シェアハウス【完】

邪神 白猫

19



 ーー大丈夫、少し確認するだけ。

 コクリと小さく唾を飲み込むと、私は目の前のノブに手を掛けた。

 あのピアスの飾りを見つけた私は、北川さんに連絡しようかとも思った。
 だけど、なんの確証もない。
 そのピアスの飾りでさえ、今私の手元にないのだ。

 何か手掛かりがあれば……。

 そう思っていた私は、今日珍しく静香さんが家にいないタイミングを見計らって、部屋を確認しようと思ったのだ。

 最近自分の身にあった出来事や香澄の事が気になり、私はここ数日悶々としていた。

 静香さんは女の人が好きなのだろうか?
 本当に香澄とは会っていないのだろうか?
 この部屋を見れば何かわかるかも。

 そう思った私は、ゆっくりとノブを回し扉を開けた。

 部屋へ入ると、そこには大きなシルバーの箱があった。
 周りを見渡してみても、この部屋には他に何もない。

 ゆっくりと箱に近付いてみると、ブーンと小さな機械音が聞こえる。
 よく見てみると、それは大きな冷蔵庫のようだった。

 平置きタイプの冷蔵庫かな。
 洋画で見た事あるかも……。
 趣味の部屋だと言っていたし、静香さんは料理が趣味だとも言っていた。

 そんな風に思いながら、三つある鍵を開けて蓋に手を掛けた。
 少し重たいその蓋をゆっくりと開くと、徐々に見えてくる箱の中身。
 冷んやりとした風が中から漏れ、私の身体に触れてゆく。


コメント

コメントを書く

「ホラー」の人気作品

書籍化作品