ウクライナ危機!釈尊の戦争・平和観を考える

樺山 輝一

釈尊 6

 「先生、釈尊は旅を続けるのですか?」
 「続けます。たびたび指導をしていたヴェーサーリでの言葉は有名です。『アーナンダよ。ヴェーサーリーは楽しい。ウデーナ霊樹の地は楽しい。ゴータマカ霊樹の地は楽しい。七つのマンゴーの霊樹の地は楽しい。バフプッタの霊樹の地は楽しい。サーランダダ霊樹の地は楽しい。チャーパーラ霊樹の地は楽しい。世界は美しいもので、人間のいのちは甘美なものだ』と、燃え尽きる命を自覚した心境でしょうか。釈尊は、苦諦(くたい)、迷いのこの世は一切が苦しみであること、集諦(じったい)、苦しみが生じる原因は執着であること、滅諦(めったい)、その執着を滅することで、苦しみを克服し覚りを得ること、道諦(どうたい)、苦しみを克服し覚りを得るためには、八つの修行の道があることと、一切皆苦からも指導の出発点としているのに、『楽しい、世界は美しいもので、人間の命は甘美なものだ』と述べるのは、いのちを知る最後の心からの感想ではないでしょうか」

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