見た目おっさん。夢想したものを錬成、現実化できる力を行使する異世界平和への物語

とおす

なんという輝き、なんという品質、なんという美品

ーー


品質:劣→少劣→標準→優→赤秀→青秀→プレミアム


これはおっさんが武器屋で聞いた品質階級と呼ばれているものらしい。


その見方は劣から品質が上がっていき、プレミアムが最高品質との事だ。


この世界では武器職人・防具職人・道具職人・魔法職人・食職人・装飾職人・建具職人・整備職人と


多岐ジャンルで職人が存在する。その職人たちが作り手となり、様々な物を市民・国・冒険者へと販売している。


しかし、近年、種族間同士の争いが増え、その制作が間に合っておらず、職人にとって深刻な問題となっていた。


ーー


おっさんは創造した武器をもち、ついでにと創造した異空間収納袋を携え、商店街へと足を運ぶ。


「よ、そこのおっさん、これ食ってけよ!上手いぞっ」


食い物屋台が並び、あちこちで声がかかるが、またにしてくれと目的の店へ進んでいく。


武来道ぶらいどう】という看板があり、冒険者組合で受注した依頼書に書かれていた場所で違いないと、


店内へ進もうとした時であった。


「出てけ!二度とくんじゃねえ!!」


ドカッっと外開きの扉から、投げだされる鎧姿の冒険者。


「くそーー!ちょっとくらい、いいじゃんかよ!」


「うるせー!てめえみたいなやつがいるから、俺たち武器職人の手が足らなくなるんだ!少しは勉強してこい!!」


「ッくそー!!」


なにがなんだかと店員と冒険者っぽい人が喧嘩口調でやりあっており、冒険者は悔し気にその場を後にする。


店員は店内に入ろうとしたとき、渉と目が合う。


「なんだ?お客さんか?・・・すまねえな、みっともない所見せちまったな」


「いや、大丈夫ですが。あなたこそ大丈夫ですか?」


「お?ああ、大丈夫大丈夫、いつものことだwで?なんか物要りかい?」


「はい、冒険者組合の依頼を受け、要望の品が用意できたから、運んできたのですが」


「おおーー!待ってたぜ!さあ、店に入ってくんな!・・・って剣はどこだ?」


店員が渉のどこにも剣を携えてないのをみて首をかしげているのを見て、


「この袋、特殊な袋でしてね。人目があるからとりあえず、中に入れてください」


「んあ?ああ、まあいいけどよ・・・」


店員は店のカウンター向こうまで移動すると、カウンター越しに手を出す。


「さあ、見せてくれ。ロングソード10本だったはずだ!」


「この袋の事は秘密でお願い致します。ロングソード10本の内、6本をお見せします。もちろん残り4本ありますが、品質がかなり良いので、後で出させて下さい」


渉には作戦があった。


まず、依頼書の内容を振り返る。


・ロングソード(10本)の調達
条件:
→美品に限る
→1本50銀~※品質により最大100銀
→付与属性有の場合、別途追加査定有(後日面談)。
→特徴書有


この条件でお金の動きを変える方法があるとするならば、


* 品質により最大100銀 * の部分と、
* 付与属性有の場合、別途追加査定有 * の部分である。


この2つの条件があるとき、ひとつの駆け引きが出来る。


さて、実践してみよう。


「まずはこのロングソードを見て頂けますか?」


渉はロングソード品質:標準を1本、店員に見せた。


「その奇妙な袋はメッチャ気になるが・・・おお、見事な美品じゃないか!」


店員は出されたロングソードの作りと、精巧さ、状態等を職人の顔で見ている。


「うむ!!これなら、文句なく依頼通りの美品として、代金を支払えるぞ!60銀だ!」


渉はここだと判断。


「60銀ですか?ではこれと同じ程度のロングソードがあと5本あるとすれば、少し値上がりますか?」


「!あんた、商売分かってるねえ!よっしゃ、見せてみろ!それによっては色をつけてやるよ!」


渉は宜しくお願い致しますとロングソード5本、品質:標準のものを出した。


「これが品質でいう標準のロングソードです」


「おお、凄いなその袋!後で話聞かせてくれよな!・・・うむ、問題ない。文句なしの美品だ!!」


「そうですか・・・、どのくらいでお支払いして頂けますか?」


「・・・うーむ、そうだなー・・・品薄だし、65銀でどうだ?」


「なるほど、65銀ですか?では、この3本をお渡しするとなると、どのくらいにして頂けますか?」


渉はロングソード 品質:優を3本取り出した。


「!!ななな、なんという上品質な美品だ、しかも付属効果あると見たぞ、これは・・・95銀だ。って、あと1本はまさか・・・さらに品質が良いのか!?」


渉はにやりと悪い顔をして頷きを店員に返す。


「ありますがね・・・これは正直良すぎて困ってるんです・・・」


「良すぎて困るって・・・はあ、分かったよ特別だ、最大100銀ってのは無しにしよう」


渉はやったー!と内心笑いを堪えていた。


「これがプレミアムのロングソードです!」


渉はジャジャーンとばかりにロングソード 品質:プレミアムを取り出して、手に取りかざした。


「!!!うおおお、なんという輝き、なんという品質、なんという美品、確実に付属効果ありのロングソードなのだ!?」


見せてくれと店員は手を出し、おそるおそるを演じて渉はロングソードを手渡す。


「くはあああ、これは・・・凄まじいな。いったいこんなもんどこで手に入れたのだよ・・・」


「そのことは後で話します。今は査定をお願い致します」


「査定?ここでか?」


「?はい、出来ないのですか?」


「・・・おいおい、冗談じゃないぞ。こんな品質のロングソードは国宝級でもおかしくない代物だ、1日時間をくれ!」


「そんなにですか・・・、分かりました。明日、また来ます。とりあえず、このプレミアム以外の代金を頂いても?」


「ああ、構わない!そうだな・・・これは手付金だと思ってくれ、500銀だ」


「はい、確かに、ではまた明日夕刻に参ります」


渉は儲けた儲けたと安堵した。これで借金が返せると・・・。


ーー


次回、おっさんに来訪者現る。











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