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リカとマコト

マコちゃん

ボク

朝ゴミを出す
ゴミ出しにはちょっとしたコツがある、カラスが突かないようにフチに少し空間を作る、袋を真ん中に集めるんだ
あと生ゴミの位置を外側に向けない
出されたゴミの位置を整えて、自分のゴミも置いて、集合住宅の大きなゴミ箱の蓋を占める
カラスはいつも決まった位置から僕を伺う
昔、どこかで聞いた
泥棒対策は絶対論ではなく相対論だ
泥棒は、入りやすいところに入る
だから隣よりも少し入りにくくするだけで入られなくなる、隣に先に入るからだ
僕のアパートのゴミ箱は漁らせないぞ、折角リカが綺麗にしてくれているんだから
僕はこの片付けを、カラスにもわかるようにゆっくりやる、向かいのアパートのゴミを漁るように仕向けているんだ

ゴミ箱はアパートの目の前の通り沿いに置かれている
道を挟んだ向かいのアパートの塀の上から、一匹のカラスがいつも様子を伺う
向かいのアパートのゴミ箱は塀の外に配置されているからゴミ箱の近くへ行くほど塀のカラスは多くなる

お前も向こうへ行けよ

一羽のカラスに近づくと、カラスは逃げていく

そうそう、向こうの方が取りやすいぞ

でも何故かまた戻ってくる
君の定位置か、でもゴミ箱は漁らせないぞ
そんなやり取りを何度もする

僕たちの部屋からごみ捨て場は見えないが、向かいの塀は見下ろせる
リカはいつもゴミを拾って帰ってくるとプンプン怒りながら訴える
僕も話を合わせて外を眺める

リカ、みて、あの塀の角に必ず一羽いるんだ
僕もカラスからいつもゴミを守ってるよ

リカは笑う

私達引っ越したらきっとここはゴミだらけね

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