不死

ノベルバユーザー428326

終戦と開戦

俺が出発してもう一週間は経ったぜ…ガハハ!!

多くの民を殺してきたが…やっぱり特に何も感じねぇや…ははは。

「さぁて、まぁ魔法の使いすぎで疲れないわけではないんだが…50-1 精神回復」

心の問題だ。
体力的な問題はほぼない。というかない。が、精神的問題はある。肉体を休ませず恒久的に動かし続けることにより、精神の疲労が激しくなってしまうのだ。

「さてと、次のとこに向かうかぁ…」

兵は軍隊的に固まっているわけではない。
かなり散り散りと言ったところだ。

故に、一気に倒す、などということは出来ない。

「───!?」

そんな時。俺の顔面が崩壊した。

いや、ネタ的な意味じゃねぇよ?本当に、崩壊した。

「っ、ぉ、おおおっ、なんだ?」

顔が復元していく中見たのは、十の影。

「…?なんだてめぇら」

「なんだとは失礼な。王都バーサクの十戦士といえば、我々のことを言うのだぞ?」

「王都バーサクの十戦士?」

「そうよ、歴史に名を残す、伝説の戦士といえば私達のこと」

「自分で言うかよ」

が、伝説の戦士か。燃えるねぇ!そんな奴らと戦えるなんて…

訓練が試されるぜ。約七十年の積み重ねが。

まぁ、基本戦術は魔術なんだが。

「66-98 悪魔的空間」

瞬間、辺りを囲うように漆黒の煙が吹き荒れる。
これは使用した本人には影響を与えないが、しかし、それ以外の万物に悪影響を及ぼす。

さらにこの場合凶悪なのは、その悪影響の内容である。

その煙は、全てに害を及ぼす。然り肉体、然り精神。

あらゆる害をもたらすのだ。

が、十の影は軽く揺らいだだけで、殆どダメージにはなっていない。

「87-3 剣製。87-4 槍製」

両の手に、魔法で作られた剣と槍が握られる。

「いくぞッ!」



一週間が経った。

「流石に強いな…何回死んだか分からん…」

「馬鹿…な…不死身…とはこれほどまでに…厄介…なのか…ゴフッ」

ようやく十人を倒しきった。

なかなかの強敵だった。

「ふぅ、はやく他の兵たちを倒さないと…」

意を決して、その疲弊した体を動かし、また兵を屠ろうと、ラビエンテが動き出す───

──よりもはやく地面がぶつかった。

「は?」

グらぁと世界が揺れる感覚。吐き気。

「ん?な、なんだ…立てん…」

というか。これは…

「ね、眠い…」

めちゃくちゃに眠い。

「あ、やば…い」

こんなところではダメだと分かっていながらも、ラビエンテは眠ってしまった。

そして、長きにわたる時が流れる。



そして。

それからおよそ七千年が経った。



ドクン…ドクンと体が鐘うつようだ。

何か…に栄養…力を吸われている?

あぁ、そんなことどうでもいいか。

何だろうか、ここは。

温かい。

しかし、ひんやりとしている。

何度も死んでいるが、気にはならない。

あぁ、また眠たくなっ…た。



「だーかーらぁ、そーじゃないっていってるじゃん!」

八重歯を覗かせる幼女は、上から物を言うように、近くの男共に言った。

「邪魔、消えなさい」

「え、でも」

「70-2 洗脳 さ、消えなさい」

「…は、い」

彼女、リヴェロ・ラ・ディエルは吸血鬼である。

それも由緒正しき血統の、だ。

また非凡であり、あらゆる才能に恵まれた。

それは知能であり、運動であり、魔法であった。

吸血鬼の中でも、低レベルな吸血鬼は、太陽光だけで死んでしまう。また、中位の吸血鬼だろうが、聖の力には弱い。上位もまた然りだ。

しかし、リヴェロにとっては、その程度は些細なこと。

弱点など、ない。

不老不滅の永久生物だ。

───が、自分は真の不滅ではないことを知っている。

それは、リヴェロの祖父の存在にあった。

リヴェロの祖父の名を、ラディア・レ・ディーア。

原初の生物である。

「ほんと、あーゆーのってなんなんだろ」

ああいうのは、本当に訳が分からない。

吸血鬼の不滅と言うのは、原子レベルで粉々にされたら、流石に回復は困難を極める。

しかし、あの祖父は違う。

リヴェロの持つ究極魔法でも、ほぼ傷一つつかなかった。

それに、多少かすり傷くらい出来たとしても、一瞬で再生する。

吸血鬼において、再生は防御だ。

しかし、防御が無いわけでは無い。防御がない分を再生で補っているのだ。

しかし、祖父の場合、防御、再生においても、誰も敵わない領域にある。

この、帝国最強と呼ばれた私でさえも。

「…誰か勝てるのかしら」

どうなのだろうか。
実現不可能だろう。まず、祖父以外で私に勝てる奴を知らない。

「あ、あのリヴェロ様…」

「ん?」

専属秘書がリヴェロに話しかけた。

「ご存じかと思いますが、王都バーサク十戦士が、何者かに敗北しました」

「…ふぅん…そう………って、え?」

「しかも、たった一人に、です」

「…確か敵国は王都ニンベルグよね?ってことはニンベルグにはそれだけの戦闘能力をもつ奴がいるってこと…?」

「そうかもしれません」

「ふぅん、面白そうじゃない」

王都バーサク十戦士と言えば、歴史に名を残すほどの、イレギュラー達の集いだ。

あれほどの戦士は、リヴェロには及ばないとしても、相当の強さだと言える。

「そう言えば、帝国も、そろそろ武闘祭の時期じゃない?」

「そうですね」

「竜国も変な干渉をしてくるものよね…ま、お祖父さまの知り合いがいるらしいけど…」

竜国が、帝国に、武闘祭をしてほしい、というよく分からない願いをしてきた。

が、帝国はもろもろの事情により、それを受諾しなければならなかった。

面倒くさい。

その時、扉越しにノックの音がした。

「入りなさい」

「わしじゃよ、わし」

「お、お祖父さま…」

「ちと話があってな」

「は、はい」

「最近、王都バーサク十戦士が敗れたことだが、その関与者について話しておこう」

──祖父が語るには、原初の生物という生き物がいるらしい。

そして、今回はその者が関与している可能性が高いそうだ。

「原初の生物?」

「わしもその一人じゃ。原初の五生物、人、竜、蛙、吸血鬼、犬…それらの生物じゃ。それらは皆絶大な力をもっておる。一国が傾くほどにな」

「そんな…?」

「というか、世界が、と言ってもいいかもしれん…かく言うわしも…」

と、言って、リヴェロの祖父、ラディアは言葉を濁した。

いっていいものか、躊躇ったのだ。

原初の生物の中で最弱なのは、わしだ、と。

それでさえ世界を傾かせる力をもっている。

今は眠っているやもしれん、ラディアの先輩あたりが起きたら大変だ。

「少し、竜国に行ってくる」

「分かりました」

「まぁ、お前なら大丈夫だと思うが、どうしても大変な時は、こう唱えろ。『エンシェント』ってな」

「エンシェント?」

「本当にピンチの時は、助けてくれると思うぞ」

始祖がな。と、ラディア。

「では、わしは行く。そうそう、神国によろしく頼むぞ、治癒の天恵をな」

「分かりました」

「じゃ」

そうして祖父は部屋から出て行った。

「なぁんか、退屈ね…」

リヴェロは、足をバタバタさせた。




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