彼女たちを守るために俺は死ぬことにした

アサミカナエ

9/10(木) 穂積音和①

「よっ、穂積!」

「おはよ。いつまでやんのこれ(笑)」

「わ、わかんない……」


 4日目。同級生の男子たちに囲まれてチラリと俺を見上げる音和に、俺はにっこりと微笑む。


「いちごくらいお友だちができたら。かな?」


 はい、いちごさん。俺たちと離れた場所で、生徒4人に囲まれている。


「んっわあーー! いいんですか!? ありがとうございますーーー!!! んーーーー♡ おいしすぎです、このメロンパン♡ タラタラしてんじゃんって駄菓子なんて幼稚園のときに食べたきりです……」

「ぎゃー! いちごちゃん可愛すぎー!」

「うち精肉店なんだけど、今度うちのコロッケも食べて!! それで動画撮らせて欲しいの。この食べっぷり、SNSに載せると絶対に反響くるわよ! 繁盛バズるわよー!」

「なるほど! 今度あたしのヨツベチャンネル出てくれない!?」


 とまあ、3年のお姉さまたちに人気である。


「む……むり……」


 音和が青ざめているのをみんなで笑った。


「穂積いいよなー」

「そこはかとない妹キャラ感」

「それな」


 男子たちが昇降口へと歩いて行く。
 まあ、あいつらは音和を可愛がってくれるだろう。


「くぅー、手なづけてえーー」

「猫じゃらしとかワンチャン喜ぶんじゃね?!」

「いや、さすがに怒……ありだな!?」

「wwww」


 可愛がってくれるよな!?


「おはようございます!」


 音和は自分からもしっかりとあいさつができるようになっていた。それはもちろん、クラスの女子にも。


「おはようございます!」

「……」


 だけど前に俺たちにも話しかけてきた3人組ギャルズだけは、相手にトゲを感じるんだよな。
 とりあえす俺も声かけてみるか。
 ギャルに身近に感じてもらうには、ギャル語でいくっきゃないよな。


「やっほー、おはぴよー!」

「は?」

「なにーみんな朝から暗くないー?」

「ウッザ……」

「ねーこの人、こう見えて野中先輩といつもよくいる人だよ!」


 こう見えてとかひどい……。こないだはあんなに慕ってくれてたじゃん。
 野中の七光りみたくなってる俺、立場なさすぎ。


「先輩〜♡ ミサがごめんなさーい♡ イライラ日なんだよね☆」

「ちょ!? こんなとこでやめてよ、しかもちげーし!!」

「うははー、野中先輩によろしくでーす! さー、いこいこ!」


 両脇の二人が爆笑しながら、真ん中の子の腕を引いて昇降口へ向かって行った。

 ギャルリーダー、ふわふわ系、明るい系ってバランスっぽいな。真ん中のリーダーが、ちょっとやっかいそうな気がする。

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