見た目おっさん。夢想したものを錬成、現実化できる力を行使する異世界平和への物語

とおす

詠唱?

ーー


マナとは惑星を取り巻くエネルギー体の事である。


火・水・地・風・治癒の属性を始まりとし、治癒を極めると光属性を制御できるようになる。


また、感情エネルギーによる現象の発生も確認されており、その力にはあらゆる可能性が秘められている。


そのマナの働きにより生活をできるようにした女神は、争いなき世界を目指す。


志布見しふみ わたる。その男に課せられた使命は小さくない・・・


ーー


渉はマナについての試験をどう乗り越えるか考えていた。


俺は女神より魔法詠唱スキルは授からなかった。


つまり、今は魔法を唱えることができないとの事だった。


しかし、今後感情制御により、いくつかの適正が誕生する可能性はあるという。


どうやら、この異世界における種族はいずれも魔法をなにかしら詠唱できるらしい。


つまり、人間である俺がなんも詠唱できないのは不自然に見えてしまうとの事。


俺は魔法付与はできるから、詠唱しているっぽくすることに決めた。


「次の合格者、31番の人、魔法詠唱してみてね。的はあそこの水晶よ」


今度の指導官はレフィー・フォーという女性だ見るからに魔女っぽい恰好をしているが、


結構な美人だ。レフィー・フォーに示された水晶に剣先を向けた俺は、イメージ錬成する。


「(水と風を組み合わせて、氷。それっぽく詠唱し、魔法を行使しているかのように見せよう)」


「・・・(やけに集中しているわね)」


レフィー・フォーは長年の経験もあり、魔法詠唱には集中によるマナの充填は当たり前の認識である為、


おっさんの目を閉じて何かをしようとしているのはマナ集中の為と考えていた。


他の冒険者の行使を思い出す。


「(あるものは森羅万象の・・・とか、凍てつくが現象の・・・とか、


現象ほにゃら、万物ほにゃら・・・とか言ってたから、とりあえず真似するかな)」


おっさんは目を開き詠唱する。


「森羅万象の合成により、我は詠唱する・・・氷斬ひょうざん!!」


おっさんの構える剣に水が纏い、風が纏うマナを込めると冷気が生まれ、


おっさんは剣戟を放つ。剣先より高出力の冷刃が水晶に飛んでいくと、


水晶に当たった瞬間、緑色と水色の輝きが半々に水晶を彩った。


「素晴らしい詠唱と飛び攻撃ね、水と風の属性を持っている人はそんなにいないわ・・・マナ試験は合格よ


次は精神面の試験。エルフ族の彼女には嘘が効かないから、気をつけてね」


レフィー・フォーは次の試験の紙を手渡すと、一言。


「あなたにはまだ、覚醒していない力がありそうよ。期待してるわ。頑張ってね」


おっさんはふうと息をつくと、次の試験会場に歩みを進める。


次なるは最後の試験、エルフのエル・ガーラとの試験である。

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