私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
6-3.幸せな朝
月曜日は残業……正確には電話待ちをしていた。
「はい、わかりました。
ありがとうございました」
私の電話が終わるのを、みんなが固唾を飲んで見守っている。
「工場から連絡入りました。
ニャーソンさんの配送センターへいま、出発したそうです」
……はぁーっ。
全員の口から出る、安堵の息。
「これでいよいよ……」
「明日の昼には……」
「俺たちの商品が……」
「ニャーソンさんの商品として並ぶんだよな……」
ほんと、大変だったと思う。
ニャーソンさんからだけじゃなく、佑司のダメ出しが半端なかったもん。
しかも最後は竹村課長のせいであれだもんね。
「みんな本当にお疲れだった。
あとは明日、無事に店頭に並ぶことと明後日の売り上げ報告を楽しみにしよう」
今日は解散になり、みんな退社していく。
私も佑司ももちろん、帰る。
「楽しみですね」
「そうだな」
佑司の表情はどことなくぎこちない。
もしかしたら一番、緊張しているのかもしれない。
次の日のお昼過ぎ、佑司に許可を取ってこわごわ近所のニャーソンに行ってみる。
「あった……」
チルドスイーツの目立つところに、それは並べてあった。
駿が土壇場で変更した、ブルーの敷き紙がさらに爽やかさを演出し、よく映えている。
「売れるといいな……」
誰かが買うところまで見届けたいが、そういうわけにはいかないので早々に退散した。
さらに夕方、嬉しいニュースが舞い込んだ。
「……ほんとですか、それ」
宣伝部の人間から聞いたときは信じられなかった。
いつもは仕事中に出さない携帯をバッグから出す。
すぐにニャンスタを開いて検索をかけた。
「……ほんとだ」
そこには、私たちの努力の結晶が女性アーティスト、Akiと一緒に写っていた。
【レモンのコンポートが宝石みたいにキラキラしてきれい!
中に入っているソースも爽やかで、暑い夏にぴったり。
ビタミンCも取れるし、これでさらに、きれいになれるかも?】
私が見ている間にも、瞬く間にいいねが増えていく。
さすが人気アーティスト。
しかも女性に人気となれば、これは。
「京屋部長」
彼の席に行き、携帯の画面を見せた。
「本当か、これ」
「騙してどうするんですか」
完全に勝利を確証し、佑司の唇は震えている。
「明日が楽しみだな」
「そうですね」
机の下で小さく、佑司がガッツポーズした。
その後。
Aki効果か、どこのニャーソンでも売り切れ続出。
発売一週間を待たずして、増産の声がかかった。
「今日はー、帰ったらー、チーを抱けるんだよなー」
だらしないくらい締まらない顔でにへらと佑司が笑う。
金曜日、彼の機嫌はとてつもなくいい。
朝からステーキを焼きそうになるくらいに。
「そうですね、二週もおあずけだったですもんね」
いや、あまりにおあずけが長いと可哀想だから、いいよって言ったんだよ?
自分から言うのは恥ずかしかったけど。
でもさ、やりはじめたら止まんなくなるから週末がいい、だって。
どれだけやる気だよ、絶倫かよっ、って心の中で突っ込んだ私に罪はない。
「早く帰りたいなー。
打ち上げなんてサボっちゃおうかなー」
「サボっちゃダメですよ、ニャーソンさんと合同なんですから」
「えー、飲み会は仕事じゃないしー」
いや、それはもっともだけど。
これは半接待なのだ。
私はともかく、佑司が欠席なんて許されるはずがない。
「一次会で帰りましょう。
それに、佑司が喜ぶようにうーんと準備してますから、期待してください」
「じゃあ、我慢するー」
まるでバースディパーティを心待ちにしている子供のようで、おかしくて仕方ない。
本当に幸せな朝だったんだけど……。
「はい、わかりました。
ありがとうございました」
私の電話が終わるのを、みんなが固唾を飲んで見守っている。
「工場から連絡入りました。
ニャーソンさんの配送センターへいま、出発したそうです」
……はぁーっ。
全員の口から出る、安堵の息。
「これでいよいよ……」
「明日の昼には……」
「俺たちの商品が……」
「ニャーソンさんの商品として並ぶんだよな……」
ほんと、大変だったと思う。
ニャーソンさんからだけじゃなく、佑司のダメ出しが半端なかったもん。
しかも最後は竹村課長のせいであれだもんね。
「みんな本当にお疲れだった。
あとは明日、無事に店頭に並ぶことと明後日の売り上げ報告を楽しみにしよう」
今日は解散になり、みんな退社していく。
私も佑司ももちろん、帰る。
「楽しみですね」
「そうだな」
佑司の表情はどことなくぎこちない。
もしかしたら一番、緊張しているのかもしれない。
次の日のお昼過ぎ、佑司に許可を取ってこわごわ近所のニャーソンに行ってみる。
「あった……」
チルドスイーツの目立つところに、それは並べてあった。
駿が土壇場で変更した、ブルーの敷き紙がさらに爽やかさを演出し、よく映えている。
「売れるといいな……」
誰かが買うところまで見届けたいが、そういうわけにはいかないので早々に退散した。
さらに夕方、嬉しいニュースが舞い込んだ。
「……ほんとですか、それ」
宣伝部の人間から聞いたときは信じられなかった。
いつもは仕事中に出さない携帯をバッグから出す。
すぐにニャンスタを開いて検索をかけた。
「……ほんとだ」
そこには、私たちの努力の結晶が女性アーティスト、Akiと一緒に写っていた。
【レモンのコンポートが宝石みたいにキラキラしてきれい!
中に入っているソースも爽やかで、暑い夏にぴったり。
ビタミンCも取れるし、これでさらに、きれいになれるかも?】
私が見ている間にも、瞬く間にいいねが増えていく。
さすが人気アーティスト。
しかも女性に人気となれば、これは。
「京屋部長」
彼の席に行き、携帯の画面を見せた。
「本当か、これ」
「騙してどうするんですか」
完全に勝利を確証し、佑司の唇は震えている。
「明日が楽しみだな」
「そうですね」
机の下で小さく、佑司がガッツポーズした。
その後。
Aki効果か、どこのニャーソンでも売り切れ続出。
発売一週間を待たずして、増産の声がかかった。
「今日はー、帰ったらー、チーを抱けるんだよなー」
だらしないくらい締まらない顔でにへらと佑司が笑う。
金曜日、彼の機嫌はとてつもなくいい。
朝からステーキを焼きそうになるくらいに。
「そうですね、二週もおあずけだったですもんね」
いや、あまりにおあずけが長いと可哀想だから、いいよって言ったんだよ?
自分から言うのは恥ずかしかったけど。
でもさ、やりはじめたら止まんなくなるから週末がいい、だって。
どれだけやる気だよ、絶倫かよっ、って心の中で突っ込んだ私に罪はない。
「早く帰りたいなー。
打ち上げなんてサボっちゃおうかなー」
「サボっちゃダメですよ、ニャーソンさんと合同なんですから」
「えー、飲み会は仕事じゃないしー」
いや、それはもっともだけど。
これは半接待なのだ。
私はともかく、佑司が欠席なんて許されるはずがない。
「一次会で帰りましょう。
それに、佑司が喜ぶようにうーんと準備してますから、期待してください」
「じゃあ、我慢するー」
まるでバースディパーティを心待ちにしている子供のようで、おかしくて仕方ない。
本当に幸せな朝だったんだけど……。
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