パーティに見捨てられた罠師、地龍の少女を保護して小迷宮の守護者となる~ゼロから始める迷宮運営、迷宮核争奪戦~
三話 野盗退治
「つまり、ミリィが悪い人間に捕まったということですか?」
「まだそうと決まったわけじゃないけど、可能性が高いんだ」
「どうしてミリィはそんな無茶を……!」
目覚めたばかりのフォンが、顔を青くしている。
昨日まで普通に話していた友人が消えてしまったのだ。
僕だって、ずっと一緒に起きてあげるべきだったと後悔している。
「まさか龍族の――それも地龍の子が一緒だなんて、ノノ驚いちゃった!」
「悪いんだけど、この話は地上では内密にしてもらえると助かるよ」
「いいよ。ノノは優しいから。リーンくんの頼みを何でも聞いてあげる♪」
ノノはそう言って僕の肩に触れてくる。
彼女は上機嫌だった。理由はよくわからない。
その辺はあとで確かめるとして、ミリィをどう探すかだけど。
「ミリィが本来の姿に戻ったのか、彼女の足跡が一つもない。手掛かりが少なすぎる」
スライム状態の方が敵を引き付けやすいと考えたのか。
ミリィは臆病だけど、いざという時は勇気を振り絞れる子だ。
それが今回は悪いように働いたのかもしれない。無茶と無謀を履き違えている。
「本当に攫われたのだとしたら、周辺の野盗連中を片っ端から見つけて倒してしまえばよくない?」
「そんな単純な……」
フォンは呆れた表情でノノを見ていた。
当の本人は気にも留めず、耳を動かしながら周囲を探っている。
僕も今のところそれ以上の方法を思い付かない。獣人族の野生の勘に頼るしか。
「……むむ、あそこなんか怪しいよ! 足捌きが素人じゃない、人の気配が複数ある!」
ノノが遠くの森林を指差している。五感に優れた獣人の探知能力だ。
そして自信あり気に振り返り「どうする?」と、僕たちの反応を待っていた。
「そうだね。今は考えるより、とにかく行動すべきだ」
◇
「二人とも大丈夫~? 後ろついてこれる?」
先頭を歩くノノが邪魔な茂みを刈り取り、道を切り開いてくれる。
その言葉の節々から、腕っ節に自信があるのは垣間見えていたけど。
聞けば【森林の殺戮者】キラーマンティスを単身で倒せるとか。
それが本当だとしたら、彼女一人だけで【鋼の剣】を遥かに上回っている。
「……あの獣人の方は信用できるのですか?」
フォンが僕の耳元で囁く。迷宮核をいつでも使えるよう準備していた。
「僕の知り合いの妹さんだし、赤の他人以上には信頼できるよ」
「ですが、あまりにも協力的すぎるのが気になります」
「まぁ……確かにそうだね」
彼女は手を貸してくれるのだから。礼儀としてある程度、こちらの事情を説明している。
フォンとミリィが上級魔族であると正直に伝え、ユグドラシルの最上層を目指しているとも。
『ふ~ん。つまりリーンくんたちは当然、五層も通過するんだよね? ふふ~ん♪ まっかせて! ノノは困っている人を助けるのは嫌いじゃないから!』
と、まぁ彼女は終始こんな感じの反応で。
ミリィが魔族と知りながら、救出にかなり乗り気になってくれている。
獣人も魔の血を引くので、人間よりかは仲間意識があるのかもしれないけど。
ただ、彼女自身にも何らかの目的があると考えた方がいい。
何となくだけど、そこまで深刻になるほど裏があるとは思えない。
「……心配です。あの方のリーンに対する態度が、その……あまり好ましく思えないので。どうしてでしょうか……? 気持ちが落ち着かなくなるのです。こんなの初めてです……」
「そう? 僕は今のところ気にならないけど」
ノノはちょっと馴れ馴れしいところを除けば、一般的な獣人の少女って感じだ。
僕たちに危害を与えるつもりなら、寝込みを襲うだけで済んだわけだし。普通にいい子だと思う。
「……リーン」
フォンは僕の名前を呟きながら服を掴んでいた。
ミリィとは真逆で、何事にも動じないフォンが怯えている。
何だか僕の想像とは違う意味で怖がっているような気もするけど。
「見つけたよっ! ここに悪そうな匂いが充満してる!」
野営をしていた所から、西にある森林の奥地。
誰も立ち入らないであろう、道外れの一角に木造の建築物が。
砦のような侵入者を拒む造りになっている。ご丁寧に糸が張られ、音が鳴る仕掛けまで。
ノノが慎重に人工の罠を抜けていく。
そして、なんと一人で敵陣のど真ん中に飛び込んでいった。
「な、なんだこの餓鬼は!?」
見張りをしていた男が侵入者に驚いている。
当然だ、僕たちも驚いている。まさか躊躇いなく突っ込むなんて。
「貴方たちが攫った女の子を連れ戻しにきただけだよ!」
「はあぁ!? 一体何のことだか、わけわかんねぇぞ!」
「恍けても無駄だから。こんな場所に潜んでいるからには、何か後ろめたい悪さをしているんでしょ?」
「……く、くそっ、よくわからんが否定はできない。見られたからには捕まえて――――グホッ」
「ふふん、残念でした」
ノノが神速で男を蹴り飛ばす。予備動作は見えなかった。
相手は遥か先の建物に激突して、腹を押さえ悶絶している。
「どうした!? これは何の騒ぎだ!!」
「敵襲だ! 獣人の餓鬼が仲間を――――ぐふっ」
「気を付けろ、小さいとはいえかなりの腕前で――――ぶへっ」
騒ぎを聞きつけて、柄の悪い男たちが集まってくる。
ノノは余裕の表情を崩さず、一人ずつ確実に戦闘不能にしていく。
噂に違わず、獣人族は勇猛果敢で数の差をものともしない。人間とは基礎能力が違う。
「うわっ、恐ろしく強い。二層の変異種を倒せるだけあって、野盗は相手にもならないのか」
ノノは背中の武器を一切使わなかった。素手だけで戦っている。
相手の鉄鎧も拳一つで粉砕していた。とんでもない頑丈さと馬鹿力だ。
獣人の身体能力とスキルを掛け合わせているのだろう。《怪力》といったところか。
僕とフォンが手伝う隙もなく、気絶した野盗たちで山が積まれていた。
「あれれ、ミリィって子が見当たらないなぁ?」
ノノは野盗の砦を探し回っている。砦とはいっても簡易的なもので。
三人で手分けすれば数分も掛からない規模だ。それでも、ミリィの姿が何処にもない。
「もしかして、外れを引いちゃったかな? じゃあ次の野盗探しでも――――」
「……! ノノ、後ろだ危ない!!」
よそ見をしていたノノの背後から、巨漢の男が大斧を振り上げていた。
僕の声を聞いて、ノノは僅かに身体を傾けた。斧が空間を縦に切り裂き地面に突き刺さる。
その場で回転。片足を男の腹にねじ込ませ、更に飛翔して背後に回ると太い首を勢いよく折った。
「……あっ、やり過ぎちゃった」
ノノは焦りながら何とか男の首を戻そうとしていたが、諦めてしまう。
男は無事に生命活動を停止させていた。誤魔化すように苦笑いしながら彼女は戻ってきた。
「あはっ、教えてくれてありがとね、リーンくん♪」
「ふぅ……無事でよかったよ」
もう一度、敵が潜んでいないか確認する。砦には人質が囚われているような事はなかった。
ただ、奥の天幕を探っていたフォンが何かを見つけらしい。僕たちを大きな声で呼んでいた。
「リーン、これを見てください!」
「どうしたの? ――――って、凄い……大量の魔石だ!」
大きな木箱に見たことがない数の魔石で溢れていた。
等級も屑から銅、鉄、鋼、銀まで。売ればミズガルズで豪邸を建てられる。
《魔力探知》を妨害する布まで掛かっている。これも下手な装備より高価な品だ。
目の前の宝の山は、貧乏人にとっては現実感がなさすぎて、絵画を見ているような錯覚を受ける。
あとから天幕に入ってきたノノも目を見開かせる。
「わあっ、びっくり。ノノもこんな量のお宝を見るの初めてかも!」
「……流石に、迷宮核に吸収するのも躊躇いますね」
「それはやめておこう。野盗の個人所有物とは思えない。殆どが盗品だろうから」
村を行き来する行商人から奪った物か。どちらにしろ、他人の物を奪うのはよくない。
僕たちは正規の手段で野盗と戦っていないので。下手に触れると犯罪者と同じ扱いになってしまう。
しかし、ミリィを探していて別の事件に首を突っ込んでしまった。肝心の彼女は一体何処に……。
「さぁ、次も張り切っていこう!」
次に犠牲となる野盗を探しにノノが外に出ていく。
すると、天幕の前の茂みから大きな足跡が響いてきた。
「――そこまでです悪い人間さん! 今すぐリーンさんと、フォンさんを解放してください!!」
茂みから飛び出してきた少女が、目を瞑りながら木の枝を振り回す。
「えっ、えっ、誰!? ノノは何もしてないよ!? ちょっと、君、落ち着いて!」
「わ、ワタシがお二人を助けるんです! こ、怖くない、怖くないですからぁ!!」
「襲われてるノノの方が怖いよ! ……この子がミリィって子だよね? リーンくん、どうにかして!」
ノノは片腕で軽く拘束すると、僕たちの方を見ながら困った表情を浮かべる。
「……ミリィ? 何をしているの……?」
僕が尋ねると、ミリィは僕とフォンの存在に気付き木の枝を落した。
「ふぇっ? リーンさんに、それにフォンさんも……悪い人間さんに捕まったんじゃ?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇野盗
主に第一層で暴れ回る人間の集団。稀に上層にも現れる。
元は地上で活動していた連中が、ユグドラシルに移り住んだケースが殆ど。
元冒険者や冒険者未満が多く、狙われるのは一般市民や低ランク冒険者ばかり。
もちろん対策も行われているが、広大な迷宮異世界では調査するにもコストが掛かる。
また、名のある野盗は裏で貴族などと繋がっており、妨害などもあって成果は芳しくないようだ。
「まだそうと決まったわけじゃないけど、可能性が高いんだ」
「どうしてミリィはそんな無茶を……!」
目覚めたばかりのフォンが、顔を青くしている。
昨日まで普通に話していた友人が消えてしまったのだ。
僕だって、ずっと一緒に起きてあげるべきだったと後悔している。
「まさか龍族の――それも地龍の子が一緒だなんて、ノノ驚いちゃった!」
「悪いんだけど、この話は地上では内密にしてもらえると助かるよ」
「いいよ。ノノは優しいから。リーンくんの頼みを何でも聞いてあげる♪」
ノノはそう言って僕の肩に触れてくる。
彼女は上機嫌だった。理由はよくわからない。
その辺はあとで確かめるとして、ミリィをどう探すかだけど。
「ミリィが本来の姿に戻ったのか、彼女の足跡が一つもない。手掛かりが少なすぎる」
スライム状態の方が敵を引き付けやすいと考えたのか。
ミリィは臆病だけど、いざという時は勇気を振り絞れる子だ。
それが今回は悪いように働いたのかもしれない。無茶と無謀を履き違えている。
「本当に攫われたのだとしたら、周辺の野盗連中を片っ端から見つけて倒してしまえばよくない?」
「そんな単純な……」
フォンは呆れた表情でノノを見ていた。
当の本人は気にも留めず、耳を動かしながら周囲を探っている。
僕も今のところそれ以上の方法を思い付かない。獣人族の野生の勘に頼るしか。
「……むむ、あそこなんか怪しいよ! 足捌きが素人じゃない、人の気配が複数ある!」
ノノが遠くの森林を指差している。五感に優れた獣人の探知能力だ。
そして自信あり気に振り返り「どうする?」と、僕たちの反応を待っていた。
「そうだね。今は考えるより、とにかく行動すべきだ」
◇
「二人とも大丈夫~? 後ろついてこれる?」
先頭を歩くノノが邪魔な茂みを刈り取り、道を切り開いてくれる。
その言葉の節々から、腕っ節に自信があるのは垣間見えていたけど。
聞けば【森林の殺戮者】キラーマンティスを単身で倒せるとか。
それが本当だとしたら、彼女一人だけで【鋼の剣】を遥かに上回っている。
「……あの獣人の方は信用できるのですか?」
フォンが僕の耳元で囁く。迷宮核をいつでも使えるよう準備していた。
「僕の知り合いの妹さんだし、赤の他人以上には信頼できるよ」
「ですが、あまりにも協力的すぎるのが気になります」
「まぁ……確かにそうだね」
彼女は手を貸してくれるのだから。礼儀としてある程度、こちらの事情を説明している。
フォンとミリィが上級魔族であると正直に伝え、ユグドラシルの最上層を目指しているとも。
『ふ~ん。つまりリーンくんたちは当然、五層も通過するんだよね? ふふ~ん♪ まっかせて! ノノは困っている人を助けるのは嫌いじゃないから!』
と、まぁ彼女は終始こんな感じの反応で。
ミリィが魔族と知りながら、救出にかなり乗り気になってくれている。
獣人も魔の血を引くので、人間よりかは仲間意識があるのかもしれないけど。
ただ、彼女自身にも何らかの目的があると考えた方がいい。
何となくだけど、そこまで深刻になるほど裏があるとは思えない。
「……心配です。あの方のリーンに対する態度が、その……あまり好ましく思えないので。どうしてでしょうか……? 気持ちが落ち着かなくなるのです。こんなの初めてです……」
「そう? 僕は今のところ気にならないけど」
ノノはちょっと馴れ馴れしいところを除けば、一般的な獣人の少女って感じだ。
僕たちに危害を与えるつもりなら、寝込みを襲うだけで済んだわけだし。普通にいい子だと思う。
「……リーン」
フォンは僕の名前を呟きながら服を掴んでいた。
ミリィとは真逆で、何事にも動じないフォンが怯えている。
何だか僕の想像とは違う意味で怖がっているような気もするけど。
「見つけたよっ! ここに悪そうな匂いが充満してる!」
野営をしていた所から、西にある森林の奥地。
誰も立ち入らないであろう、道外れの一角に木造の建築物が。
砦のような侵入者を拒む造りになっている。ご丁寧に糸が張られ、音が鳴る仕掛けまで。
ノノが慎重に人工の罠を抜けていく。
そして、なんと一人で敵陣のど真ん中に飛び込んでいった。
「な、なんだこの餓鬼は!?」
見張りをしていた男が侵入者に驚いている。
当然だ、僕たちも驚いている。まさか躊躇いなく突っ込むなんて。
「貴方たちが攫った女の子を連れ戻しにきただけだよ!」
「はあぁ!? 一体何のことだか、わけわかんねぇぞ!」
「恍けても無駄だから。こんな場所に潜んでいるからには、何か後ろめたい悪さをしているんでしょ?」
「……く、くそっ、よくわからんが否定はできない。見られたからには捕まえて――――グホッ」
「ふふん、残念でした」
ノノが神速で男を蹴り飛ばす。予備動作は見えなかった。
相手は遥か先の建物に激突して、腹を押さえ悶絶している。
「どうした!? これは何の騒ぎだ!!」
「敵襲だ! 獣人の餓鬼が仲間を――――ぐふっ」
「気を付けろ、小さいとはいえかなりの腕前で――――ぶへっ」
騒ぎを聞きつけて、柄の悪い男たちが集まってくる。
ノノは余裕の表情を崩さず、一人ずつ確実に戦闘不能にしていく。
噂に違わず、獣人族は勇猛果敢で数の差をものともしない。人間とは基礎能力が違う。
「うわっ、恐ろしく強い。二層の変異種を倒せるだけあって、野盗は相手にもならないのか」
ノノは背中の武器を一切使わなかった。素手だけで戦っている。
相手の鉄鎧も拳一つで粉砕していた。とんでもない頑丈さと馬鹿力だ。
獣人の身体能力とスキルを掛け合わせているのだろう。《怪力》といったところか。
僕とフォンが手伝う隙もなく、気絶した野盗たちで山が積まれていた。
「あれれ、ミリィって子が見当たらないなぁ?」
ノノは野盗の砦を探し回っている。砦とはいっても簡易的なもので。
三人で手分けすれば数分も掛からない規模だ。それでも、ミリィの姿が何処にもない。
「もしかして、外れを引いちゃったかな? じゃあ次の野盗探しでも――――」
「……! ノノ、後ろだ危ない!!」
よそ見をしていたノノの背後から、巨漢の男が大斧を振り上げていた。
僕の声を聞いて、ノノは僅かに身体を傾けた。斧が空間を縦に切り裂き地面に突き刺さる。
その場で回転。片足を男の腹にねじ込ませ、更に飛翔して背後に回ると太い首を勢いよく折った。
「……あっ、やり過ぎちゃった」
ノノは焦りながら何とか男の首を戻そうとしていたが、諦めてしまう。
男は無事に生命活動を停止させていた。誤魔化すように苦笑いしながら彼女は戻ってきた。
「あはっ、教えてくれてありがとね、リーンくん♪」
「ふぅ……無事でよかったよ」
もう一度、敵が潜んでいないか確認する。砦には人質が囚われているような事はなかった。
ただ、奥の天幕を探っていたフォンが何かを見つけらしい。僕たちを大きな声で呼んでいた。
「リーン、これを見てください!」
「どうしたの? ――――って、凄い……大量の魔石だ!」
大きな木箱に見たことがない数の魔石で溢れていた。
等級も屑から銅、鉄、鋼、銀まで。売ればミズガルズで豪邸を建てられる。
《魔力探知》を妨害する布まで掛かっている。これも下手な装備より高価な品だ。
目の前の宝の山は、貧乏人にとっては現実感がなさすぎて、絵画を見ているような錯覚を受ける。
あとから天幕に入ってきたノノも目を見開かせる。
「わあっ、びっくり。ノノもこんな量のお宝を見るの初めてかも!」
「……流石に、迷宮核に吸収するのも躊躇いますね」
「それはやめておこう。野盗の個人所有物とは思えない。殆どが盗品だろうから」
村を行き来する行商人から奪った物か。どちらにしろ、他人の物を奪うのはよくない。
僕たちは正規の手段で野盗と戦っていないので。下手に触れると犯罪者と同じ扱いになってしまう。
しかし、ミリィを探していて別の事件に首を突っ込んでしまった。肝心の彼女は一体何処に……。
「さぁ、次も張り切っていこう!」
次に犠牲となる野盗を探しにノノが外に出ていく。
すると、天幕の前の茂みから大きな足跡が響いてきた。
「――そこまでです悪い人間さん! 今すぐリーンさんと、フォンさんを解放してください!!」
茂みから飛び出してきた少女が、目を瞑りながら木の枝を振り回す。
「えっ、えっ、誰!? ノノは何もしてないよ!? ちょっと、君、落ち着いて!」
「わ、ワタシがお二人を助けるんです! こ、怖くない、怖くないですからぁ!!」
「襲われてるノノの方が怖いよ! ……この子がミリィって子だよね? リーンくん、どうにかして!」
ノノは片腕で軽く拘束すると、僕たちの方を見ながら困った表情を浮かべる。
「……ミリィ? 何をしているの……?」
僕が尋ねると、ミリィは僕とフォンの存在に気付き木の枝を落した。
「ふぇっ? リーンさんに、それにフォンさんも……悪い人間さんに捕まったんじゃ?」
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◇野盗
主に第一層で暴れ回る人間の集団。稀に上層にも現れる。
元は地上で活動していた連中が、ユグドラシルに移り住んだケースが殆ど。
元冒険者や冒険者未満が多く、狙われるのは一般市民や低ランク冒険者ばかり。
もちろん対策も行われているが、広大な迷宮異世界では調査するにもコストが掛かる。
また、名のある野盗は裏で貴族などと繋がっており、妨害などもあって成果は芳しくないようだ。
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