汚濁

「S」

episode.『11月25日(日)』



自分の意志を持てって?

ちゃんと持ってるさ、心の中に。

口にしないのは、あんたが捻り潰してくるからさ。

だから今は、戦略的撤退をする。

苦しくても、我慢しよう。耐え忍んでやろう。

未来で自分が、心の底から笑っていられるように。

私が本音を吐く時は、あんたと縁を切る時だけで十分だ――。





人を選び、態度を変える。

それはこの世界でごく普通の行為で、誰もがしていること。

私はそれに特化しているだけ。

違うのは、自然と本性を隠しているということ。

心が麻痺して、辛い苦しいなんて言葉では片づけられない。

ただひたすらに無感情な毎日だ。

生きた屍……私はまるでゾンビだな――?





無知無能が嫌いだ。

何もできない自分が惨めになる。

それでも全部はできないから、興味を持ったこと・好きなことにだけ本気を出す。

一生懸命なんて疲れるだけだ。

だから私は、自分の道を進み続ける。

誰になんと言われようが、この意志は曲げられないよ。

自由気ままに、私も自分らしく生きよう――。





この世の中は甘くない。

嫌な予感ばかりが的中する。

ほんと、もう少し優しくしてくれたっていいんじゃない?って、思ってみたりする今日この頃。

不幸ばかりだから、こんな感性を持つことができる。

凄く、複雑だ。

諦めろと言われているみたいで、何度も挫けそうになる。

支えが無いのは辛いな――。





無暗に優しくしないでくれ。

期待させないでくれ。

勘違いしそうになるだろう?

どうせあなたも、私の前からいなくなる。

裏切られるとわかって、どうして本性を見せなければならない?

もう、わかっているんだ。

私の探すモノなんて、どこにもないということが。

どうせまた見捨てられるんだから――。





この気持ちをいつまで引きずればいいのだろうな。

時間が解決してくれる問題だと思ってた。

けれど実際、そんなのはただの勘違いで。

私はいつまで経っても、あの時に囚われているよ。

戻れたら、やり直せたらって、何度も思う。

ほんと、生きている事が不思議なくらいに、この感情を持て余している。





何度自分を殺しても、この胸の痛みは消えない。

心の闇がいつまで経っても晴れやしない。

苦しくて、息をすることもままならない。

感情が溢れ出し、心が涙し、吐き気がする。

きっと、どんな薬を使ってもこの病は治らない。

だから、抱えて生きると決めたんだ。

死んでも悲しむ人がいないのは幸いだ。





慣れ親しんだ道。踏みしめる落ち葉の音。しんとした空気。

孤独を抱えて歩く私の顔は、まるで死にゆく人そのもので。

何の為に生きているんだろうと自問自答して。

生きることが苦しくて苦しくてたまらない。

自分の理想とする幸せが掴み取れないのなら、死んだ方がましだと考える。

ほんと、極端だ。





素直になれなくてごめん。傷つけてごめん。

……って、本当は「ありがとう」って伝えたいのにね。

もっともっと、言いたい事がたくさんある。

恥かしくて言えないっていうのもあるけれど、何かが壊れてしまいそうで怖いだけなんだ。

だからそんな私を見つけてほしいなって、そう思うんです――。





不思議だな。

他人に誰よりも無関心で切り捨てる事ができるのに、嫌いの2文字が言葉にできない。

それとは別の感謝の言葉なら、いくらでも浮かんでくるというのに。

簡単には口にできないけど、告げる言葉は決めてあるんだ。

それは別れる時も変わらない、生涯で一人に捧ぐ言葉。

言える日は来るかな?





心の闇って存在するんだね。

弱っている時の胸にあるモヤモヤ。

苦しくて仕方がないよ。

報われない不幸者の痛み。

生きる意味がどこにあるというのだろう。

もう息をすることさえままならない。

死にたいけれど、諦めきれないモノがあるから、まだ生きることにするよ。

負けて終わるのは嫌だから――。





私は、酷い奴だな。

自分勝手な理由で人間関係を断ち切って、思い出を消す悪魔になる。

一人である事を嫌いながら、そこに望んで飛び込もうとする。

原点回帰。鬼の通る道。

やっぱり、過去の自分は正しかったみたいだ。

私はこれからも無感情に日々を過ごしていく事にするよ。

ただの弱者の足掻きさ。





こんなはずじゃなかったんだけどな。

子供の頃に描いた夢は、諦めなければ叶うと思っていた。

自分は周りとは違うんだって。

でもそれは少し、思ってたのと違ってて。

自分で自分を支えて、それさえも折られようとしてて。

理不尽極まりない。

だから私はもう、私であることをやめにするよ――。

          

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