異世界なう―No freedom,not a human―

逢神天景@小説家になろう

38話 試練の間なう⑦

 それから二時間。空美がだいぶ回復してきたところで、各々武器を持って集合していた。


「呼心、調子はどうだ?」


「うん、もうばっちりだよ、明綺羅くん」


「本当に大丈夫なんですの? 呼心さん」


 天川達が空美のことを心配しつつ、バフやエンチャントとかをかけている。
 俺はそれを横目に見ながら、体内の魔力を練り上げていく。


(さて、どうなることやら)


 さっきの空美の魔法の使い方が参考になるかもしれないと思って少し練習したけれど……あんな魔力の振り絞りかたしたら一発でダウンだから、発動まではやれていない。仮に使うならぶっつけ本番になるわけだけど……失敗したら暫く動けなくなるからね。使うとしても慎重にやらないと。
 加藤から攻撃力強化のバフをかけてもらって、準備万端。


「さて、行くか」


 天川がみんなに号令をかけて、扉の前に行く。
 そして慎重に中へ入っていくと……


「なんだこりゃあ」


 思わず、と言った表情で白鷺がうめく。


「神殿……か? これは」


 真っ白なドーム状の空間。そこに、豪奢な装飾が施された神殿……みたいな建物が鎮座していた。
 しかしそれすら真っ白なため、うすら寒さを覚える。


「奥に道があるな」


 天川が指をさす。たしかに神殿の隣から、奥へと続く小道のようなものがある。
 狭い道だ。一人ずつなら通れるかな。


「じゃあ、誰から通る?」


 天川が皆に振り返って、俺たちに訊く。


「単純に考えて……防御力が高い『職』の人になるんだろうな。となると、難波とか白鷺とか……俺とかか?」


「天川は最高戦力だから、初見殺しに出会うと困るぞ」


 井川が腕を組んで、憮然とした表情で言う。


「だったら、難波か白鷺か」


 みんなの目線が白鷺に集まる。
 まあ、この中で一番すばしっこくて死ににくそうなのは白鷺だもんね。


「いやいやいや! なんでそんな危険そうなところに行かなきゃなんねえんだよ俺!」


 白鷺が叫ぶと、加藤が少し考えるしぐさをしてからポンと手を打った。


「キャラ的に?」


「ひでえよ!」


 酷くないと思うけど。


「だって俺、防御系のスキル持ってないんだぜ!?」


「避ければいいじゃないですか」


「新井まで言うの!?」


 新井までノッテきた。やるね。


「じゃあ、満場一致で白鷺を犠牲にするということで」


「「「異議なし」」」


「いや、異議しかねえよ! っつーか、犠牲って言っちゃってるじゃねえか!」


 白鷺が吠えるけど、適任であることも間違いない。
 素早さだけなら一番だし、そもそも防御力も高い。
 それに、防御系のスキルは持っていないだろうけど、回避系のスキルなら確か持っていたはずだしね。


「というか、なんで難波じゃダメなんだよ!」


「機転が利かないからだ、俺は!」


 難波が叫ぶ。うん、見事な自己分析だね。確かに白鷺の方が機転が利くだろう。
 ただ、難波はかなりの強さの防御系スキルを持っている。ヒルディの攻撃を逸らせるんだから、大概の敵はなんとかなるでしょ。


「とはいえ、受け止められるだけの能力を持ってるのは……結局天川なんだよね」


 俺が言うと、白鷺と難波がうんうんと頷く。


「……まあ、俺のスキルは逸らすだけだからな」


「俺も回避できるって言っても、確実じゃないしなー」


「……じゃあ、俺が行こう」


 天川が、意を決したように、剣を鞘から引き抜く。
 そして、気合の入った声で神器を解放した。


「いや、むしろ難波がいいんじゃない? 難波が逸らして、その隙に天川が攻撃を出せる態勢に入っていた方がいいかも」


 俺が言うと天川がなるほど、と言ったように頷き、


「じゃあ、先頭は難波がやってくれ。二番目に俺が行こう。万が一、ケガをしてしまった時のために、呼心。俺の後ろに来てくれ」


「しゃーねーな」


「うん、わかった」


 そう言って隊列をつくる。
 ちなみに、順番的には、難波、天川、空美、白鷺、木原、阿辺、加藤、王女様、新井、井川、佐野、俺だ。


殿しんがりは俺がやるね」


 一番後ろに回り、そう声をかける。
 ……後ろから特に魔力反応があるわけじゃないけど、さっきは魔力を少しだけ隠せる敵が出てきていたからね。完全に魔力を隠せるような魔物がいたとしても不思議じゃあない。
 だから、俺が殿をするって言ったんだけど……なんか、阿辺がムッとした表情を浮かべた。
 ……と思ったら、今度はにやりと気持ち悪い笑みを浮かべた。


「なんだ、自分は安全なところにいたいわけか?」


 そして、フフン、と鼻でせせら笑う。
 ……まさか殿の危険も理解してないとは思わなかったから、少し呆れる。


「それなら、阿辺。お前が殿をする? 万が一、唐突に魔物が現れたら一番最初にケガをするし、後ろだから常に警戒しておかなきゃならない。割と大変だから変わってくれるならありがたいんだけど……」


「ふん、俺の結界で後ろに魔物がいないことなんて明白だし、たとえ現れたとしてもすぐに気づく! そんなん危険のうちに入らない」


「――じゃあ安心して殿をしよう。うん、ありがとうね、阿辺」


 阿辺に何かを話すのは諦めた。本当に、ずっと戦い漬けの日々だと言っていたのが怪しくなる。
 探知出来たところで、動けなければ意味が無いし……ここで重要なのは、後ろからの攻撃を一番初めに捌くことになるという点だ。
 今までの動きを見てきたけど、咄嗟の動きに対応できるのは……白鷺、佐野、加藤、井川ってところかな。他の皆は正直、敵を舐めきっていて初動が鈍い。
 ため息ついでに煙を吐くと、阿辺は勝ち誇ったような笑いを浮かべる。


「ふん、やっぱり安全な場所にいたいだけじゃないか。そんなビビりだから『職』の二段階進化も一番遅いんだよ! しかもなんだあの『職』、使えないにもほどがあるだろ! 炎を出せるからってなんの意味があるんだよ! 天川の下位互換みてーなもんじゃねえか!」


 ……なんかよく分かんないけど、凄い勢いで阿辺が俺のことを見下そうとしてきている。
 なんだろう、構ってほしいのかな? 面倒だから構わないけど。
 新しい活力煙をアイテムボックスから取り出し、火をつける。


「ふぅ~」


 ――この先からも、魔力を感じない。
 けど……嫌な予感は、ドンドン増してきている。
 異世界に呼ばれた日のあの嫌な予感。あれをはるかに凌駕するレベルだ。
 だから、ここから先は出し惜しみなしだ。
 魔昇華も普通に使うし、魔術も、炎だけじゃなくて風と水も使いまくる。
 空も飛ぶし……理論だけは考えていたモードにも、たぶんなる。
 ……Aランク魔物が複数匹出てくるだけならまだいい。
 けど……もしも、Sランク魔物が出てきたら? それも、複数体出てきたら?


(悲観論で備え、楽観論で行動せよ……だったかな?)


 俺の大好きな本の言葉だ。全巻そろえている。新刊が読めないことが辛すぎる。
 この場合、最悪なのはSランク魔物が複数体出てくること。
 そして、さらに全員が精神系の効果を及ぼして……前二つの扉みたいに、俺以外誰も戦えなくなること。
 こうなると、もはや生存は絶望的だと言ってもいいだろうね。
 となると逃げなきゃいけないんだけど……逃げられるかな。
 井川のテレポートが使えなかったら詰みだ。
 というか……使えないと思った方がいいかもしれない。ヘリアラスさんの話によれば、この試練の間は枝神が自由に設定できるらしい。となると、空間転移封じの結界くらい、あってもおかしくない。頼りにはしない方がいいだろう。
 隠し玉があるとすれば……今のところ分かっているのは、天川の魔法『終焉』。あとは、俺の理論だけ考えていたモードと魔法。
 あるかどうかわからないけど、可能性として考えられるのは……俺の『職』が進化することと、天川がさらに覚醒すること。
 俺は(一応)まだもう一段進化はあるだろうし……天川は何といっても主人公サマだ。最後は必ず覚醒するに違いない。
 となると、俺は天川が覚醒するまで生きることが目標になる。
 出来るかな……まあ、やるしかないんだけど。
 俺自身と、佐野くらいは何とか守らなきゃね。
 何のためのチートだってなるしね。もっとも、未だに使いこなせているのかは怪しいところだけど。


「やっぱり、お前は役立たずなんだよ! 今まで少し活躍してたからって調子に乗るなよ! 試練の間での出来事はたまたまなんだからな! 分かってるのかよ!」


 そんな思考にふけっていたら、なんか阿辺がまだ喚いていた。正直聞いてなかったけど、まあいいか。
 一応、空はいつでも飛べるように、足にも魔力を集めておく。
 というか、回避と防御のために魔力は集めておこう。水の壁と空を駆けるイメージもきちんとしておく。


「本来、お前は俺たち救世主とついてくるのもおこがましいんだぞ! 天川のお情けでついてこさせてもらってるんだ! それを調子に乗ってさっきもその前もでしゃばりやがって! お前が口出ししてなかったら、もっと早く倒せていたはずだろ!」


「おい、阿辺! どうしてそんなことを言うんだ!」


 言わせとこうと思っていたら、佐野が反応しちゃった。
 というか、なんで唐突にこんな論理の破綻していることを言い出したのかね。
 なんでかな、アホなのかな。
 ここで仲間割れするメリットもあるまいに。


「うるさい! お前が庇うから清田は調子に乗るんだ! 事実だろうが! 清田が俺たちの中で最弱なことは!」


「そんなはずない! 今は清田も『職』が二段階進化している! 戦力的にはむしろ上の方と言ってもいいはずだ!」


「そんなわけあるか! あの程度のこと、俺たちなら誰だって出来る! ……ああ、そうか、お前も同じだもんなあ、佐野」


「何が同じなんだ!」


「攻撃するしか能がないってところが、さ! そしてその攻撃力は天川の下位互換! 戦闘しかできないのはお前と清田だけだもんな!」


「ッ!」


 さっきから阿辺は何が言いたいんだろう……


「それの何が悪い!」


「悪いだろ。だってお前ら、天川がいる限り役立たずってことだぜ?」


 ニヤニヤと、自分が少しばかり珍しい『職』だからかな。調子に乗ってるのはどっちだって話だけど……
 佐野がバカにされるのは、少しばかり不愉快かな。


「俺に関してはそれでもいいけど……何が言いたいの? 阿辺は。正直、お前がなんで喚いているのかが理解できないんだけど」


 活力煙を下に叩きつけ、もう一本取り出して火を点ける。


「自分が今まで全く活躍できてないから? 確かに、この塔の中でなんの魔物も倒してないのって、王女様と阿辺だけだもんね」


 ちなみに……空美はすさまじく身のこなしは悪いが、マホイミ的な技でかなりの数の魔物を葬っていた。それでも、Dランクくらいの魔物にしか対応できていないけど。
 ていうか、回復魔法だからガード無視だし、あのマホイミはマジでヤバい。


「佐野は身のこなしがいいから――魔物相手ならさておき、一対一タイマンなら天川より強いかもしれないよ。お前と違ってね」


 叩きつけた活力煙をグリグリと踏みつけて火を消す。


「というか、さっきの論法で行くと、難波と木原……あとは白鷺も、とにかく前衛全員いらないことにならない?」


「そ、それは今関係ないだろ! というか、魔物を倒してないとか言っていたけど、俺は結界での索敵という重要な仕事が……っ」


「まあそうだね。索敵はとても重要だよ。……もっとも、ここは隠れる場所が少ないから、索敵なんて殆ど意味をなしてないけどね。奇襲をかけられるような地形じゃないし。明るいし」


 というか、たぶん索敵だけなら加藤でも出来る。
 外で一番重宝されるのは阿辺だろうと確かに俺は言った。けど、このパーティーにおいては……阿辺は、正直いてもいなくてもいいレベルなんだよね。
 夜寝ていても大丈夫っていうのは確かにメリットだけど……別に十人もいれば交代で見張りしても問題なく睡眠はとれる。


「う、うるさい! 今それは関係ない!」


「そう。それで? 何が言いたいの?」


「だから! お前は本来役立たずなんだから! 難波じゃなくてお前が一番前に行けよ!」


 ふむ、そういうことか。
 つまり、俺が楽をしている(ように見える)ことと、前方にいる難波が心配なわけか。
 アホなのかな。


「役割的に俺じゃ不適格。ステータスとか、ビビりとかじゃなくて、難波のスキルが有用だって話になった結果なんだから。そもそも、一番前にさせられるのは、能力が高くなきゃ無理でしょ? お前の論法だと、肉壁になれと言われているようにしか思えないけど? 肉壁として使い潰すのは、非効率だからやめといた方がいいと思うけど」


「う、ぐ、ぐ……」


 真っ赤な顔になって黙り込む阿辺。
 何がしたかったのかね。


「もう気は済んだ? 天川、そろそろ行こうよ」


「え? あ、そうだな……よし、みんな。次が最後の敵だ。気を引き締めて行くぞ!」


「もしもケガしても私が治すから!」


「最悪、俺のテレポートで地上まで帰ろう」


「誰が神器をもらえるかわかんないけど、しっかり戦おうぜ! みんな!」


 天川の号令で、みんなが口々に一言ずつ言っていく。


「何か凄いのが出てきても、私が氷漬けにして見せます!」


「あたしがなんでも細切れにしてやんよ!」


 なんか全員死亡フラグくさい……
 俺、佐野、阿辺と王女様以外全員が言い終わると、天川が剣を抜いた。


「よし、行くぞ!」


「「「おお!」」」


 難波を先頭に、狭い通路を進みだす。
 中は暗い……が、前の人が見えないくらいじゃない。
 少しずつ警戒しながら進むが、なかなかこの通路を抜けない。


(というか……)


 ……どれだけ長いの? この通路。そろそろ五分くらい歩いてる気がするんだけど……
 割とうんざりしてきたところで、


「あ! なんか光が見えてきたぞ!」


 先頭を歩く難波が叫んだ。
 言われてヒョイと前方を覗くと、確かに光が見えてきてるね。


(出口……なわけないか。戦闘フィールドみたいなものがあるのかな?)


 こんな細い道から出るなんて……仮に待ち伏せされていたら、絶好の狙撃の的だ。そうでなくても、こんな狭い所で難波がスキルを使ったら後方がえらいことになる。


(風の結界をいつでも発動できるように準備して……)


 しかし、長く続く通路に辟易していた皆は終わりが見えたことで少し嬉しくなっているようだ。皆、少し足早に出口の方へ歩いていく。
 そして通路を抜けると……


「うおっ……」


 ――そこは、東京ドームほどはあろうかという、だだっ広い、真っ白な空間だった。


(気が狂いそうだ……)


 本当に白一色で気が狂いそうだ。屈んで足元を確認してみると、どうやら水晶のような物質らしい。
 ……なんだこりゃ。
 ドームの壁面も同じような物質で、ところどころデコボコとしている。


「……皆、隊列は崩すなよ」


 天川の指示通り、皆隊列を崩さず進んでいく。
 そして、向こうの方に……なんだ、あれ。


「青眼○白竜みたいな……置物?」


 そこには、全長30メートルはありそうな、巨大なドラゴンの置物がおいてあった。無論、こいつも真っ白だ。
 頭はとがり、口は大きい。太い足で地面に立っており、腕は長く、爪も大きい。東洋の龍ではなく、西洋のドラゴンって感じだ。


「すげえな……ありゃ」


 白鷺が感嘆の声を上げる。
 けど、あれがただの置物のはずがない。
 十中八九、アレが魔物だろう。


(それにしてもドラゴンって……はぁ、間違いなくSランク魔物だろうねえ)


 まだ魔力量は見えていない。あれが魔物であると仮定するなら、たぶん動き出すまで魔力量は見えないだろう。
 さて、どうすれば動き出すのか……


「清田」


 前にいた佐野が、振り返って声をかけてきた。


「どうしたの?」


「……あの置物が、魔物か?」


「アレ一体きりかはわかんないけど……たぶんそうなんじゃない?」


「加藤! この空間内に魔物はいるか!?」


 天川が叫ぶと、加藤がなにやら呪文を唱える。
 そして、薄い緑色のオーラが東京ドームほどもあるこの空間を包み込んだ。


「生物反応は無いけど、魔力反応はある……たぶん、あの竜の形をした石像だと思うよ」


「アレか……他にはいるか?」


「少なくとも、今のところはいない」


 か、加藤ってすごいね……俺でもわからない魔力をあっさり感知できるんだ。
 これで余計に阿辺のいらない子説が有力になってきたね。というかそもそも、さっきそれをしておけばウイングラビットの時もどうにかなったんじゃないかな?
 ――と、魔法を使ったのが合図だったのか。
 それとも別の要因があったのか。
 それは分からない。
 けれど、確かに何か俺たちがアクションしたんだろう。
 してしまったんだろう。






「グ、ギギ、グ、ギャアァァァァオァオァオアァオァオアァオアァオアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






 ビリビリと、全身が震える。


(――なんて咆哮だ!)


 ドラゴンが目覚めた。ただそれだけのはずなのに……何故か、俺の頭の中では物凄い音量で警鐘が鳴り響いている。
 今から、ヤバいことが起きる、と。


「白い身体、荘厳な雰囲気……開いた眼の色は紅か。そうだね、名づけるとするなら、レッドアイズホワイトゴーレムドラゴン……長いか。ゴーレムドラゴンってことで」


 ダメだ、見た目的に「青○の白竜」に関係ある名前しか思い浮かばない。


「そんな悠長なこと言っている場合か!」


 佐野からのツッコミが入る。いや、名前が無いと不便じゃん。
 まあ、そんな悠長なこと言ってる暇がないってのは同感だけどね。


「ぐっ、せ、先手必勝だ!」


 いち早く立ち直ったのは、白鷺だった。
 自らに身体能力強化系のスキルをかけ、ドラゴンに向かって全力で走り出す。
 ドラゴンとの距離はかなり離れているけれど、俺たちの身体能力なら数舜でたどり着く距離だ。


「みんな! 白鷺に続くぞ!」


「「「おう!」」」


 天川の号令と同時に、全員がゴーレムドラゴンの方へ突っ込んでいく。
 俺は活力煙から煙を吐き出し、地面に捨てて足で踏みつぶした。
 よしと前を向いて、走り出し……


 ――刹那のことだった。


 ヒュボッ


「「「え?」」」


 全員の声が重なった。
 そりゃあそうだろう。
 俺だって驚きに目を見開いてるんだから。


 俺が活力煙を捨てて、前を向いた瞬間には。
 白鷺が、跡形もなく消し飛んでいたんだから。



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