見た目おっさん。夢想したものを錬成、現実化できる力を行使する異世界平和への物語

とおす

薬草とオークとフライパンソード

レイガスとミルルに返済すべく、渉は冒険者組合へ足を運ぶ。


【冒険者間連絡装置】その窓口には自分の知っている冒険者同士であれば、


マナを通すことで個人認証を行い、お互いに連絡を残すことが可能な装置が置いてあり、


冒険者ご用達の設備となっている。


「本日、お借りしていたお金が返済出来るようになりました。組合の振込口座へ入金していますので、返済マナ承認をお願いします・・・と」


連絡を残し、入金をした旨を連絡装置にマナ認証させ終わると渉はその場を離れ、次の依頼へ向かう。


ー期限あと2日ー
・薬草の入手(100株)
条件:
→状態良し以上の物に限る。
→1株=1銀※100株納品があった場合のみ!
→特徴書有


ー期限あと3日ー
・オークの討伐(5体)
条件:
→パーティ・ソロの冒険者かどうかは不問(※自己責任)。
→討伐証明にはオークの目を2つで1体分とカウントする。
→その肉を納品できた場合1体に付き10銀にて換金OK(良品のみ!)。
→特徴書有


この2つの依頼は幸いなことに同一箇所で達成可能だ。薬草はオークの出現個所と一致しており、


おっさんは足早にその場所へ足を運ぶ。




ー1時間後ー




その場所は小高い丘に、綺麗な水の流れる畔があり、薬草が生えているのも畔の傍であり、薬草はすぐに見つかった。


根っこから葉までの特徴を確認し、間違いない事を確認したおっさんはスコップナイフで掘り進めると、


薬草の根っこが見えてきたので、傷を付けないように根っこから採集する。


サクサクと30分間の間で90本の薬草が集まったところで、グモーという声が聞こえてきた。


「!きたか・・・」


オークにとってもこの薬草の生える畔は生活の中で需要のある場所であり、


水分補充確保に欠かせない場所である。


オークは基本3体以上の群れで動くことが多く、


今回は少なくとも5体以上いるようだ。おっさんはラッキーと思いながらも身を隠せる場所を探す。


畔と木を挟んだ大岩が1か所、おっさんが隠れられるくらいの場所があったので、そこで様子を伺う。


オークは林の枝を手斧で捌きながら、水のある畔まで1直線に進んでいる。


バキバキバキと茂みの中から現れるオークたち、見た目は。


「(うん。顔と胴は豚だなw)ぷっ」


おっさんは免疫の無い姿への笑いを堪えながらも、様子を伺う。


「(さて、どう倒すかな・・・)」


オークは6体いた。2体ずつ水を飲んでいる間、他の4体は見張りをしているようだ。以外に警戒心が強い。


「ウガッウガウガ(はやくしろよ、交代して水分補給だ)」


オークの仲間が水を飲んでいるオークに声をかけている。


「(すまないな、あまり殺生はしたくないが、刈らせてもらうぞ!)」


渉は4体の見張りの内、2体ずつ違う方向に警戒視線を送っていることを確認すると、


靴と体の周りに風属性を付与し、地面より3センチ浮かせる。これで足音は出ないはずだ。


2体のオークの背後の茂みに隠れ、オークに気付かれていない事を確認し、一気に一閃。


2体のオークの首が切り取られる。綺麗な切り口から血が出そうになるが、


異空間収納の特性は手に触れた物を瞬時に収納してくれる点である。


これを活かさない手は無し。


おっさんは素早く切り取った頭と体を収納すると、次の2体も同じように背後から一閃。


手慣れたもんである。


「(くぅーー!一度アニメみたいにやってみたかったのじゃ!)」


残りは2体、もはや渉の敵ではなかった。水飲み中はオークの血が水流の中に溶けてしまうかもしれないと、


渉的にタイミングを待った。オークが水をたらふく飲み終えると、待たせたなとばかりに仲間の方を振り返る。


「ウガ?」


「(もちろん仲間はいませんよ)」


一閃。1体を喉元から綺麗な切り口で頭を切り飛ばすと、残り1体は腹が減っていたので、剣に火属性を付与。


一閃。頭を焼き切り離し、胴を6分の1カット。素早い剣技でブロックにする。


オークの肉はかなり美味いらしく。肉汁も鮮度が高いほど味が出るらしい。ただ、多少臭みがあるので、


スパイス・薬味などを使って焼くと最高らしい。


おっさんは剣を錬成しなおし、フライパン状に形状を変換すると、そのフライパンソードでオークの肉を焼き出す。


懐からは雑貨屋で買ってきた、バジルと塩・胡椒を組み合わせて焼いていく、2ブロック以外を収納袋に入れ、


その場に座り込む。


「いただきまーす!!」


ガブリッ


「!!ううううおおおお!美味い!!!」


こんがりジューシーな焼き色に染まるそのオーク肉は、まさに特上のロースステーキであった・・・。

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