異世界なう―No freedom,not a human―
188話 答え合わせで御座る
「さて、状況を整理してみよう」
ガーン! と魔物を一体撃ち殺しながら歩みを進める。
殺しても殺してもキリがない魔物に辟易しながら、志村は城の外周でタバコを吹かす。
「まず一つ目。阿辺が本当に裏切ったのか? ……状況証拠が揃っている。それに認めてくれない人族に見切りをつけて、とかはありそうだ。少なくともこの結界を張る手伝いはしているだろう」 
煙が空へ溶けていく。
「では次に。阿辺はこんな上等で大規模な結界を張れるのか? ……答えは否だ。魔力が足りない」
さらなる魔物。牙の生えた二足歩行の犬を、腕から出したサーベルで切り裂く。
斬! と首を切り落とされたそれの横を悠々と歩みながらさらに口を開く。
「阿辺には協力者がいるはずだ。……いや、阿辺が誰かの協力者であると言うべきか」
つまり王都の内部に、阿辺と協力関係を結んだ魔族が入り込んでいたわけだ。
では、それは誰か。
「京助が潰した魔族……ヨダーンだったか。奴はギルドに入り、内部から崩そうとしていたようだが……悠長過ぎたんだろうな。目論見は失敗した」
空から火球を吐き出してきたワイバーンに銃弾を五発ほどたたき込み、羽に穴をあけて墜落させる。
「だから戦法を切り替えてきた。長い時間をかけるのではなく一気に王都を潰すために仕込みを入れていたってところか」
ふと、人影が。
城の周囲にいるということは関係者なのだろうが……何故か、魔物がそいつの周りには近づいていない。
まるで、台風の目のように――
「三つ目の疑問だ。誰が阿辺をそそのかした?」
阿辺は他の異世界人に比べてもよく城下に行っていた。つまり王都にさえいれば好きなタイミングで彼に接触出来ただろう。
よって、絞り込むことは難しい。
「四つ目の疑問。何故こんなにタイミングがいい?」
ラノールもSランクAG達もいない。
何より……ビザビが凶行を起こした。
「あのビザビの凶行は、混乱に乗じたものじゃない」
そう、あっさり鎮圧されたが……アレは元より今日行われる予定だったものだ。だから志村がスムーズに助けに行けたのだ。
もしあれが成功していれば。
天川達は戦闘できず、じり貧になり……やがて王都は壊滅していただろう。
「そのタイミングを狙えるのは王城の中にいた人間だけだ。さて、では一体誰が魔族側の人間だったのか……」
この国で情報を仕入れられる場所はいくつもある。しかし正確な情報ソースは限られてくる。
志村は、自分の手に入れた情報は限られた人間にしか話さない。
確証はない、しかし最初から疑っていた人物に……餌のつもりでビザビの情報を流した。
「と、後出しするのは推理小説にあるまじき行為なんだがな。なぁ、シュール」
ガーン! バチン!
銃声の直後に金属と金属がぶつかり合う音が周囲に響く。自身の銃弾を見ないで弾いたその女は、いつも通りの笑顔を浮かべていた。
「……ショック、っスよ。師匠」
笑顔のまま――志村に剣を向ける。
「師匠、なんすかそれ」
志村の構える銃を見ながら、ショックが首を傾げる。
「オレの主武装だ。前の世界では銃と呼ばれていた」
主武装というところに苦笑いするショック。
「……一回も見せてくれなかったッスよねぇ」
その通り、一度も見せなかった。
ショックはもう既に隠すつもりはないのか、やれやれと首を降った。
「いつからッスか?」
「疑っていたのは、最初からだ。最初から最後まで、一度たりとも信用も信頼もしていない」
「……酷い師匠ッスねぇ。弟子をそんなに無碍に扱うなんて」
そう言いながら非難する雰囲気は無い。当然か、お互いが思っていることは同じだろうから。
「でもそんなに怪しかったッスか? 完璧だったと思うんスけど」
「ああ、完璧だった」
そこは一切否定しない。何せあのラノールの目をかいくぐって第一騎士団の内部に入り込んでいたのだから。
「だが、オレはお前を信用出来ない理由がある。一度もマールに会わなかっただろ?」
――ぴたり、と。
ショックは全ての動きを止める。それはまるで電池の切れた玩具のようで。
「お前はいろんな人と会いたがったな。天川や異世界人ならまだしも、果てはティア王女とも会いたがった。だが、一度もマールと会いたがらなかった。いやそれどころか、お前はマールについて一言も言及しなかった」
「……誰だって、心を読める人に進んで会いたがらないッスよ」
「ああ、そうだな。だがオレは――マールと会話したことのない人間を信用することはあり得ないんだよ」
志村の根底にあるのは、マールへの果て無き信頼感と、他者への底なしの不信感。
志村がこの世界に来て最初に行った殺人の相手は――マールの侍女だった。
ほんの数日、仕事とかでマールから離れ……戻ってくるなりマールを殺そうとした。たまたま志村が見ていなければ、今頃彼女は生きていない。
心を読めるマールの、ずっと側にいた人間すら平然と金で、暴力で、権力で……裏切る。
なのに一度もマールが心を読んだことのない人間など、どうやって信用しろと言うのか。
弱ければ淘汰されるのはどの世界も一緒だが、特殊な力を持つのに弱いマールは信じられないほど多くの人間から狙われている。
そんな女を愛し、救い、守りたいと願う男が用心深くならないわけがない。
「マール、マール……って、本当にロリコンッスね」
軽蔑と嘲弄を浮かべるショックを、逆に鼻で嗤う。
「オレはロリコンじゃない。……いいか、マールの魅力は幼さじゃない。あいつは一人の女性として最高に美しく気高い心を持ってるんだ。世界最高のレディなんだぞ? それを愛することをロリコンだなんて……無礼にもほどがある」
その返しが意外だったのか、驚きの表情で固まるショック。
「オレは……俺は、マールが九十歳になろうが愛し続ける自信がある」
口元に微笑を携え――堂々と名乗りを上げた。
「オレは魔弾の射手。狙った獲物はハチの巣だ。愛する者を害す奴は全てオレの獲物だ」
「……なにカッコ付けてるんスか」
次の瞬間。
尋常ならざる速度で踏み込むショック。それは今までの訓練では一度も見せたことのないスピードで。
志村は弾丸で迎撃するが、奴の回転する剣がそれを弾く。
「……いい武器だ」
「そっちは、微妙ッスね!」
裂帛の気合と共に繰り出される斬撃を、体を捻って躱しバク宙しながら五発の弾丸をほぼ同時に放つ。
ガガガガガッ! マズルフラッシュが閃き、薄暮の中で一際明るい光が目を焼く――が、漆黒の塊がその弾丸全てを弾いてしまった。
「チッ」
闇魔術か。
「魔族は今まで二匹狩ったことがあるが……オレの弾丸を止める奴は初めてだな」
「そりゃ、偵察任務程度しか出来ない雑魚と一緒にしないで欲しいッス」
ニヤリと笑う彼女の手では、あの剣がさらに加速して回転している。
今まではあれくらいの速さまで加速していたら自動的に風弾を撃ち出していたのに、その加速と魔力――そしてそれによって生み出される風はとどめることを知らない。
無限の魔力……それはまるで天川の持つ神器のようだ。
「神器……本物とは考えづらいから、疑似神器、もしくは模倣神器ってところか」
「ノンノン、ッスよ。神器なんて過去の遺物。人族が文字通り神から借りているだけの武器と一緒にしないで欲しいッスね。言うなればそう――新造神器ッスよ。まだ未完成ッスけど……師匠ならこれで十分ッスね!」
ドヤ顔で、暴風の刃を繰り出してくるショック。志村は弾丸を『魔法喰らい』に切り替えてその暴風に向かって放つ。
ズガン! とひときわ大きな銃声をあげて暴風に突っ込んでいった弾丸は……そのエネルギーを吸収してショックに迫っていった。
「新造神器か。興味深いな」
志村はそう言いつつ、さらに弾丸を放つ。全部で二十四。その全てが『魔法喰らい』であり、闇魔術で迎撃するのは不可能だ。
しかし――ギリリリリリィィィィィィィン! とショックはその全てを高速回転する剣で弾いてしまった。回転の速度は更に上がり、もう逆回転しているように見える。
「真っ直ぐ飛んでくるだけの弾丸とか――何の意味があるんでございます?」
弾丸の雨あられが降りやむと同時、ショックの雰囲気が変わる。
マズい――そう思った志村は両腕のサーベル、更に足からも曲刀を出して加速、ショックに一気に近づく。
本来のバトルスタイルである、拳銃を用いた近接戦闘で戦うために。
(久々で御座るな、コレ)
映画やアニメなどでよく見る、二丁拳銃でひっくり返ったり横にして撃ったりする近接戦闘術。
正直、現実世界では不可能な戦術だ。そもそも二丁拳銃がまず当たらないし、見ないで撃っても当たらないし、銃を横に倒して撃っても当たらない。
しかし……この世界においては非常に有用となる。何せ真っ直ぐしか飛ばない弾丸なんて、結界だの魔法だのがあるこの世界では一定以上の強さを持つ相手には効かないからだ。
京助曰く「弾丸より速く動けば当たらないでしょ?」とのことで、弾丸では遅すぎるらしい。
そこで重要になってくるのが拳銃を近距離の打撃武器であるとみなし、相手を崩しながら戦うというスタイル。
志村の強化外骨格による補正で近距離ならば見なくても当たる。これならば戦える。
「はっ!」
銃弾を放ちつつ、足のサーベルで斬りつける。ショックはそれを回転して躱すが視線が銃口から離れた。その隙をついてショックの頭部を狙う。
ショックはそれを強引に剣で弾くが、体勢を崩してしまう。そこを狙って追撃、腕のサーベルで回転している剣のど真ん中にぶち当てて止める。
「いっ!」
「ふっ」
息を短く吐くと同時に、体で強引に押し込む。そして銃口を押しあて――たところで、上空から暴風の刃がこれでもかというほど降り注いでくる。新造神器は止めたはずなのに。
(普通に風の魔法……いや魔術も使えるんで御座るか)
バックステップで距離を取るが、ショックは即座に黒い塊と風で目潰しにかかる。
それをのけぞって躱し、足でカウンターを。それに加えて三点バーストで腹部に叩きこむ。
「くっ……やるで、ございますね」
ギリギリ剣で防いだようだが、ダメージは通っている。そのことに気をよくして笑いながらさらに突っ込む。
ふと、彼女の足がやや伸びていることに気づく。チャンスとばかりにべたりと伏せるようにして下に潜り込み、股の間を通りながら足の腱を切り裂く。
間一髪、跳躍して避けたショックの頭部に三発、腹部に二発撃ちこんだ。
「っつつ……セクハラでございますよ。女性のそんなところを通るなんて」
「なぜか通りやすくなっていたもんで、ついな。それと……知ってるか? 巨大化は負けフラグなんだ」
志村がそう言うや否や、開き直ったようにグンと背が伸びる。今までのちんちくりんから……まるでグラビアモデルのような体つきに。 
ばさりと髪が伸び、鮮やかな金髪に変わる。顔立ちも別物になってしまい……殆どショックの原型をとどめない美女が出来上がった。
「まったく……この姿に戻らざるをえないとは思っていなかったでございます。近接戦闘が不得手など、嘘をついていたんでございますね?」
「嘘じゃない。兵法だ」
珍妙な喋り方だ。イントネーションもややおかしい。
志村はニヤニヤと笑いながら、パンパンと軽く手を叩く。
「見事なイリュージョンだ。それに、なかなかいい女じゃないか。俺が出会った中だと下から二番目だ」
「……ちなみに一番下は誰でございます?」
「ショック・ポンドっていうちんちくりんだ」
刹那――。
尋常じゃない魔力が膨れ上がり、彼女の手でぐるぐると剣が回転する。ショックの姿だった時の比ではない魔力量――。新造神器というのは伊達じゃないようだ。
「行くでございます」
「来い。えーと、ショットだったか?」
「私の本名はルーツィアでございます。ミリオ」
「師匠をつけろよ鳩胸女」
ふっ、と。
いきなりルーツィアの姿が消え、トラックで跳ね飛ばされたような衝撃に襲われる。
「がっ……」
肺の中の息が全て吐き出される。そのまま木々をなぎ倒し、バウンドして止まった。
全身が痛む。いや、痛むなんていうレベルではない。意識を手放していないのが自分でも不思議なレベルだ。
(なに……が……ッ!?)
混乱。意識が朦朧として考えが纏まらない。
途切れそうになる意識を無理矢理引き戻すため、口の中を噛む。がっ、と口の中に鉄の味が広がると同時に意識が覚醒した。
「ペッ」
血を外に吐き、自分の肉体を確認する。……強化外骨格は壊れていない。体も無事だ。咄嗟に自動展開されたシールドが活きたようだ。
そのことに安堵するや否や、更に暴風が突っ込んでくる。先ほどの攻撃と全く同じものらしい。
「くっ――」
両手の銃をそれに向ける。『魔法喰らい』で喰い切れる気がしないため、『魔法師殺し』に弾を切り替えた。
呆れるほどの大きさ、威力の暴風が轟音を立てながらこちらに突っ込んでくる。
「チッ!」
舌打ちしつつ、魔力で生み出されたものならば何でも破壊し尽くすその弾丸を、空になるまで撃ち込む。
ガガガガガガガがガガガガガガガガガガガガガガッッッッ!!
閃くマズルフラッシュ、耳をつんざく銃声。それを飲み込まんと更に勢いを増してこちらに襲い来る暴風。
尋常じゃない音が響きながらもなんとか相殺しきった瞬間――
「遅いでございます」
――がっ! と。
背後から黒い風が志村の体を揺らした。踏ん張ろうとして、自分が宙にいることに気づく。吹き飛ばされた、それに気づけた時にはもう遅い。黒い風による刃がざっと数えて三桁。全て流星群のように志村に降り注ぐ。
「……いいな、雨は嫌いじゃない」
死。
真っ先に頭に浮かんだその一字を否定するための軽口。恐怖で脳の芯が冷えながらも、肉体は何度も反復した動きを忠実に再現する。
弾丸を取り出し、リロード。わずかコンマ数秒で行われたそれが終わるとほぼ同時に二丁の銃が火を噴く。
しかしどれだけ頑張っても二十四しかない弾丸では、それらすべてを捌き切ることなど不可能だ。手足のサーベルを使って何とか致命傷は避けるが、体はボロボロだ。
地面にたたきつけられ、更に風で吹き飛ばされた。城の外壁に当たりやっと止まるが、痛みが無い。志村が奥歯に仕込んでいる『痛みを消す薬』が勝手に発動したんだと気づいた時には、目の前にルーツィアが立っていた。
「どうでございますか? 師匠。新造神器の味は」
「……不味いな。鉄臭くて食えたもんじゃない」
そう言いつつ、見上げると……ルーツィアが可笑しくてたまらないと言った表情で腹を抱えだした。
「あ、あはあははははああああはははは!!! あなた、言ってたでございますよね? 『重心をぶらすな』、『前後左右に対応出来るように気を張れ』、『戦う時にべらべら喋るな』……どれか一つでも実践出来ているんでございますかぁ!?」
狂ったように笑うルーツィア。彼女はゲラゲラと下品に笑うと、城の上の方を見た。
「あなたがこんなにも弱いのなら、私がここで足止めする必要なかったでございますね」
嘲笑。
一目でわかるそれを浮かべながら、ルーツィアは暴風を手の中に生み出す。
「あはははは! 何度も何度もあなたには吐かされたでございますね。いい機会なので吐かせたかったでございますが……ここで逃がしてマール姫誘拐を邪魔されたら困るでございますからね。確実に殺させていただきます」
マール姫誘拐。
なるほど、と志村は心の中で納得する。
ここまで時間をかけて……実力者のいない王都を襲った理由の一つはそれか、と。志村に近づいたのもそれが理由かと。
同時に、決心する。
ここでこいつは殺す、と。
「……オレはこうも言ったはずだ。『敵から目を逸らすな』、『常に油断するな』、『如何なる敵も――常に、逆転の機を狙っている』と」
口もとに微笑を浮かべてそう言うと、ルーツィアが眉根を寄せた。いきなり何を言っているんだという表情だ。
「出来ればこれは使いたくなかった。こんな三下に」
「何を言って――」
腰に手を伸ばす。この武装は腰につけなければ意味が無い。
にやりと笑うと同時に、志村の腰にカシャンとベルトがまかれる。
そうそれは――志村実理男の持つ、文字通り切り札。
「お前の言う通り、オレは弱いな。ああ、弱いさ。だが――『強い弱いは結果が決める。弱くても最後まで戦え』とも言ったはずだ。オレは絶対にあきらめない、諦められないんだよ……大切な女を守るためには! イプシロン、起動!」
鋭く睨む。同時に腰のベルトを起動させた。ベルトのレバーが上がり、緑色に光る。
『イプシロン起動。システムオールグリーン、エネルギー充填、オールセット』
機械音声が周囲に響く。それと同時に、回復、攻撃バフ、防御バフが自身にかかる歌の魔法が流れ出す。
ルーツィアはここに来てやっとマズいと気づいたらしい。顔を真剣なものに切り替えて、魔力を高めた。
だが、遅い。
「負け惜しみを――!」
「それはどうかな! ――変身!」
魔術が放たれるが、寸前でレバーを倒しきった。
ビカァッ!
陽が沈む寸前の王都に、もう一つの太陽が昇る。
「……ッ! な、なんでございますか……その姿は!」
ゆらり、と立ち上がった志村は首をコキコキと回す。動作の確認をしてから……腰の拳銃を抜いて肩をすくめた。
「オレの名前は魔弾の射手。狙った獲物はハチの巣だ」
ルーツィアが無言で動く。見事な重心移動、前後左右に生み出された風の魔術。先ほどまでとは威力も格も違う暴力の風。黒く暗いその風は、ありとあらゆるものを飲み込まんと志村に近づき――その全てが放たれた弾丸によって消し飛ばされた。
驚愕の色に染まった顔面に一発の銃弾が放たれる。
滑るように、空気に溶けるように自然な動作で放たれたそれは、寸分たがわず彼女の眉間を撃ち抜いた。
「じゃあな、えーと……ルーザー、だっけ?」
その問いに答える声はもう無かった。
ガーン! と魔物を一体撃ち殺しながら歩みを進める。
殺しても殺してもキリがない魔物に辟易しながら、志村は城の外周でタバコを吹かす。
「まず一つ目。阿辺が本当に裏切ったのか? ……状況証拠が揃っている。それに認めてくれない人族に見切りをつけて、とかはありそうだ。少なくともこの結界を張る手伝いはしているだろう」 
煙が空へ溶けていく。
「では次に。阿辺はこんな上等で大規模な結界を張れるのか? ……答えは否だ。魔力が足りない」
さらなる魔物。牙の生えた二足歩行の犬を、腕から出したサーベルで切り裂く。
斬! と首を切り落とされたそれの横を悠々と歩みながらさらに口を開く。
「阿辺には協力者がいるはずだ。……いや、阿辺が誰かの協力者であると言うべきか」
つまり王都の内部に、阿辺と協力関係を結んだ魔族が入り込んでいたわけだ。
では、それは誰か。
「京助が潰した魔族……ヨダーンだったか。奴はギルドに入り、内部から崩そうとしていたようだが……悠長過ぎたんだろうな。目論見は失敗した」
空から火球を吐き出してきたワイバーンに銃弾を五発ほどたたき込み、羽に穴をあけて墜落させる。
「だから戦法を切り替えてきた。長い時間をかけるのではなく一気に王都を潰すために仕込みを入れていたってところか」
ふと、人影が。
城の周囲にいるということは関係者なのだろうが……何故か、魔物がそいつの周りには近づいていない。
まるで、台風の目のように――
「三つ目の疑問だ。誰が阿辺をそそのかした?」
阿辺は他の異世界人に比べてもよく城下に行っていた。つまり王都にさえいれば好きなタイミングで彼に接触出来ただろう。
よって、絞り込むことは難しい。
「四つ目の疑問。何故こんなにタイミングがいい?」
ラノールもSランクAG達もいない。
何より……ビザビが凶行を起こした。
「あのビザビの凶行は、混乱に乗じたものじゃない」
そう、あっさり鎮圧されたが……アレは元より今日行われる予定だったものだ。だから志村がスムーズに助けに行けたのだ。
もしあれが成功していれば。
天川達は戦闘できず、じり貧になり……やがて王都は壊滅していただろう。
「そのタイミングを狙えるのは王城の中にいた人間だけだ。さて、では一体誰が魔族側の人間だったのか……」
この国で情報を仕入れられる場所はいくつもある。しかし正確な情報ソースは限られてくる。
志村は、自分の手に入れた情報は限られた人間にしか話さない。
確証はない、しかし最初から疑っていた人物に……餌のつもりでビザビの情報を流した。
「と、後出しするのは推理小説にあるまじき行為なんだがな。なぁ、シュール」
ガーン! バチン!
銃声の直後に金属と金属がぶつかり合う音が周囲に響く。自身の銃弾を見ないで弾いたその女は、いつも通りの笑顔を浮かべていた。
「……ショック、っスよ。師匠」
笑顔のまま――志村に剣を向ける。
「師匠、なんすかそれ」
志村の構える銃を見ながら、ショックが首を傾げる。
「オレの主武装だ。前の世界では銃と呼ばれていた」
主武装というところに苦笑いするショック。
「……一回も見せてくれなかったッスよねぇ」
その通り、一度も見せなかった。
ショックはもう既に隠すつもりはないのか、やれやれと首を降った。
「いつからッスか?」
「疑っていたのは、最初からだ。最初から最後まで、一度たりとも信用も信頼もしていない」
「……酷い師匠ッスねぇ。弟子をそんなに無碍に扱うなんて」
そう言いながら非難する雰囲気は無い。当然か、お互いが思っていることは同じだろうから。
「でもそんなに怪しかったッスか? 完璧だったと思うんスけど」
「ああ、完璧だった」
そこは一切否定しない。何せあのラノールの目をかいくぐって第一騎士団の内部に入り込んでいたのだから。
「だが、オレはお前を信用出来ない理由がある。一度もマールに会わなかっただろ?」
――ぴたり、と。
ショックは全ての動きを止める。それはまるで電池の切れた玩具のようで。
「お前はいろんな人と会いたがったな。天川や異世界人ならまだしも、果てはティア王女とも会いたがった。だが、一度もマールと会いたがらなかった。いやそれどころか、お前はマールについて一言も言及しなかった」
「……誰だって、心を読める人に進んで会いたがらないッスよ」
「ああ、そうだな。だがオレは――マールと会話したことのない人間を信用することはあり得ないんだよ」
志村の根底にあるのは、マールへの果て無き信頼感と、他者への底なしの不信感。
志村がこの世界に来て最初に行った殺人の相手は――マールの侍女だった。
ほんの数日、仕事とかでマールから離れ……戻ってくるなりマールを殺そうとした。たまたま志村が見ていなければ、今頃彼女は生きていない。
心を読めるマールの、ずっと側にいた人間すら平然と金で、暴力で、権力で……裏切る。
なのに一度もマールが心を読んだことのない人間など、どうやって信用しろと言うのか。
弱ければ淘汰されるのはどの世界も一緒だが、特殊な力を持つのに弱いマールは信じられないほど多くの人間から狙われている。
そんな女を愛し、救い、守りたいと願う男が用心深くならないわけがない。
「マール、マール……って、本当にロリコンッスね」
軽蔑と嘲弄を浮かべるショックを、逆に鼻で嗤う。
「オレはロリコンじゃない。……いいか、マールの魅力は幼さじゃない。あいつは一人の女性として最高に美しく気高い心を持ってるんだ。世界最高のレディなんだぞ? それを愛することをロリコンだなんて……無礼にもほどがある」
その返しが意外だったのか、驚きの表情で固まるショック。
「オレは……俺は、マールが九十歳になろうが愛し続ける自信がある」
口元に微笑を携え――堂々と名乗りを上げた。
「オレは魔弾の射手。狙った獲物はハチの巣だ。愛する者を害す奴は全てオレの獲物だ」
「……なにカッコ付けてるんスか」
次の瞬間。
尋常ならざる速度で踏み込むショック。それは今までの訓練では一度も見せたことのないスピードで。
志村は弾丸で迎撃するが、奴の回転する剣がそれを弾く。
「……いい武器だ」
「そっちは、微妙ッスね!」
裂帛の気合と共に繰り出される斬撃を、体を捻って躱しバク宙しながら五発の弾丸をほぼ同時に放つ。
ガガガガガッ! マズルフラッシュが閃き、薄暮の中で一際明るい光が目を焼く――が、漆黒の塊がその弾丸全てを弾いてしまった。
「チッ」
闇魔術か。
「魔族は今まで二匹狩ったことがあるが……オレの弾丸を止める奴は初めてだな」
「そりゃ、偵察任務程度しか出来ない雑魚と一緒にしないで欲しいッス」
ニヤリと笑う彼女の手では、あの剣がさらに加速して回転している。
今まではあれくらいの速さまで加速していたら自動的に風弾を撃ち出していたのに、その加速と魔力――そしてそれによって生み出される風はとどめることを知らない。
無限の魔力……それはまるで天川の持つ神器のようだ。
「神器……本物とは考えづらいから、疑似神器、もしくは模倣神器ってところか」
「ノンノン、ッスよ。神器なんて過去の遺物。人族が文字通り神から借りているだけの武器と一緒にしないで欲しいッスね。言うなればそう――新造神器ッスよ。まだ未完成ッスけど……師匠ならこれで十分ッスね!」
ドヤ顔で、暴風の刃を繰り出してくるショック。志村は弾丸を『魔法喰らい』に切り替えてその暴風に向かって放つ。
ズガン! とひときわ大きな銃声をあげて暴風に突っ込んでいった弾丸は……そのエネルギーを吸収してショックに迫っていった。
「新造神器か。興味深いな」
志村はそう言いつつ、さらに弾丸を放つ。全部で二十四。その全てが『魔法喰らい』であり、闇魔術で迎撃するのは不可能だ。
しかし――ギリリリリリィィィィィィィン! とショックはその全てを高速回転する剣で弾いてしまった。回転の速度は更に上がり、もう逆回転しているように見える。
「真っ直ぐ飛んでくるだけの弾丸とか――何の意味があるんでございます?」
弾丸の雨あられが降りやむと同時、ショックの雰囲気が変わる。
マズい――そう思った志村は両腕のサーベル、更に足からも曲刀を出して加速、ショックに一気に近づく。
本来のバトルスタイルである、拳銃を用いた近接戦闘で戦うために。
(久々で御座るな、コレ)
映画やアニメなどでよく見る、二丁拳銃でひっくり返ったり横にして撃ったりする近接戦闘術。
正直、現実世界では不可能な戦術だ。そもそも二丁拳銃がまず当たらないし、見ないで撃っても当たらないし、銃を横に倒して撃っても当たらない。
しかし……この世界においては非常に有用となる。何せ真っ直ぐしか飛ばない弾丸なんて、結界だの魔法だのがあるこの世界では一定以上の強さを持つ相手には効かないからだ。
京助曰く「弾丸より速く動けば当たらないでしょ?」とのことで、弾丸では遅すぎるらしい。
そこで重要になってくるのが拳銃を近距離の打撃武器であるとみなし、相手を崩しながら戦うというスタイル。
志村の強化外骨格による補正で近距離ならば見なくても当たる。これならば戦える。
「はっ!」
銃弾を放ちつつ、足のサーベルで斬りつける。ショックはそれを回転して躱すが視線が銃口から離れた。その隙をついてショックの頭部を狙う。
ショックはそれを強引に剣で弾くが、体勢を崩してしまう。そこを狙って追撃、腕のサーベルで回転している剣のど真ん中にぶち当てて止める。
「いっ!」
「ふっ」
息を短く吐くと同時に、体で強引に押し込む。そして銃口を押しあて――たところで、上空から暴風の刃がこれでもかというほど降り注いでくる。新造神器は止めたはずなのに。
(普通に風の魔法……いや魔術も使えるんで御座るか)
バックステップで距離を取るが、ショックは即座に黒い塊と風で目潰しにかかる。
それをのけぞって躱し、足でカウンターを。それに加えて三点バーストで腹部に叩きこむ。
「くっ……やるで、ございますね」
ギリギリ剣で防いだようだが、ダメージは通っている。そのことに気をよくして笑いながらさらに突っ込む。
ふと、彼女の足がやや伸びていることに気づく。チャンスとばかりにべたりと伏せるようにして下に潜り込み、股の間を通りながら足の腱を切り裂く。
間一髪、跳躍して避けたショックの頭部に三発、腹部に二発撃ちこんだ。
「っつつ……セクハラでございますよ。女性のそんなところを通るなんて」
「なぜか通りやすくなっていたもんで、ついな。それと……知ってるか? 巨大化は負けフラグなんだ」
志村がそう言うや否や、開き直ったようにグンと背が伸びる。今までのちんちくりんから……まるでグラビアモデルのような体つきに。 
ばさりと髪が伸び、鮮やかな金髪に変わる。顔立ちも別物になってしまい……殆どショックの原型をとどめない美女が出来上がった。
「まったく……この姿に戻らざるをえないとは思っていなかったでございます。近接戦闘が不得手など、嘘をついていたんでございますね?」
「嘘じゃない。兵法だ」
珍妙な喋り方だ。イントネーションもややおかしい。
志村はニヤニヤと笑いながら、パンパンと軽く手を叩く。
「見事なイリュージョンだ。それに、なかなかいい女じゃないか。俺が出会った中だと下から二番目だ」
「……ちなみに一番下は誰でございます?」
「ショック・ポンドっていうちんちくりんだ」
刹那――。
尋常じゃない魔力が膨れ上がり、彼女の手でぐるぐると剣が回転する。ショックの姿だった時の比ではない魔力量――。新造神器というのは伊達じゃないようだ。
「行くでございます」
「来い。えーと、ショットだったか?」
「私の本名はルーツィアでございます。ミリオ」
「師匠をつけろよ鳩胸女」
ふっ、と。
いきなりルーツィアの姿が消え、トラックで跳ね飛ばされたような衝撃に襲われる。
「がっ……」
肺の中の息が全て吐き出される。そのまま木々をなぎ倒し、バウンドして止まった。
全身が痛む。いや、痛むなんていうレベルではない。意識を手放していないのが自分でも不思議なレベルだ。
(なに……が……ッ!?)
混乱。意識が朦朧として考えが纏まらない。
途切れそうになる意識を無理矢理引き戻すため、口の中を噛む。がっ、と口の中に鉄の味が広がると同時に意識が覚醒した。
「ペッ」
血を外に吐き、自分の肉体を確認する。……強化外骨格は壊れていない。体も無事だ。咄嗟に自動展開されたシールドが活きたようだ。
そのことに安堵するや否や、更に暴風が突っ込んでくる。先ほどの攻撃と全く同じものらしい。
「くっ――」
両手の銃をそれに向ける。『魔法喰らい』で喰い切れる気がしないため、『魔法師殺し』に弾を切り替えた。
呆れるほどの大きさ、威力の暴風が轟音を立てながらこちらに突っ込んでくる。
「チッ!」
舌打ちしつつ、魔力で生み出されたものならば何でも破壊し尽くすその弾丸を、空になるまで撃ち込む。
ガガガガガガガがガガガガガガガガガガガガガガッッッッ!!
閃くマズルフラッシュ、耳をつんざく銃声。それを飲み込まんと更に勢いを増してこちらに襲い来る暴風。
尋常じゃない音が響きながらもなんとか相殺しきった瞬間――
「遅いでございます」
――がっ! と。
背後から黒い風が志村の体を揺らした。踏ん張ろうとして、自分が宙にいることに気づく。吹き飛ばされた、それに気づけた時にはもう遅い。黒い風による刃がざっと数えて三桁。全て流星群のように志村に降り注ぐ。
「……いいな、雨は嫌いじゃない」
死。
真っ先に頭に浮かんだその一字を否定するための軽口。恐怖で脳の芯が冷えながらも、肉体は何度も反復した動きを忠実に再現する。
弾丸を取り出し、リロード。わずかコンマ数秒で行われたそれが終わるとほぼ同時に二丁の銃が火を噴く。
しかしどれだけ頑張っても二十四しかない弾丸では、それらすべてを捌き切ることなど不可能だ。手足のサーベルを使って何とか致命傷は避けるが、体はボロボロだ。
地面にたたきつけられ、更に風で吹き飛ばされた。城の外壁に当たりやっと止まるが、痛みが無い。志村が奥歯に仕込んでいる『痛みを消す薬』が勝手に発動したんだと気づいた時には、目の前にルーツィアが立っていた。
「どうでございますか? 師匠。新造神器の味は」
「……不味いな。鉄臭くて食えたもんじゃない」
そう言いつつ、見上げると……ルーツィアが可笑しくてたまらないと言った表情で腹を抱えだした。
「あ、あはあははははああああはははは!!! あなた、言ってたでございますよね? 『重心をぶらすな』、『前後左右に対応出来るように気を張れ』、『戦う時にべらべら喋るな』……どれか一つでも実践出来ているんでございますかぁ!?」
狂ったように笑うルーツィア。彼女はゲラゲラと下品に笑うと、城の上の方を見た。
「あなたがこんなにも弱いのなら、私がここで足止めする必要なかったでございますね」
嘲笑。
一目でわかるそれを浮かべながら、ルーツィアは暴風を手の中に生み出す。
「あはははは! 何度も何度もあなたには吐かされたでございますね。いい機会なので吐かせたかったでございますが……ここで逃がしてマール姫誘拐を邪魔されたら困るでございますからね。確実に殺させていただきます」
マール姫誘拐。
なるほど、と志村は心の中で納得する。
ここまで時間をかけて……実力者のいない王都を襲った理由の一つはそれか、と。志村に近づいたのもそれが理由かと。
同時に、決心する。
ここでこいつは殺す、と。
「……オレはこうも言ったはずだ。『敵から目を逸らすな』、『常に油断するな』、『如何なる敵も――常に、逆転の機を狙っている』と」
口もとに微笑を浮かべてそう言うと、ルーツィアが眉根を寄せた。いきなり何を言っているんだという表情だ。
「出来ればこれは使いたくなかった。こんな三下に」
「何を言って――」
腰に手を伸ばす。この武装は腰につけなければ意味が無い。
にやりと笑うと同時に、志村の腰にカシャンとベルトがまかれる。
そうそれは――志村実理男の持つ、文字通り切り札。
「お前の言う通り、オレは弱いな。ああ、弱いさ。だが――『強い弱いは結果が決める。弱くても最後まで戦え』とも言ったはずだ。オレは絶対にあきらめない、諦められないんだよ……大切な女を守るためには! イプシロン、起動!」
鋭く睨む。同時に腰のベルトを起動させた。ベルトのレバーが上がり、緑色に光る。
『イプシロン起動。システムオールグリーン、エネルギー充填、オールセット』
機械音声が周囲に響く。それと同時に、回復、攻撃バフ、防御バフが自身にかかる歌の魔法が流れ出す。
ルーツィアはここに来てやっとマズいと気づいたらしい。顔を真剣なものに切り替えて、魔力を高めた。
だが、遅い。
「負け惜しみを――!」
「それはどうかな! ――変身!」
魔術が放たれるが、寸前でレバーを倒しきった。
ビカァッ!
陽が沈む寸前の王都に、もう一つの太陽が昇る。
「……ッ! な、なんでございますか……その姿は!」
ゆらり、と立ち上がった志村は首をコキコキと回す。動作の確認をしてから……腰の拳銃を抜いて肩をすくめた。
「オレの名前は魔弾の射手。狙った獲物はハチの巣だ」
ルーツィアが無言で動く。見事な重心移動、前後左右に生み出された風の魔術。先ほどまでとは威力も格も違う暴力の風。黒く暗いその風は、ありとあらゆるものを飲み込まんと志村に近づき――その全てが放たれた弾丸によって消し飛ばされた。
驚愕の色に染まった顔面に一発の銃弾が放たれる。
滑るように、空気に溶けるように自然な動作で放たれたそれは、寸分たがわず彼女の眉間を撃ち抜いた。
「じゃあな、えーと……ルーザー、だっけ?」
その問いに答える声はもう無かった。
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