見た目おっさん。夢想したものを錬成、現実化できる力を行使する異世界平和への物語

とおす

大波と木の椅子とおっさん

殻炎は目の前に起きている現象に脅威を感じるとともに戦慄していた。


密林の最上に位置していた殻炎までの高さは凡そ100M。


まさか、ここまでの高さまで土魔法を詠唱し放てる冒険者がいたのかと。


殻炎はこの時気付いていなかった。魔法詠唱することなく発動していたことに。


襲い掛かりながら、砂・木・石を巻き込みながら進む土の大波に、


殻炎は後退することなく、身にマナを貯め、一気に発動した。


炎極旋転えんごくせんてん」殻炎が真っ赤に染まる炎となり、


大波に巻き込まれ、流されたかどうか分からない状態となった。


「・・・」ミルルが唖然としている。


「・・・」レイガスが唖然としている。


「・・・」おっさんは達観して観察している。


「とりあえず、休憩しよっか」


おっさんはレイガスとミルルの様子から声をかける。


「ああ・・・そう・・だな」


「ええ・・・わかりました・・・」


レイガスとミルルは動揺を隠せないが、短時間とはいえ、


雑魚モンスター討伐にオーク(10号)と連戦の疲れもあり、


多少のダメージを負っていた。


(しかし、報酬ポイントは貰えなかったって事は、倒していないっぽいな・・・)


おっさんはそんな事を考えていたが、近くの木を切り手で触れると、


イメージ錬成(「木の椅子」)を3個作成。レイガス達を促した。


「・・・」


「・・・」


レイガスとミルルは何を言ったら良いのか分からないまま、椅子に座る。


「・・・・まっ、その反応になるのも分かるから、説明するよ。ただし・・・」


おっさんが土の大波の先を眺めながら、話をしだしたのを見て、


レイガスとミルルは静聴する。


「おれは見ての通り、創造スキルをもっているが、2人には他言しないで欲しい」


「「!!なんで「だ!」「です!」」」


「っ!声でかいって2人とも!?」


「「すまん」「すみません」」


おっさんの馬鹿げた力を見て、興奮と感動している2人にとって、


おっさんの力はどんな冒険者でも欲しいと思える能力であった。


そんな二人にはおっさんの発言の意図するところ、


他言無用、秘密にしろというのは、


好きなゲームを人に教えて面白さを共感してほしい衝動に駆られたのである。


「・・・ん、まあその表情を見るに、なんか他人に教えたいって感じか?」


「「(コクコク)」」激しく頷くレイガスとミルル。


「ぷっ」この2人以外と息が合うみたいだな。


「このスキルはおそらく、


この地域ではかなり珍しい力なんだろうと思うが、


おれには目的がある」


「「目的?」」


「はい、目的です。2人はこの世界にどれだけの種族がいるか知ってますか?」


― おっさんはレイガスとミルルという冒険者に、


女神からのお願いである、あらゆる種族の仲介役について話を進めていくのであった・・・。


・・・密林に流されていったオーク(10号)とよくわからん奴を思いながら・・・―







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