十刻の魔物使い

黒良シキ

十五話 リーナの決意


 私はどうすればいいのでしょうか。
 再び冒険者になった方がいいのでしょうか。
 でも、もう誰も失いたくありません。
いやです。
 あんな地獄、二度と味わいたくありません。
 やっぱりレイク様の誘いは断るしかないのでしょうか。

(リーナ、あなたはそれでいいの?)

 お母……さん?

(リーナ、本当に地獄だけだったのか?)

 お父……さん?

(リーナ、俺達と一緒に戦うのは辛かったか?)

 辛く、なんかない!

(僕は楽しかった!)

 私も、楽しかった! みんなと冒険してる時も、馬鹿みたいにはしゃいでる時も、全部全部楽しかった。

(リーナ、俺達はいつも君の側にいるから、自分の行きたい方向に向かって進めばいいんだ!)

 みんな………

 私は! 私は! 冒険者が好きです!
 だから、私はこの道に進みます。
 もう止まりません。
 何があっても負けません。
 なぜなら、私の側にはみんながいるから。












「あー暇だなー。」

「ラル、なんか面白い事ない?」

(主人、では自分が1つ芸をします!)

「えっ、ほんと!」

(では、やります!)

 そういうと、ラルは勢いよく丸まった。
 その姿はわたに似ている。
 とてもモフっとしていて可愛らしい。
 面白いと言われれば面白くは無いが、とても愛らしい。


「ラル、ありがと!」

(主人の暇を少しでも潰せてよかったです。)


コン コン


 ラルが元の状態に戻ると、ドアをノックする音が聞こえた。

 僕は「どうぞ。」と返事をすると、椅子を準備して自分も腰掛けた。

「あっ、リーナ! どうしたの?」

「あ、あの、その、返事をしたくて………」

「そうか。じゃあまず座って。」

 僕がリーナに勧めると、リーナは椅子に座った。

「それじゃあ返事を聞かせてくれる?」

「レ、レイクしゃまっ! わ、わたしゅを旅のお供にしてくだしゃい!」

「本当にいいの?」

「は、はい!」

「リーナ、ありがとう!」

 こうして、僕達は一緒に旅をする事になった。


















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