだな……。
 椅子に腰を下ろしてため息を付くと、野中に肩を叩かれた。


「で、振ったのか?」

「違うって」

「えー、ついに!?」

「違う……」

「トモくん」

「振ってません!」


 ってどいつもこいつもデリカシーねえな!!!!!
 いちごが何か言う前に目で牽制する。
 口開けたまま固まっていた。

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