十刻の魔物使い

黒良シキ

三話 僕の役職


 あれから2年の月日が経った。
 その間、姉様は兄様と同じ王都の学校に通い始めた。
 姉様も優秀で、すぐにクラス上位になった。
 王都の学校は寮生活なので、「クー君に会えなくなるの嫌だー」と最初は行くのを拒んでいたが、僕が夏休みに入れば会えると言うと渋々馬車に乗って学校のある王都へ向かった。

 そんなこんなで僕、レイク・ロシュ・アルカーナは10歳になった。
 そして、今日は王都の教会に行って役職を知る日だ。
 
 僕は今、父様と母様と一緒に教会へ馬車で向かっている。

 でも、僕は不安である。
 もし、そのまま適性が無ければ僕の人生は終わりだ。
 父様、母様、兄様、姉様にも申し訳ない。

「おい、クーどうかしたか?」

 顔に出ていたらしく、父様に心配された。

「何でもないです。父様。」

「そうか。なら良いのだが……」

「クーちゃん、あまり無理しないでね。」

「そんな、無理などしておりません! この通り!」

 僕は無理やりでも元気よく振る舞った。

 馬車に乗ってから3時間程経つと王都に着いた。

 やはり王都だけあってとても賑わっている。
 人々の顔もとても明るく幸せそうだ。


 僕は馬車を降りると父様について行った。

 教会にはすぐ着いた。
 中に入ると近くにいた神官がこちらに駆け寄って来た。

「これはこれはアルカーナ伯爵!今日はどんな御用でこちらに?」

「うちの息子のレイクの役職を知りに来た。」

「そうですか! ではこちらに」

 僕は神の像の前に案内された。

「それでは、目を瞑って手を合わせて下さい。」

 僕は言われた通り目を瞑り、手を合わせた。
 すると、真っ暗だった視界が突如明るくなり、目の前には白い空間が広がっていた。

「ぼ、僕はみんなの為にしただけなのに!………」

 なんだこの声は奥の方から聞こえる。
 まずここは何処だ?
 辺りを見回すが何も無い。
 僕は視点を前に戻すと、やはり奥に誰かがいる。

「貴方にはとても申し訳なく思っています。ですが、今も………」

 もう1人が現れるとそう言った。

 しかし、途中からなんて言っているのかよく聞き取れない。
 走って行っても一向に近づく気配がない。
 僕は諦めて走るのを止め、耳を澄ませる。
 だが、やはり何も聞こえない。
 なら!と大声を出そうと僕がした時。

「次はこの様な事が起こらない様に………」

 そんな声がしたと思うと、僕の意識は我に返っていた。

 目を開けると目の前には神の像がある。
特に何も変わっていない。
 本当に今のは何だったのだろう?
 僕はそんな疑問を持った。

「レイク様はとても珍しい役職ですね。」

 僕がぼーっとしてると、神官がそう言いながら1枚のプレートを渡して来た。
 これが僕のプレートか………
 僕は少しの間プレートを見ると、父様の方へ行った。

「おークー終わったかちゃんとプレートは貰えたか?」

「はい! 父様。」

「そうか。では家に帰るか。」

「プレートは家に着いて、落ち着いたら見せてくれるか?」

「はい。」

 僕が返事をすると、父様はうなずき、その後馬車のある所まで歩いて行った。

 僕は帰っている時、少し気分が良かった。











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