見た目おっさん。夢想したものを錬成、現実化できる力を行使する異世界平和への物語

とおす

殻炎と失敗作10号

殻炎かくえんは炎を纏い、戦況を眺めていた。


「お頭熱いっす」


トサカゴブリンが助けてぇと叫んでいる。


「うるさい。少しは堪えろ」


殻炎を纏う炎の温度は1000度。
トサカゴブリンにとっては近寄れない熱さである。


「熱いもんは熱いっす。太陽の光は暑くっても、お頭は熱いっす!」


「ほう。お前、俺に文句を言う力あんのか?」


殻炎の炎が一回り大きくなり、


トサカゴブリンを睨みつける。


「ひっ、ずんません」


腰を引くトサカゴブリン。


「チっ雑魚が!」


不機嫌そうに視線を戦場に戻す殻炎。


「・・しかし、ありゃナニモンだ。


ゴブリン連中は確かにそこまでは武装させていないが、


階級持ち赤以上の冒険者並みの基礎能力はあるはずだ、


近年赤以上の冒険者は現れていない筈だが・・・。


チッ情報が足りないか。


おい、失敗作・・


そういや、名前つけてなかったか。


・・あー面倒くさいから、10号。


お前は今から『10号』を名乗るが良い」


10号と呼ばれた瞬間。殻炎の目の前に身体に鉄の棒や、ガラス細工を刺した豚顔の巨人が現れた。


皮膚は人肌で、鉄の棒が刺さってはいるが、血が流れている様子はなく。ガラス細工には時折オレンジ色の光が点滅活動している。


ーーマナ保有量に対して光る色がオレンジ色であるーー


「殻炎様。オラ10号。オラ10号。」


「そうだ10号。お前に重要な任務を与える。あそこに見える人間、そうだ、あのおっさんを殺せ。速やかにな」


「10号了解した。あの人間殺す。そして役に立つ。」


「ハッハッハ。10号、お前があの人間を殺したら、そうだな、マナ保有量を増やしてやろう。そしたら、まだ生きられるぞ?」


殻炎が口端を吊り上げ、10号に威張り散らす。


「マナ大事。さっそく行ってくる。殺したら約束。」


10号は殻炎に頭を下げると戦場に走っていった。


「・・・まあ、逆に殺されるだろうがな・・・」


殻炎が呟くと纏う炎が小さくなり、


殻炎もまた姿を消した。


ーー
10号VSおっさん。


果たしてどうなる?!


次回に続く
ーー

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