リカとマコト

マコちゃん

カラス

その日ゴミ出しをした時、あの塀の角にはカラスがいなかった
僕は早足でゴミ箱に向かう、きっと向かいのアパートのごみ捨て場は大盛況なんだろう
ゴミ箱に近づいて蓋を開けようとするとカラスが飛び立つ
ギョッとした、まさかこんなに近くに居るとは
向かいのアパートのゴミ箱に気を取られ、見落としていた

しっしっ

カラスは塀の上に逃げる、いや戻った
カラスの雰囲気を右後ろに感じながら
人のゴミを片付けて自分のゴミを置く
振り向いてまたカラスを追いやろうとしたその時
この感覚を昔も感じていた事に気が付く
僕はいつもこの距離感が嫌だった、



…マコト?



塀の上のカラスはまるで、伸びをするように一度大きく羽を広げるといつもと違う方に飛んでいった
その日から、塀の角にはカラスが戻る事はなかった

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