勇者に殺された俺はどうやら迷宮の主になったようです

ミナト日記

迷宮の構築 02

 1週間が過ぎた。
 迷宮内も最初に比べて大きくなり、大部屋が2つとなった。
 そして最後の部屋である俺の間も終わりが見えてきた。


 目の前では、大量の部下たちが最後の作業に取り組んでいる。
 その数、ゴブリンが50体、スライムは20体だ。
 何かとpが貰えたから、ついつい買ってしまった。


「アルジサマ、サイゴノヘヤ、オワッマシタ」


 そう、ゴブリンの一体が俺に知らせてくれた。
 他のゴブリンに比べ、体格は大きく、さらに腕には俺自家製の石こん棒が握られている。
 何を隠そう、なぜかこいつだけ大きくなってしまったのだ。
 それに、名前も変わり。


『おつかれ、ゴブリンキング』
「イエ、ツギハ、ナニヲスレバ?」
『全員ここに集合だ』
「ワカイマシタ」


 ドシドシと重めの体を響かせて部下の元へと向かうのを眺めた後、今度は大きめのスライムがやってくる。


「……」


 だが、スライムには口が無いため、喋らない。
 そのため、俺が魔法を使う必要がある。


『迷宮管理権限・テレパシー』
「「アルジサマ、コチラモ、オワリ」」
『了解した、じゃあお前らもここに集合な』
「ワカリマシタ」


 ヌルヌルと体を滑らせ、こちらも部下の元へと向かうスライムキング。


『それにしても、なんでこいつらだけがキングになったんだ?』
【-主の迷宮が特別なためと推測されます-】


 と、答える人工知能。
 一週間経つことでこいつのことも少しはわかるようになってきた。
 まず、人工知能は基本的に何も知らない。


 ――いや、知識はあるのか。
 だけど、俺みたいな異質の存在についての情報は何も持ち合わせていないようだ。
 だが、最近は自分の推測を話してくれるようになった。
 つまり、人工知能さんもモンスターと同様成長しているということなのか?


「アルジサマ、サマ、ソロイマシタ」
「「コチラモ、オナジ」」


 と、人工知能と喋っているうちに、全モンスターが目の前に整列してくれている。
 勿論、ゴブリンたちは膝をつき、スライムは、まぁいつも通りだ。


『皆、感謝する。お前らのお陰で予定よりも早く終わることができた。これで、次段階に移行することができる』
「ツギ、トハ?」
『なに、そろそろ準備が整った。これより、迷宮として活動することとする‼』
「「「オオオオオオオオオオッ‼‼」」」


 部下たちが一斉にどよめき、歓声を上げた。
 そして、キングたちが俺の前へと来る。


『ゴブリンキング、スライムキング』
「「ハッ!」」
『貴様らには、この迷宮の第1、第2の部屋の総括を任せる!』
「「「ウォォオオオオオオオオオオゥッ‼‼‼」」」


 先ほどよりも強い歓声が辺りに響く。
 それに、答えるかのようにゴブリンキングがこん棒を振り廻し、スライムキングは、バウンドする。


『そして、最後の間は俺が守護する』
「「「――」」」


 なぜか静まり返る部屋。
 モンスターたちが一様に驚いていた。


『どうした?』
「イエ、アルジサマガ、タタカウノデスカ?」
「「ワレラガ、シンヨウ、デキナイノデスカ?」」


 あれれ?
 何か変なことを言ったか?


【-通常、迷宮の主は戦いません。主が倒されると迷宮は崩壊します-】
【-ですので、主は見守るだけです-】


 えっ、そうなの?
 道理で、皆が驚くはずだ。


『……訂正しよう、冒険者退治はお前らに一任する』
「「「ウォオオオオオオオオオオオオ‼‼‼」」」


 部下たちが一斉に叫び、俺に対して頭を下げた。
 まぁ、なんとかやっていけそうだ。



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