第九話　工房にて

コンコン
「入っていいわよ」
「失礼します」
「改めて自己紹介するね。ユクレディアよ、よろしく」
「あ、はい。どうも」
「じゃあ、ついてきて。案内するわ」
「え、どこ行くんですか？」
「どこって、工房よ」


ついに来た。今日からここがおれの本拠地。
一体どんな人がいるんだろう。
やっぱりドワーフとかがいるのかな？

「あのさ、鍛冶のリーダーって見た目あれだけど、気にしないで。中身はちゃんとしてるから」

なんか怖くなってきた。

「お兄ちゃん！連れてきたよ！」

やっべ、緊張してきた。
扉を開けるとヌゥゥゥっと大男が出てきた

「誰だ」
ヒィッ!!!!!

「あ、あの、えっと、よろしく、おね、がいし、ますぅ……」
「名前は？」
「や、がらす、で、す。」ブルブル……。

なんですか、この人。２ｍはあるぞ。スキンヘッドにサングラスって。
怖すぎるっ！

「こら、お兄ちゃん。怖がってるでしょ！」
「え、あぁ、ゴメン。怖がらないで」
「ヒィィィィィィ!!!!!」


「落ち着いた?」
「はい。お見苦しいところを……」
「よかったよ。どうもこの姿だとみんなから怖がられてしまってね」
「本当にすみません」

実はいい人なのだろうか？
さっきも怖がらないでと言っていたし。

「そんなに硬くならないでくれたまえ。自己紹介しないとな。グスタフだ」
「実はお兄ちゃん、視覚過敏なの。だからこういう眼鏡をつけてるの」
「ほぉ～、なるほど」

サングラスはどうやら光に敏感なためつけているらしい。

「そうだ、あの子たちも紹介しないとな。おい、君たち！新人が来たぞ！」
「あ、君がもしかして王様が言ってた新人かい？僕はデザート、よろしく！」
「谷鴉です。よろしくお願いします。」
「よろしく！あぁ、それでこっちが弟の……」

「……ベビー」

二人とも黒髪でイケメンだなぁ。
顔のパーツはほぼ一緒だ。
一卵性双生児というやつだろうか

「それから、あの人も紹介しないとな。おーい、ドーラ！」

ん？なんかあそこのタオル、動いたような……。
ガサガサ、ムクッ！
そう、まるでそこにあったタオルがホラー映画のように動いたのだ。

「え！」
「ん、どぉらぁですぅ。よろｓ……zzz」

寝ちゃった！
どうやら女性だったようだ。いわゆるロリ体系だ

「あれが私の妻のドーラだ。ああ見えてもドワーフなんだ。しょっちゅう寝てるがな」

ほえ～、あれがドワーフなのか。初めて見るなぁ。

「ごめんねー、お兄ちゃんの仕事仲間ってちょっと不思議な人たちばっかりでさ。でも他の作業員は普通だから大丈夫だから」
「はぁ……」
「じゃ、私仕事あるから。じゃあね」
「あ、はい。ありがとうございました」


「よし、ヤガラス君。早速だが君に仕事を頼みたい」
「はい、何でしょう」
「武器のデザインをしてくれ」

どうやら作るときにやはり使う人がデザインをしてくれると仕事が捗るらしい

「まぁ、問題ありませんが。」
「ありがとう！助かるよ！ヤガラス君！」
「は、はい」

まぁ楽しそうだし。悪くないかも。

「あぁ、実はもう一人、私に娘がいるんだが。そろそろ来るはずなのだが」
「まぁ、また今度でいいですよ」
「そうか、すまんなぁ」

でも、こんな人の娘ってどんな人だろう。
筋肉マッチョだったりして……。
そんなことを考えていると、扉がコンコンとなった。

「どうぞ」
「パパー！お弁当持ってきたよー!あれ、君は……！」
「ヤガラス君、紹介するよ。私の娘、ティアラだ」
「ヤ、ヤガラス様!?」

お前かよ!!!俺の担当メイドであるティアラさんが出てきたのである。
そう言えばこの人ドワーフと人間のハーフだったな。

「なんだ、二人は知り合いか?」
「俺の担当メイドなんですよ」
「あ、二人にもお弁当！」
「……ありがと」
「ほ、ほら、デザートもこれ……///」
「う、うん。ありがと！……///」
え～マジかよ。ここにもリア充発見。だが微笑ましいな。初々しさがにじみ出てる。
「……ヤガラス」
「は、はい」
「……あいつら、
  ……ああ見えて、くっついてないよ」
「え、マジすか！？」
クソッ！
なんでどこもかしこも、リア充ばっかなんだ！！！