不死
魔術
海を泳いで三年近く。
とある孤島にたどり着く。そこにはちらほらと集落が見られた。
「ハッハー、一応人はいるのか」
さてと、挨拶でもするか。
◇
二十年後。
「さぁて、今日は何をするか」
「ラビエンテさん、あの、大変です」
「んぁ?」
「なんでも、漁に出た男達が…」
俺は今、この村の村長候補になっていた。
まあ、二十年も住んでたらそうなるかもなぁ、はは。おまけに外の情報も多く持ってるわけだしなぁ。
「漁に出た男達が、どうしたぁ?」
「いえ、なんか、とりあえずラビエンテさんを呼んで、と」
「分かったぜー、行ってみるぜー」
この島の漁場は一カ所しかないからな。
ハッハー。
走って数分で着いたぜー。
「んで、なんだー、いきなり俺をよんでー」
「…!ラビエンテはん」
「ん、なんだ、おい」
そこには見知らぬ男達がいた。なかなかに良いがたいしてやがる。
んまぁ、見た目からこの島の住人じゃねぇだろぅな。
「お前たち、誰だ?」
「私達は、とある国の命令でここまで来た。お前を連れてこいとの命令でな」
「俺?誰だ?そんなことするやつとは知り合いじゃねぇな」
「とにかく来い」
「んお」
体を無理やり引っ張られる。
かなりの力じゃねぇか。この雑兵が。
「やめてください!」
「…なんだ、お前は」
「それはこっちのセリフです。いきなりラビエンテさんを連れ去ろうとして!」
「連れ去る?何を言うか。ただの帰郷だ」
「帰郷?」
「よく考えてみろ。お前幾つだ?」
「21ですが」
「お前が赤ん坊の時から、こいつは何か変わったか?」
「…」
「分かったか?こいつは、#不老__・__#なんだよ」
「…実験にでも使うつもりですか!」
「…それはお前の知るところではない」
…あーあー、めんどくせー。
「リルヴァか?」
「…?」
兵ははてなと首を傾げる。
「何のことを言ってるのかは知らんが、とにかく連れて行くからな」
「そんな、ラビエンテさん!」
「おー、みんなすまねーなぁ、ちといってくるー」
まぁ戻ってくることは無いだろぅなー。
◇
「ここは、どこだったっけか」
「ここは王都、ニンベルグだ」
「そんなとこあったっけ、てか俺を連れて来いって言った奴どいつだよ、会わせろよ」
「ふん、直にくるさ」
「そうかい」
よく分からない白い部屋で待たされた。というかここは王都なのだろうか。だとしたら本当に何年ぶりにくるだろう。初代国王は生きているだろうか。というか、船に乗ってからの記憶があまりない…
──ガチャ
「あら、捕まえられたのね!」
「はっ、こちら、不老不死でございます」
「あなたが不老ね」
目の前に出てきたのは、化粧の少しきつめな女だ。はっ、なんだこいつ。
「知り合いか、あんた。誰だ?俺はしらねぇんだがな」
「まぁ、それもそうね。悠久の時を生きるあなたは、殆どの人間を忘れているでしょうから。でもね、この王都初代国王のことは覚えているでしょう?」
「ん、あぁ、あいつは印象的な方だったからな」
「今はもう五十八代目だけど、太古の文献が発見されたの」
「あぁ」
「考古学者に解読させたら、なんでも、不老の存在がこの世にはある、そしてそれを手に入れた国こそ勝つ、って書いてあったのよ」
「へぇ、そうかい」
「だから、あなたを捕まえたの」
「…ふぅん、でもよく分かったなぁ」
「ウチの最高の魔術師に頼んだの」
ふぅん、魔術ねぇ。
「…ん?魔術?なんだそれ!」
「…え」
「───え」
「───え」
俺以外の皆が固まった。
「…?どうした」
「ま、魔術を知らないの…?」
「あぁ」
「それ、数学知らないみたいなものよ」
「馬鹿にしているのか?だが本当に知らないんだよなぁ、教えてくれよ」
「はぁ、教わるなら…」
女がパンパンと手を叩く。
すると、また別の女が現れた。童女である。
「なんだ、このガキ」
「一応立派な魔術師よ」
「へぇ、あぁ、魔法使いみたいなものか」
「…なによ、知ってるじゃない」
「いや、俺の時代は、マジシャンといってな、まぁ、ただの騙し芸だな。それが流行ってた時もあったんだよ」
「へぇ…まぁ、とにかく今はあまりあなたに干渉しないでおくわ。ってことでこれからあなたは王都在住の不老不死、ラビエンテとして生きて貰うわ」
「目的は?」
「そうね、あなたを最高の戦士にすることかしら。これから、毎日国の最高兵士たちと毎日戦わせるから…ま、最高の暮らしもさせてあげるから、等価交換ね」
「なんだそれ」
「あ、最後にあなたの不死性を確かめて良い?」
「ん、あぁ」
女は腰にあったナイフを抜き取り、容赦なくずぷりと俺の腹にナイフを差した。
相当な力だ。
「痛いなぁ」
「そう、ナイフが抜けないんだけど…」
「ん、あぁ、抜いてみろよ」
「ふん」
すかっ、と空回りしたように、女はどたっと尻餅をつく。
まるで、綱引きをしていたら、片方が急に力を抜いて、自分から転ぶように。
「え、ない…」
「あぁ、一緒に再生した」
「…なによそれ」
最高じゃない、と女は言った。
「あと、この魔術師はあなたの専属の家庭教師みたいなものだからね」
「はいはい、このガキが?」
「死ね」
ガクッ…意識飛んだわ。
「なにすんだよ」
「すごい、ホントに生きてる」
「あぁ?もしかして今の一瞬で俺を一回殺したのか?」
「そう」
なんだよ、王都。
「くふふ、ガハハ」
楽しそうじゃねぇか!
とある孤島にたどり着く。そこにはちらほらと集落が見られた。
「ハッハー、一応人はいるのか」
さてと、挨拶でもするか。
◇
二十年後。
「さぁて、今日は何をするか」
「ラビエンテさん、あの、大変です」
「んぁ?」
「なんでも、漁に出た男達が…」
俺は今、この村の村長候補になっていた。
まあ、二十年も住んでたらそうなるかもなぁ、はは。おまけに外の情報も多く持ってるわけだしなぁ。
「漁に出た男達が、どうしたぁ?」
「いえ、なんか、とりあえずラビエンテさんを呼んで、と」
「分かったぜー、行ってみるぜー」
この島の漁場は一カ所しかないからな。
ハッハー。
走って数分で着いたぜー。
「んで、なんだー、いきなり俺をよんでー」
「…!ラビエンテはん」
「ん、なんだ、おい」
そこには見知らぬ男達がいた。なかなかに良いがたいしてやがる。
んまぁ、見た目からこの島の住人じゃねぇだろぅな。
「お前たち、誰だ?」
「私達は、とある国の命令でここまで来た。お前を連れてこいとの命令でな」
「俺?誰だ?そんなことするやつとは知り合いじゃねぇな」
「とにかく来い」
「んお」
体を無理やり引っ張られる。
かなりの力じゃねぇか。この雑兵が。
「やめてください!」
「…なんだ、お前は」
「それはこっちのセリフです。いきなりラビエンテさんを連れ去ろうとして!」
「連れ去る?何を言うか。ただの帰郷だ」
「帰郷?」
「よく考えてみろ。お前幾つだ?」
「21ですが」
「お前が赤ん坊の時から、こいつは何か変わったか?」
「…」
「分かったか?こいつは、#不老__・__#なんだよ」
「…実験にでも使うつもりですか!」
「…それはお前の知るところではない」
…あーあー、めんどくせー。
「リルヴァか?」
「…?」
兵ははてなと首を傾げる。
「何のことを言ってるのかは知らんが、とにかく連れて行くからな」
「そんな、ラビエンテさん!」
「おー、みんなすまねーなぁ、ちといってくるー」
まぁ戻ってくることは無いだろぅなー。
◇
「ここは、どこだったっけか」
「ここは王都、ニンベルグだ」
「そんなとこあったっけ、てか俺を連れて来いって言った奴どいつだよ、会わせろよ」
「ふん、直にくるさ」
「そうかい」
よく分からない白い部屋で待たされた。というかここは王都なのだろうか。だとしたら本当に何年ぶりにくるだろう。初代国王は生きているだろうか。というか、船に乗ってからの記憶があまりない…
──ガチャ
「あら、捕まえられたのね!」
「はっ、こちら、不老不死でございます」
「あなたが不老ね」
目の前に出てきたのは、化粧の少しきつめな女だ。はっ、なんだこいつ。
「知り合いか、あんた。誰だ?俺はしらねぇんだがな」
「まぁ、それもそうね。悠久の時を生きるあなたは、殆どの人間を忘れているでしょうから。でもね、この王都初代国王のことは覚えているでしょう?」
「ん、あぁ、あいつは印象的な方だったからな」
「今はもう五十八代目だけど、太古の文献が発見されたの」
「あぁ」
「考古学者に解読させたら、なんでも、不老の存在がこの世にはある、そしてそれを手に入れた国こそ勝つ、って書いてあったのよ」
「へぇ、そうかい」
「だから、あなたを捕まえたの」
「…ふぅん、でもよく分かったなぁ」
「ウチの最高の魔術師に頼んだの」
ふぅん、魔術ねぇ。
「…ん?魔術?なんだそれ!」
「…え」
「───え」
「───え」
俺以外の皆が固まった。
「…?どうした」
「ま、魔術を知らないの…?」
「あぁ」
「それ、数学知らないみたいなものよ」
「馬鹿にしているのか?だが本当に知らないんだよなぁ、教えてくれよ」
「はぁ、教わるなら…」
女がパンパンと手を叩く。
すると、また別の女が現れた。童女である。
「なんだ、このガキ」
「一応立派な魔術師よ」
「へぇ、あぁ、魔法使いみたいなものか」
「…なによ、知ってるじゃない」
「いや、俺の時代は、マジシャンといってな、まぁ、ただの騙し芸だな。それが流行ってた時もあったんだよ」
「へぇ…まぁ、とにかく今はあまりあなたに干渉しないでおくわ。ってことでこれからあなたは王都在住の不老不死、ラビエンテとして生きて貰うわ」
「目的は?」
「そうね、あなたを最高の戦士にすることかしら。これから、毎日国の最高兵士たちと毎日戦わせるから…ま、最高の暮らしもさせてあげるから、等価交換ね」
「なんだそれ」
「あ、最後にあなたの不死性を確かめて良い?」
「ん、あぁ」
女は腰にあったナイフを抜き取り、容赦なくずぷりと俺の腹にナイフを差した。
相当な力だ。
「痛いなぁ」
「そう、ナイフが抜けないんだけど…」
「ん、あぁ、抜いてみろよ」
「ふん」
すかっ、と空回りしたように、女はどたっと尻餅をつく。
まるで、綱引きをしていたら、片方が急に力を抜いて、自分から転ぶように。
「え、ない…」
「あぁ、一緒に再生した」
「…なによそれ」
最高じゃない、と女は言った。
「あと、この魔術師はあなたの専属の家庭教師みたいなものだからね」
「はいはい、このガキが?」
「死ね」
ガクッ…意識飛んだわ。
「なにすんだよ」
「すごい、ホントに生きてる」
「あぁ?もしかして今の一瞬で俺を一回殺したのか?」
「そう」
なんだよ、王都。
「くふふ、ガハハ」
楽しそうじゃねぇか!
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