汚濁

「S」

episode.『12月30日(日)/12月31日(月)』



親って、どうしてこうも面倒臭い生き物なのだろう。

自分本位の言動で、敷いたレールを走らせる。

反抗的になるのも無理はない。

肯定的に考えられる部分が一つとしてない。

子のためを思っているようで何も見てはいない。

だから取り繕った笑みを浮かべて今をやり過ごす。

私の幸せを守るために――。





高3の12月下旬、懐かしの人物によく出会う。

皆は私に気づいていないみたいだけど、私はちゃんと気づいていた。

大人になっている一方で、面影がある。

手と手が触れ合っただけでドキリとして、何気ない言葉を交わすだけで暖かい。

私は、皆のことが本当に大好きなのだと、そう思い知らされた――。





本音を口にしたところで、誰も真摯に受け止めてはくれない。

皆、たかがそれだけの事と高を括る。

悲しい現実。

そのたかがに、こっちがどれだけ振り回されてるのかも知らずに。

だから抱えて生きていくしかない。

掌返しの激しい世の中、私はとうの昔に見限っているよ。

孤独が私の存在意義だから――。





最近、いつにも増して自分が変だと実感する。

無気力に生きている事は変わらない。

けれどよく、空を仰ぎ見たり、他愛もない会話が楽しかったり、些細な事で喜びを感じたり。

まるで、何もかもを諦めているような灰色さ。

より一層、甲斐性なしになった。

優しいとは違う。

これはただの、薄情だよ――。

          

コメント

コメントを書く

「その他」の人気作品

書籍化作品