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異世界なう―No freedom,not a human―

逢神天景@小説家になろう

213話 真剣なう

213話


「つッ……」

 太ももに激痛が走り、グラリとバランスを崩す。目の前では、顎からだらだらと血を流した男が完全に逝った目でヘラヘラと笑っていた。

「っへ、ふへは……み~んな、殺しやがって……ッ!」

「マサト!」

「ってぇ、なぁ!」

 ギュっ、と筋肉に力を籠めてナイフを抜けなくする。それに驚いた男がナイフから手を離したところで、腹に思いっきり蹴りを入れた。
 男が吹っ飛んだ隙にセシルさんをユラシルさんに任せ、ナイフが足に刺さったまま――アイテムボックスから剣を取り出し、その腹で思いっきりぶん殴る。

「げばふっ!」

 意味不明な叫び声をあげて吹っ飛ぶその男。首が変な方向に曲がっているが、刃引きされた剣で殴ったのだから死んでいるはずがない。
 難波はドサリとその場に倒れこみ、足を抑える。今ナイフを抜いてしまえば血が大変なことになるからこのままにすべきだろう。

「っつ……」

「マサト、大丈夫!? ……待ってて、私の部屋にポーションがあるわ。応急処置くらいにはなるはずだから」

「へぁっ……あ、あざす……」

 まさかこの程度の三下にやられるとは。本当に自分の弱さが恨めしくなる。
 階段に座り込み、虚空を見つめるセシルさんをそっと隣に座らせる。

「いってぇ……えっと、止血ってどうやるんだったかな」

 異世界に召喚されて一年以上。未だに止血の方法も知らないとは自分で自分に呆れてしまう。怪我すればすぐに空美に治してもらえていたのだから必要無かったとはいえ……。
 ため息を一つ。難波がそうやって待っているとユラシルさんがすぐに薬や包帯を持ってきてくれて、手早く処置してくれた。

「歩ける?」

「ッス。なんとか」

 痛むが、ポーションのおかげでジワジワ治ってきている。しかも彼女が塗ってくれた薬は痛みをだいぶ軽減してくれているようだ。歩くだけなら問題ないくらいになっている。
 このまま治るまでここで待っていた方がいいだろうか――と思いつつも、さっきみたいにコイツらが起きてくるかもしれないのだ。何せ殺していないから。
 ならば極力魔物と遭わないように、いやせめて隣の家なりに行った方がいいだろう。

「その、セシルさんをお願いしていいッスか」

「え、ええ。……その、ここで休憩してもいいんじゃない?」

「ダメッスよ。こいつらが起きてくるかもしれないッスから」

「そんなこと――」

「起きてくるかも、しれない……から」

 難波が念を押すようにそう言うと、ユラシルさんは何かを悟った顔になり……頷いた。そう、死んでは無いはずなのだ。刃引きした剣で斬ったのだから。
 難波はふらふらとディファインに近づくと、その顔を覗き込む。爽やかな笑顔はどこへやら。その表情は決してイケたものではない。

「……俺、ユラシルさん程強くねぇんだ」

 ぼそりと呟く。難波はそのまま手を伸ばし、彼の目を閉じさせた。確か、死体にはこうしてあげなくちゃいけないはずだから。

(アンタが……なんで、俺より近くにいたアンタが二人を守り切れねえんだよ。クソッ、馬鹿野郎……)

 弱い、本当に自分は弱い。だからつい文句を言ってしまう。アンタが守っていれば、と。
 心中でブーメランを投げつけるのを止め、難波は立ち上がる。

「行き……ますか」

「ええ」

 セシルさんを背負ったユラシルさんと一緒に外へ出ようと扉を開けたところで……ドン! と物凄い音と共に、さっき逃げた二人の男が走ってきていた。
 咄嗟に剣を抜く。足を怪我している以上手加減は出来ない。最初から真剣を構えてそいつらに備えると……

「た、助けてく、がっ!」

「ひぃっ! 助け……」

 ズン。
 その二人の胸から爪が生え、そのまま持ち上げられてその辺の建物に叩きつけられる。

『んだァ……まァだいんのか。生き残り』

「ま、魔物が喋っ……!?」

 ユラシルさんが驚きに身を竦ませるが、難波は知っている。喋る魔物がいることを。魔族が合体している魔物だ。
 大きさは三メートル程。人の腰ほどもあろうかという太い爪と地面まである長い腕。真っ赤な体躯は見るものすべてを威圧し、その体中に生えている毛は一本一本が異様に太い。
 そして特徴的なのは額から生えるドリル。ユニコーン……というより、確かイッカクとかいうクジラの方が近いか。

『ケッ……どうせ皆死ぬのによォ。俺が殺した奴の中に勇者もいるだろ。くがががっ、イッカクテリウムと合体してから楽しくてしかたねぇや』

 Sランク、ではない。それは分かる。
 しかし絶対にBランク以下でもないだろう。とはいえ難波の足がきっと普段通りであれば苦戦はすれど問題なく倒せる相手だ。
 でも。

「ユラシルさん……えっと、その……その辺の建物ん中隠れててください」

「マサト、その足で立ち向かうなんて無理よ! 逃げなくちゃ!」

「そっちの方が無理ッスよ」

 あはは、と空笑いを彼女に見せて……即座に魔物――イッカクテリウムとか言っていたな――の方を振り返る。

「あー、その。俺は殺してもいいから、あの人は見逃してくれる……とかねぇかな」

『バカか。人族の頼みなんて聞くわけねぇだろ』

 ですよね。
 難波は一つ息を吐くと、フェイタルブレードを構える。カートリッジを挿しこみ、ピストン部分を押し込む。
 血が回るように、剣に毒が回っていく。準備は出来た、後は切りつけるだけ。

「来いよ、化け物」

『威勢だけはいい……なッ!』

 ゴッ、空間が撓む程の勢いで振り下ろされるイッカクテリウムの爪。難波は冷静に『剣魂逸敵』を発動してそれを地面に逸らす。
 踏み込もうとし――足がズキリと痛む。仕方がない、腕力だけで剣を振り下ろす。イッカクテリウムの腕を切り落とそうとしたその一撃は――纏っている剛毛に弾かれる。

『今、なんかしたか?』

「うっそだろぉ!?」

 まるで羽虫を払うように振るわれる腕、それを咄嗟に受け止めてしまい――踏ん張りがきかず吹き飛ばされる。

「がっ!」

「マサト!」

 建物にめり込み、全身が打ち付けられる。全身に焼けるような痛みが走る。足も痛いし身体も痛い、泣きわめきたい、泣き叫びたい。

『トドメだ!』

 その辺の瓦礫を掴んで、こちらへ投げてくるイッカクテリウム。難波は咄嗟に剣で受けるが、それでダメージを相殺できるはずも無い。まるで大砲のような勢いで飛んできた岩が難波を吹き飛ばす。
 建物が崩れ、瓦礫に埋まってしまう。全身が痛い、どころじゃない。もう痛すぎて感覚が無くなってきた。でも異世界人特有の頑丈さのおかげで死んではいない。
 もうその辺転げまわって泣いて泣いて喚いて喚いて、逃げるって言いたい。
 逃げ出して、もう戦いなんて全部全部他人に任せて、なんかもうおっぱいとかに囲まれて過ごしたい。
 音楽とか聞いて漫画ばっか読んで暮らしたい。五千兆円欲しい。
 嫌だ嫌だ、立ち上がりたくない。このまま壁にめり込んでればきっとアイツはバカだから見逃して、そんでどっかに行く。その後、足が治ってから逃げればいい。
 そうだよ、足を怪我してるんだ。普段ならあんな奴倒せるんだ。でも足を怪我してるんだ。なにも悪くない、ここで負けても誰も責めない。
 誰も、そう誰も責めない……

「全部知ってる、俺、以外は、か……」

 身体の上の瓦礫をどかす。そう、今ここで自分が立ち上がらなければ――すぐにユラシルさんが殺される。魔物の気配は動いていない。難波の生死を確認しようとこっちへ来ているわけではないのだ。
 なら、ダメだ。ユラシルさんとセシルさんが殺される。
 それは、それだけはダメなんだ。

「……ディファイン。俺、あんたと一言もしゃべってねぇけど……いいやつだったんだよな、多分」

 ズキン。
 脳が痺れる、あまりの痛みに座り込みそうになる。
 でも、それは出来ない。

「うおおおおおおおおおお!!!」

 叫び、無事な左足に力を籠める。瓦礫を吹き飛ばし、イッカクテリウムを睨みつける。

『今ので生きてるのか。割と化け物だなテメェ』

「テメーに言われたくねえよ。バーカ、バーカ」

『あ? バカって言った方がバカなんだぞバカ』

「はいお前もバカって言った―、ってことはお前がバカー」

 ガキのような軽口を叩き、一歩踏み込む。要するに足が痛くなければいい、いや……もっと、もっと強ければいい。
 それなら――

『ついて来れるか?』

 ――突然。
 剣がそう脳内に語りだした。
 混乱し、バッとフェイタルブレードを見ると……その柄の部分が光っていた。

『この声はお前にだけ聞こえている。自分に突き刺そうとしたら反応して、録音した台詞が流れるようになっているんだ。まったく、やるなと言っただろう。死ぬぞ?』

 志村の声だ。どういう原理か知らないが、難波がフェイタルブレードで自分を斬ろうとしていることを察知したらしい。この剣は。

(……お前が言ったんだろ、志村。『弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしてもそれは戦わない言い訳にはならない。人生には必ず戦わなきゃいけない瞬間がある。その瞬間が来たら、必ず覚悟を決めろ』って)

 戦わなきゃいけない瞬間、それは間違いなく今だ。
 それなら、絶対に逃げない。

『まあ、この音声を聞いてるっていうことは……もう戻る気は無いのだろう』

 フェイタルブレードにカートリッジを一本挿しこみ、押し込む。怪しく光るフェイタルブレードは――まさに妖刀。魅入られるように振り上げると、イッカクテリウムが物凄い形相で襲いかかってきた。何が起こるか、直感で察したかのように。

『だが敢えてこう問おうか。覚悟はいいか?』

「出来てる……よ!」

 腹を僅かに切りつけ、それと同時に全身の血という血が逆流するような感覚に襲われる。激痛、なんて生易しいものじゃない。痛い、身体が壊れる――爆発する。
 でも、でも――

「あっ……はっ、ははっ……ははははははははははははははははははははぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!」

 笑いが止まらない。まるで壊れたのかと自分で錯覚するほど。いや、実際にもう壊れているのだろう。

「イケる……イケるイケるイケるイケるぜ!! うおら来いよイッカクテリウム!」

 蝋燭は燃え尽きる瞬間が最も輝く。なるほど、それはこういう意味なのか。
 後先考えず、ただひたすらに勝利に向けて力を振り絞る。

「姓は難波、名は政人! 異世界人の盾にして――すべてを守り切る鉄壁の男!」

 最後になるのだ、派手にいこう。

「この命、燃え尽きるまで付き合ってもらうぜ……っ! 見てろよ俺の、スーパーノヴァ! 今から俺は、物語のヒーローだ!」

 踏み込む。痛い、全身が痛すぎて足の痛みなんてどうでもいい。
 構える。痛い、全身が痛すぎてむしろ意識がクリアになる。
 全身に力がみなぎる、意識より早く体が動く。ただ踏み込むだけで地面が割れ、剣を振るえば空気が裂ける。
 絶好調の時を遥かに凌駕する力、今ならあの魔族たちとも一対一でもやっつける自信がある。
 負ける気がしない。

「行くぞイッカクテリウム!」

『ほざけ!』

 イッカクテリウムが剛腕を振り上げ、一気に振り下ろすが――瞬時にその肩に飛び乗ることでそれを回避。更にカートリッジを二つ、挿入する。
 カシュン、カシュン……毒がフェイタルブレードに回る。今宵のフェイタルブレードは血に飢えている――!

『邪魔だ!』

「こっちのセリフ!」

 ガムシャラに振り回される腕を回避、そのまま近くの建物の壁に着地し、剣を振り上げる。

「『飛斬撃』!」

 斬撃を飛ばし、敵がそれを防ぐと同時に地面に降りたつと足を払う。バランスを崩すイッカクテリウムが手をつこうとしたところに――滑り込み、しゃがむ。
 そして伸び上がる勢いに敵がかける体重をプラスして――思いっきり突き上げる。ザクッ! ともの凄い音がして剣が腕にめり込んだ。

『ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁあ!!! いてぇ、なんだこれは……いてぇ!』

「うるせぇ、そのまま死ね!」

 イッカクテリウムは即座に毒と看破したか、なんともう片方の腕で自分の腕を切り落としてしまった。
 驚く暇は無い。難波は即座に腕から剣を引き抜――かず、腕が搭載されたままぶん回す。さしものイッカクテリウムもそれには驚いたか、よろめきながらもガードした。

『クソが!』

 イッカクテリウムはぶしゅうー! と腕の断面から血を噴き出し、難波の顔面にかけた。思わずガードするものの目に血が入る。しまった、これでは前が見えない。

『くがががっ! 死ね!』

 なんとか『剣魂逸敵』を発動させて爪を躱すが、蹴りに当たってしまった。再び吹き飛ばされ、壁に激突する。
 イッカクテリウムがこちらへ走ってくる気配――今の攻撃でダメージは無かった。即座に立ち上がると、いきなりぽつ……ぽつ……と雨が降り出した。

「……ありがてぇ」

『んだァ?』

 好機。その雨で血が流れ、視界を確保できる。突っ込んできたイッカクテリウムの片目を『飛斬撃』で吹き飛ばす。
 視界を塞がれたイッカクテリウムは急所を隠すように腕で頭を守るが――甘い、フェイタルブレードにガードなんて意味を為さない。体に毒が回り切ればその時点で死ぬのだ。
 跳躍、そして剣を振り上げ――全体重をかけて腕ごと腹を引き裂いた。驚愕の表情に染まるイッカクテリウム、難波はニヤリと笑うと――着地、そのまま地面に倒れこんだ。

「マサト!」

 遠くからユラシルさんの声が聞こえる。バシャバシャと駆け寄る音も。守れた、良かった。
 イッカクテリウムはもう動く気配はない。そりゃそうだ、魔物特攻の毒を流し込んだのだから――生きていられるはずもない。
 まあ、それは難波自身にも言えることだが。

「マサト、マサト! なん……ど、どうしたのその顔色は! 傷に菌でも入った? と、とにかく見せて!」

 服を引き裂かれる。何故か第三者視点で自分とユラシルさんを見ているような感覚になる。
 ああ、死ぬのか。何故かその事実に取り乱す自分がいなかった。

「ま……まさか、毒? あの魔物にやられたの!? せめてどんな毒か分かれば解毒剤を作れるかもしれないのに……!」

 ユラシルさんはそういえば薬剤師だったか。チラリと見ると、イッカクテリウムが溶けて消えてしまうところだった。
 周囲に魔物の気配はない。雨音だけが自分とユラシルさんを包み込む。何も為せないと、そう思っていた自分の人生の割には――そこそこ、いい終わりを迎えられたんじゃなかろうか。
 手を握り、開く。この手の中にある気持ちは――達成感。守りたい人を何とか守れたというそれは、難波の心と体の痛みを癒してくれる。
 ああなるほど、皆これが欲しいから一生懸命なのだ。
 剣道部を終えたあの日、自分が何も思えなかったのはこれを手にしていなかったから。この何物にも代えがたい、人生の象徴ともいえるようなこの気持ちを。
 ただ生きるだけじゃ、きっとこんな気持ち得られなかった。

「あり……が……」

 とう、そう言いかけた時、ユラシルさんが難波の身体とフェイタルブレードを見比べた。そして何かに気づいたように立ち上がる。
 そして難波に覆いかぶさり、胸倉を掴む。そのせいで雨が自分に落ちなくなり、目を開くことが出来た。ああ、やっぱり綺麗な人だ。この人を守れてよかった。

「こ、これか! この毒か! 現物は、マサト! さっきこれに何か入れていたでしょう! あれが毒の正体ね!? 現物は、現物は無いの!? 私の見立てじゃ君はあと五分はもつ! 現物さえあれば、私の『職スキル』で解毒剤を作ってみせる!」

 必死なユラシルさんを見て思わず笑いそうになる。大丈夫だ、と。もう自分は死んでもいいのだと。

(……あ、あれ?)

 ぽたぽたと。再び雨が自分の顔に降ってくる。彼女が覆いかぶさっているはずなのに何故?
 見上げると、ユラシルさんの目から大粒の雨が降ってきていた。それを見て、達成感によって癒されていた心が再び悲鳴を上げる。そして同時に自分の目から涙も溢れる。
 ――ああ、なるほど。
 剣道部を終えた最終日、泣いていたレギュラーたちは……こう思っていたのか。
 まだだ。
 もっと。
 まだ、もっと――生きたいやりたいって。
 達成感もあっただろう。
 でも達成感があったからこそ、心が渇望するのだ。一度でも味わってしまえば、もう止められないのだ。この気持ちを追い求めることは。

「マサト……っ! ならせめて、君と同じ苦しみを――」

 涙を流すユラシルさんがフェイタルブレードの刃に触れようとする。それを見て、難波の腕がほぼ反射的に動く。
 ああ、もうだめだ。まだ死ねない、この人をもっともっと守っていたい。ユラシルさんの腕を引き、難波は……掠れる声で彼女の耳元に囁く。

「死にたく……ねぇ、ッス。あんたを、守りたい。愛したい……ッ!」

 そしてアイテムボックスから残りのカートリッジを取り出し、その場に転がす。
 ユラシルさんはそれを見て、気づき――難波の唇にキスをした。

「絶対に助ける……! マサト、今度は私が君を救う番だ!」

 ああ、なるほど。
 これが本当の……愛、か。
 薄れゆく意識の中、難波は……最後の力を振り絞って、笑った。



 ユラシルは立ち上がり、マサトを持ち上げようとして――女の細腕ではどうしようも無いことに気づく。
 部屋まで運べれば、この毒をどうにかして見せるのに――そう思った瞬間、何故か周囲に蛇のような何かが浮かんでいた。

「ま、魔物――!? く、くそっ、工房は……安全圏はすぐそこなのに!」

 せめてマサトを守らねば。そう思ってマサトに覆いかぶさろうとすると……一向に攻撃してこない。
 不思議に思っていると、何故かマサトと自分にぐるりと巻き付いて……とんでもないスピードで自分の家の工房まで連れて行ってしまった。軽い結界が張って合って、弱い魔物は入れないようにしてある自分の工房に。
 意味は分からないが、これならどうにでもなる。何とかなる。

「な、なんだかよく分からないけど……マサト! 死なせやしない、死なせはしないわ!」

 全神経が活性化したような感覚に陥る。周囲の色が消える、それほどの集中。工房の外でふよふよと蛇が浮かんでいることも構わずユラシルは解毒剤を作り始めた。

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