汚濁
episode.『11月25日(日)』
自分の意志を持てって?
ちゃんと持ってるさ、心の中に。
口にしないのは、あんたが捻り潰してくるからさ。
だから今は、戦略的撤退をする。
苦しくても、我慢しよう。耐え忍んでやろう。
未来で自分が、心の底から笑っていられるように。
私が本音を吐く時は、あんたと縁を切る時だけで十分だ――。
※
人を選び、態度を変える。
それはこの世界でごく普通の行為で、誰もがしていること。
私はそれに特化しているだけ。
違うのは、自然と本性を隠しているということ。
心が麻痺して、辛い苦しいなんて言葉では片づけられない。
ただひたすらに無感情な毎日だ。
生きた屍……私はまるでゾンビだな――?
※
無知無能が嫌いだ。
何もできない自分が惨めになる。
それでも全部はできないから、興味を持ったこと・好きなことにだけ本気を出す。
一生懸命なんて疲れるだけだ。
だから私は、自分の道を進み続ける。
誰になんと言われようが、この意志は曲げられないよ。
自由気ままに、私も自分らしく生きよう――。
※
この世の中は甘くない。
嫌な予感ばかりが的中する。
ほんと、もう少し優しくしてくれたっていいんじゃない?って、思ってみたりする今日この頃。
不幸ばかりだから、こんな感性を持つことができる。
凄く、複雑だ。
諦めろと言われているみたいで、何度も挫けそうになる。
支えが無いのは辛いな――。
※
無暗に優しくしないでくれ。
期待させないでくれ。
勘違いしそうになるだろう?
どうせあなたも、私の前からいなくなる。
裏切られるとわかって、どうして本性を見せなければならない?
もう、わかっているんだ。
私の探すモノなんて、どこにもないということが。
どうせまた見捨てられるんだから――。
※
この気持ちをいつまで引きずればいいのだろうな。
時間が解決してくれる問題だと思ってた。
けれど実際、そんなのはただの勘違いで。
私はいつまで経っても、あの時に囚われているよ。
戻れたら、やり直せたらって、何度も思う。
ほんと、生きている事が不思議なくらいに、この感情を持て余している。
※
何度自分を殺しても、この胸の痛みは消えない。
心の闇がいつまで経っても晴れやしない。
苦しくて、息をすることもままならない。
感情が溢れ出し、心が涙し、吐き気がする。
きっと、どんな薬を使ってもこの病は治らない。
だから、抱えて生きると決めたんだ。
死んでも悲しむ人がいないのは幸いだ。
※
慣れ親しんだ道。踏みしめる落ち葉の音。しんとした空気。
孤独を抱えて歩く私の顔は、まるで死にゆく人そのもので。
何の為に生きているんだろうと自問自答して。
生きることが苦しくて苦しくてたまらない。
自分の理想とする幸せが掴み取れないのなら、死んだ方がましだと考える。
ほんと、極端だ。
※
素直になれなくてごめん。傷つけてごめん。
……って、本当は「ありがとう」って伝えたいのにね。
もっともっと、言いたい事がたくさんある。
恥かしくて言えないっていうのもあるけれど、何かが壊れてしまいそうで怖いだけなんだ。
だからそんな私を見つけてほしいなって、そう思うんです――。
※
不思議だな。
他人に誰よりも無関心で切り捨てる事ができるのに、嫌いの2文字が言葉にできない。
それとは別の感謝の言葉なら、いくらでも浮かんでくるというのに。
簡単には口にできないけど、告げる言葉は決めてあるんだ。
それは別れる時も変わらない、生涯で一人に捧ぐ言葉。
言える日は来るかな?
※
心の闇って存在するんだね。
弱っている時の胸にあるモヤモヤ。
苦しくて仕方がないよ。
報われない不幸者の痛み。
生きる意味がどこにあるというのだろう。
もう息をすることさえままならない。
死にたいけれど、諦めきれないモノがあるから、まだ生きることにするよ。
負けて終わるのは嫌だから――。
※
私は、酷い奴だな。
自分勝手な理由で人間関係を断ち切って、思い出を消す悪魔になる。
一人である事を嫌いながら、そこに望んで飛び込もうとする。
原点回帰。鬼の通る道。
やっぱり、過去の自分は正しかったみたいだ。
私はこれからも無感情に日々を過ごしていく事にするよ。
ただの弱者の足掻きさ。
※
こんなはずじゃなかったんだけどな。
子供の頃に描いた夢は、諦めなければ叶うと思っていた。
自分は周りとは違うんだって。
でもそれは少し、思ってたのと違ってて。
自分で自分を支えて、それさえも折られようとしてて。
理不尽極まりない。
だから私はもう、私であることをやめにするよ――。
          
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