神獣殺しの精霊使い
第41話 雑談と再び再来
朝日に照らされた楕円状の広場。
そこで、俺たちは朝食を摂っていた。
ここ最近、色々とありすぎたが、やっと落ち着ける。
目の前には、土魔法で作り上げたテーブルの上に携帯食料である固いパンに、森でとれた木の実と水が注がれた土コップが並んでいる、因みにコップは俺の自信作だったりする。
久々の食事なのもあり、誰も声を発しない、それどころか、マレイアは手当たり次第に取っては口に突っ込んでいく。
「むぐうっううっ」
「はい水」
「っんごくん、ありがとなのだ」
『少しは落ち着いてください』
「うん、でも久々の食べ物なのだ、これを前にしてがっつかれずにはいられないのだ」
と、注意しても悪びれずに次々と手を伸ばすマレイアに、それに呆れるルシア。
だが、ルシアも人のことをとやかく言えるはずはないのだが……
まぁ、俺も食べることに関しては食い意地が張るタイプだし、どっこいとでもしておくか。
「それで、これからどうするべきかな?」
「よくわからないのだ。だけど、師匠が救助しに来るとは思うのだ。なんだって、王国騎士団が仲間のつながりが強いのだ」
『ここは未開大陸ですよ? 本当に来るのですか?』
「たぶん、来るのだ。師匠から渡されたこれがある限り!」
「これ?」
「うん、これは、師匠特注の魔法道具の一つ、対象者の位置を正確に地図に反映することが出来る貴重な道具なのだ」
ほう、魔法道具と言えば、ルシアと出会う時に使った地図があったが、あれのすごい奴とでも思えばいいのかな。
「だから、ここから待っていれば、いつか助けが来ると思うのだ」
「どれくらいかかる?」
「それは師匠次第なのだ」
「なるほど」
どうやら、期待外れのようだ。
いつ助けに来るのかもわからない救援を待つなんて、流石にここじゃあしたくない。
それに、食料にも限界があるのだ。
「食料の限界もあるし、数日ここで待って、来なかったら進むってことでいいかな? そして進んだ先でも半日待つってことで」
「うん、それでいいと思うのだ」
『そうですね、バルバスク大陸とラルス国は繋がっているので、待つのも大事ですが、進むのもいいかもしれませんね』
えっ?
バルバスク大陸ってラルスに行けるのか?
てっきり、バルバスク大陸は別の大陸なのかと思っていた。
「歩いてラルスまで行けるのか?」
『はい、確かそのはずですよ? だって、この世界の大陸同士には繋がる道がありますので』
「ルシアは物知りなのだ。どうして、そんなに知っているのだ?」
『少し前に風神という人に教えてもらったんですよ』
「それにしても、よく覚えていたな」
『私は精霊ですから、記憶力が優れているのですよ、それこそ、バルたちの数十倍は簡単に暗記できますよ?』
やっぱり、精霊は特別ということか。
それはさておき、どうやら進めばいつかは戻れるのはいい情報だな。
「まあ、疲れがたまっていると思うし、救援が来るかもしれないし、出発は明日にしようか?」
「うん、それでいいのだ」
『わかりました』
とりあえず、少しばかりの休憩だ。
◆
それにしても、疑問がある。
一つ、なぜ貴重な魔法道具をマレイアは渡されたのか?
一つ、マレイアの師匠って何者だ?
まあ、師匠に関しては王国騎士団の実質的なトップの一人ということはわかっているが、それにしたって、魔法道具を何もなく渡しておくか?
それこそ、マレイアがあまりにも天然すぎて心配で渡しているということも考えられないこともないが。
「ちょっと、辺りを探索してくるよ」
『はい、いってらっしゃい』
「任せるのだ」
「すまないけど、ルシアも来てくれるかな」
『えええっ! まあ、いいですよ』
俺とルシアは広場から少し離れた森の中に行く。
因みに、ルシアの手には携帯食料と一緒に持ってきた砂糖菓子があり、それをパクパクと食べている。ほんと、マレイアよりも食い意地が張っているなあ。
『それで、何ですか? マレイアに聞かれたらダメなことなのはわかりますが……』
「いや、なんか気になってさ。なんでマレイアの師匠はなんで魔法道具を渡したのかなと思ってさ」
『それは、まあ心配だからじゃないですか? 正直、マレイアは天然さんですし』
それは、まあ俺も思っている。
だけど、それでも裏があるんじゃないかと疑ってしまう自分がいる。
それこそ、何か別の目的があるのでは……?
いや、流石にそれは考えすぎか。
ここ最近疲れたのもあり、神経質になりすぎているのかもしれない。
「やっぱり、何でもないや。どうやら、疲れすぎているのかも」
『そうですね、少しはバルも休んだ方がいいですよ。じゃないと、後々倒れてしまいますよ』
「そうだな、まあ、今日はのんびりするか」
色々と疑問はあるが、まあそれは追々聞けばいいか。
それこそ、マレイアが俺たちを殺すなんてことをするとは思えないし、信じるのも必要なことだな。
◆
次の日。
俺たちは、風魔法により地上を飛んでいた。
流石に昨日の今日なのもあり、高度を飛ばないように気を付けながらだ。
だけど、魔力にも限界があるので、そろそろ降りるべきか。
「着地するから、気を付けて」
「うん」
『はい』
初めての垂直方向への着地だったが、ルシアの手助けもあり、簡単に着く。
それに、風神とバールから施された活路変更のお陰か、以前よりも魔力消費が少なくなったような気がする。
ほんと、今まで無駄に魔力を使っていたということか。
「じゃあ、今日はここまでで、後は休憩にするよ」
と言い、俺はその場で寝転がる。
なんでも、寝ることが魔力回復には一番効果があるそうだ。
だが、その前に。
「マレイアに一つ聞いてもいいかな?」
「なんですか?」
「マレイアってどこに行くつもりだったんだ?」
「「王国騎士団の支部の一つに命令でいくつもりだったのだ。でも、規定で決まっているから内容は話せないのだ」
と、普通の返答しか帰ってこない。
どうやら、本当にマレイアも偶然格安の飛行船に乗ったということらしい。
それにしても、最近話していると少しずつマレイアのことがわかるようになった。
一つ、何故かたまに右上を見上げることがある。
一つ、聞いても教えてくれない時は、必ず規定と言う言葉を使う。
どうやら何か隠し事をしているような気がする。
でも、一体何を隠しているというのか。
「バルこそ、どうして?」
と、マレイアが聞いてくる。
そういえば、俺たちのこともそんなに話してなかった気がする。
「まあ、魔法大学にでも行こうかなと思ってさ、それで少しでも節約しようと思って格安飛行船に乗ったけど、まあ、マレイアと同じ状況になったってことかな」
「そうなのだ、もっと面白いお話はないのだ?」
「そうだな、あれは……」
―――
――
―
次の日。
夜更かしして、話しまくったせいか睡眠不足だ。
隣では、マレイアが爆睡している。因みにルシアは寝る必要がないため、寝転がっているだけだ。
「それにしても、バルバスク大陸は広いな。これだけ飛んでも未だにラルスの姿が見えないし」
『そうですね、魔力は回復するのでいいですが、でも少量不足です。狩りをすることも必要かもしれないです』
「『はあぁ』」
つい、二人そろってため息をつく。
ほんと、今頃は魔法大学で勉強しているはずだったのに。
転生してから、不運の嵐に見舞われている気がしてならない。
『バル? あれって?』
と、ルシアが右を向いて固まっている。
俺も、見てみると何故かマレイアの手のブレスレットが輝きを放っていた。
それこそ、眩しすぎる。
「なんだ?」
『これは、魔力?』
俺たちの見据えた先で、光はより一層強くなっていく。
そして、忽然と消えてしまう。
「今のはいったい?」
『本人に聞くしかないですかね』
ドーーーーーーーーーーーーン!!
突如、辺りに轟音が鳴り響く。
それに、真っ白な光が辺りを照らし、再度またもや轟音。
「えっと、今のは身に覚えが……」
『そうですね……』
「っ、土魔法」
急ぎ地下空間を作りだし、三人そろって飛び込む。
前と同じく、マレイアは寝たままであるが。
どうやら悪夢は終わっていなかったようだ。
雷鳥電王の再来だ。
そこで、俺たちは朝食を摂っていた。
ここ最近、色々とありすぎたが、やっと落ち着ける。
目の前には、土魔法で作り上げたテーブルの上に携帯食料である固いパンに、森でとれた木の実と水が注がれた土コップが並んでいる、因みにコップは俺の自信作だったりする。
久々の食事なのもあり、誰も声を発しない、それどころか、マレイアは手当たり次第に取っては口に突っ込んでいく。
「むぐうっううっ」
「はい水」
「っんごくん、ありがとなのだ」
『少しは落ち着いてください』
「うん、でも久々の食べ物なのだ、これを前にしてがっつかれずにはいられないのだ」
と、注意しても悪びれずに次々と手を伸ばすマレイアに、それに呆れるルシア。
だが、ルシアも人のことをとやかく言えるはずはないのだが……
まぁ、俺も食べることに関しては食い意地が張るタイプだし、どっこいとでもしておくか。
「それで、これからどうするべきかな?」
「よくわからないのだ。だけど、師匠が救助しに来るとは思うのだ。なんだって、王国騎士団が仲間のつながりが強いのだ」
『ここは未開大陸ですよ? 本当に来るのですか?』
「たぶん、来るのだ。師匠から渡されたこれがある限り!」
「これ?」
「うん、これは、師匠特注の魔法道具の一つ、対象者の位置を正確に地図に反映することが出来る貴重な道具なのだ」
ほう、魔法道具と言えば、ルシアと出会う時に使った地図があったが、あれのすごい奴とでも思えばいいのかな。
「だから、ここから待っていれば、いつか助けが来ると思うのだ」
「どれくらいかかる?」
「それは師匠次第なのだ」
「なるほど」
どうやら、期待外れのようだ。
いつ助けに来るのかもわからない救援を待つなんて、流石にここじゃあしたくない。
それに、食料にも限界があるのだ。
「食料の限界もあるし、数日ここで待って、来なかったら進むってことでいいかな? そして進んだ先でも半日待つってことで」
「うん、それでいいと思うのだ」
『そうですね、バルバスク大陸とラルス国は繋がっているので、待つのも大事ですが、進むのもいいかもしれませんね』
えっ?
バルバスク大陸ってラルスに行けるのか?
てっきり、バルバスク大陸は別の大陸なのかと思っていた。
「歩いてラルスまで行けるのか?」
『はい、確かそのはずですよ? だって、この世界の大陸同士には繋がる道がありますので』
「ルシアは物知りなのだ。どうして、そんなに知っているのだ?」
『少し前に風神という人に教えてもらったんですよ』
「それにしても、よく覚えていたな」
『私は精霊ですから、記憶力が優れているのですよ、それこそ、バルたちの数十倍は簡単に暗記できますよ?』
やっぱり、精霊は特別ということか。
それはさておき、どうやら進めばいつかは戻れるのはいい情報だな。
「まあ、疲れがたまっていると思うし、救援が来るかもしれないし、出発は明日にしようか?」
「うん、それでいいのだ」
『わかりました』
とりあえず、少しばかりの休憩だ。
◆
それにしても、疑問がある。
一つ、なぜ貴重な魔法道具をマレイアは渡されたのか?
一つ、マレイアの師匠って何者だ?
まあ、師匠に関しては王国騎士団の実質的なトップの一人ということはわかっているが、それにしたって、魔法道具を何もなく渡しておくか?
それこそ、マレイアがあまりにも天然すぎて心配で渡しているということも考えられないこともないが。
「ちょっと、辺りを探索してくるよ」
『はい、いってらっしゃい』
「任せるのだ」
「すまないけど、ルシアも来てくれるかな」
『えええっ! まあ、いいですよ』
俺とルシアは広場から少し離れた森の中に行く。
因みに、ルシアの手には携帯食料と一緒に持ってきた砂糖菓子があり、それをパクパクと食べている。ほんと、マレイアよりも食い意地が張っているなあ。
『それで、何ですか? マレイアに聞かれたらダメなことなのはわかりますが……』
「いや、なんか気になってさ。なんでマレイアの師匠はなんで魔法道具を渡したのかなと思ってさ」
『それは、まあ心配だからじゃないですか? 正直、マレイアは天然さんですし』
それは、まあ俺も思っている。
だけど、それでも裏があるんじゃないかと疑ってしまう自分がいる。
それこそ、何か別の目的があるのでは……?
いや、流石にそれは考えすぎか。
ここ最近疲れたのもあり、神経質になりすぎているのかもしれない。
「やっぱり、何でもないや。どうやら、疲れすぎているのかも」
『そうですね、少しはバルも休んだ方がいいですよ。じゃないと、後々倒れてしまいますよ』
「そうだな、まあ、今日はのんびりするか」
色々と疑問はあるが、まあそれは追々聞けばいいか。
それこそ、マレイアが俺たちを殺すなんてことをするとは思えないし、信じるのも必要なことだな。
◆
次の日。
俺たちは、風魔法により地上を飛んでいた。
流石に昨日の今日なのもあり、高度を飛ばないように気を付けながらだ。
だけど、魔力にも限界があるので、そろそろ降りるべきか。
「着地するから、気を付けて」
「うん」
『はい』
初めての垂直方向への着地だったが、ルシアの手助けもあり、簡単に着く。
それに、風神とバールから施された活路変更のお陰か、以前よりも魔力消費が少なくなったような気がする。
ほんと、今まで無駄に魔力を使っていたということか。
「じゃあ、今日はここまでで、後は休憩にするよ」
と言い、俺はその場で寝転がる。
なんでも、寝ることが魔力回復には一番効果があるそうだ。
だが、その前に。
「マレイアに一つ聞いてもいいかな?」
「なんですか?」
「マレイアってどこに行くつもりだったんだ?」
「「王国騎士団の支部の一つに命令でいくつもりだったのだ。でも、規定で決まっているから内容は話せないのだ」
と、普通の返答しか帰ってこない。
どうやら、本当にマレイアも偶然格安の飛行船に乗ったということらしい。
それにしても、最近話していると少しずつマレイアのことがわかるようになった。
一つ、何故かたまに右上を見上げることがある。
一つ、聞いても教えてくれない時は、必ず規定と言う言葉を使う。
どうやら何か隠し事をしているような気がする。
でも、一体何を隠しているというのか。
「バルこそ、どうして?」
と、マレイアが聞いてくる。
そういえば、俺たちのこともそんなに話してなかった気がする。
「まあ、魔法大学にでも行こうかなと思ってさ、それで少しでも節約しようと思って格安飛行船に乗ったけど、まあ、マレイアと同じ状況になったってことかな」
「そうなのだ、もっと面白いお話はないのだ?」
「そうだな、あれは……」
―――
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夜更かしして、話しまくったせいか睡眠不足だ。
隣では、マレイアが爆睡している。因みにルシアは寝る必要がないため、寝転がっているだけだ。
「それにしても、バルバスク大陸は広いな。これだけ飛んでも未だにラルスの姿が見えないし」
『そうですね、魔力は回復するのでいいですが、でも少量不足です。狩りをすることも必要かもしれないです』
「『はあぁ』」
つい、二人そろってため息をつく。
ほんと、今頃は魔法大学で勉強しているはずだったのに。
転生してから、不運の嵐に見舞われている気がしてならない。
『バル? あれって?』
と、ルシアが右を向いて固まっている。
俺も、見てみると何故かマレイアの手のブレスレットが輝きを放っていた。
それこそ、眩しすぎる。
「なんだ?」
『これは、魔力?』
俺たちの見据えた先で、光はより一層強くなっていく。
そして、忽然と消えてしまう。
「今のはいったい?」
『本人に聞くしかないですかね』
ドーーーーーーーーーーーーン!!
突如、辺りに轟音が鳴り響く。
それに、真っ白な光が辺りを照らし、再度またもや轟音。
「えっと、今のは身に覚えが……」
『そうですね……』
「っ、土魔法」
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