世界最強の男の娘
18話 入学試験
あれから三年が経った。変わったことはドーチェルをもらったのでそこに学院をつくった。第一から第四学院まであり、去年から運営を始めた。春の交流会、夏の学院対抗大会、秋の学院祭、冬の学術研究発表会の主に四つの催しで夏、秋、冬で一番成果を上げたの学院に点数を与え一番点数が高い学院に賞状を与えていて、研究などに一年限定の優先権を与えられる。去年は第三学院が優勝していた。
俺は王都にある、ブーリドウェル王立学院に通うことになっている。貴族になるには登竜門的な存在である。三年前、王城のパーティで絡まれたべーボース公爵の息子のドールに会わないといけない。入学試験で違うクラスになって欲しいと思っている。
「おはようございます。名前を用紙に記入して下さい」
「ありがとう」
校門の前で受付をしている女性に案内され、渡された用紙に記入し、校門をくぐる。中に入っていくと、見たことのある顔ぶれが並んでいる。あまり関わらないように端に隠れている。
「おはようございます、レイ様」
「お、おはようございます…アメリス嬢…」
「アメリス」
「いえ、そういう訳には…」
「アメリス」
「いえ」
「アメリス」
「そろそろ試験が始まるようですよ」
早くこの場から逃げなくては。この場に居続けては押されて、潰されてしまう。まぁ、試験が始まるのは本当のことだから大丈夫だな。
「只今から試験を始めます。先ずは筆記試験です。指定された教室に入って、席に着いてください」
「参りましょう!レイ様」
「ア、アメリス嬢、落ち着いて…」
同じ教室に俺と、王子殿下、王女殿下、ガイズ、ローズ、アメリス、ドールが揃っている。余り過剰に気にし過ぎるのは良くないことだ。気にしないでおこう。
「試験、開始!!」
担当教師の合図によって全員が用紙をひっくり返す。国語、算数、歴史、魔法学の四教科に別れていて各五十点満点で、合計二百点だ。まぁ、スーパーエリートのこの俺にかかれば、余裕すぎて何か面白いことをしたいな。逆にこの世界の人間に絶対解けなさそうな問題を作っておこうかな。
「そこまで。次は実技試です。第四訓練場に向かってください」
「レイ様、参りましょう!」
「ローズ嬢、手を繋がないでください」
「うぅ、良いではないですか。それにローズです」
「参りましょうか、ローズ嬢」
「レイ様は守りが堅いわね、ローズ」
「いつか崩しましょうね、アメリス」
不穏だなぁ。そういえば、さっきからドールがこちらを見ている。だが、話しかけてこない。多分だが、実技試験でいい所を見せてから話しかけようとしているのだろう。面倒臭い奴だな。
「的に自身の持つ最高の魔法を放ってください」
的は十メリル離れた所に設置されていて、結構硬い物質らしく、魔法でも硬質化にしてあるようだ。魔力操作が上手く人が上級魔法を放てば壊れてしまうだろうが、そんな使い手はいないので心配はないのだろうが、俺の中級で壊れるだろう。初級でなるべく下手に放たねばならない。
「では三十八番さん、どうぞ」
「はい」
初級火魔法の火球ファイアボールを放つ。的に当たり少し焦げる。オードス王子殿下は中級風魔法の風刃ウィンドエッジをの少し削れたのが一番反応が良かった。彼の中に自信が芽生えたのか、自信ありげな笑みを浮かべていた。ドールのことは見てなかったから知らない。
「次は武術試験になるので、第二訓練場に移動してください」
俺は隠れるようにして小走りに第二訓練場に移動しる。ローズとアメリスが探しているようだが知ったことは無い。
「武術試験です。好きな武器を手に取り、番号を呼ばれたら空いている試験官のところに向かってください。終わった人から帰ってもらって構いません」
順番に始まっていく。俺は三十八番なので、少し待っていよう。貴族は子どもの頃から英才教育を受けているのである程度は使えるようだが、教師たちに軽くあしらわれている。
「三十八番!」
「はい」
「レイ様、頑張ってくださいね」
「はは…」
片手剣を手にし、試験官の前に行く。軽く構えて挨拶をする。結構やるようだ。ここは善戦しているように見せて自然に負けるか。いや、バレる可能性があるのであらぬ疑いをかけられるのは嫌なので、偶然勝てた様に演出するか。
「宜しくお願いします」
「あぁ、かかって来なさい」
少し大振り目で剣を振る。攻撃を少しゆっくり目で攻撃する。このまま続けてもいいかもしれない。
「よし、ここまでだ。手を抜くとはいい心意気だな」
「いえ、手加減など」
「ガハハ、そうか!」
一礼してから試験官の前を去っていく。まさかバレるとは思わなかったのだが、嫌味な教師でなくてよかった。
「レイ様、格好良かったですわ」
「ローズ嬢、ありがとうございます」
「ローズ!」
「では私はこれで」
「うぅ…」
さぁ、合格しているといいな。
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