世界最強の男の娘

光井ヒロト

2話  覚醒したみたい




「オルガン様とナリーニ様が……お亡くなりになられました」


「ど、どうして…?」


「それが…王都より戻る途中、魔物の群れに襲われ……その…全滅したようです」


「う、う、ああああああぁぁぁーーー」


「レイ様!」


 辺りが真っ白になった。ベッドも鏡も椅子もない。何も無い場所。

ーー覚醒するとは思わなんだなーー

ーー『格・』があったから仕方ないことだろーー

ーー早く『あ・っ・ち・』に帰してあげましょーー

ーーそうだなーー


 誰かが会話している声が聞こえた。人はいなかったはずだが。ちょっと待って、覚醒て何だよ。『格』とか、『あっち』とか、意味わかんねーよ。

 再び、眩しくなった。また声が聞こえる。今度は聞きなれたメイドのマリーシアの声だ。目を開けると、執事のガリックにメイド長のアカリア、その他のメイドたちも集まっている。彼女たちの目からは心配や不安が伝わってくる。

 そんな目見せられたら、くよくよしてるにしてられないじゃん。決めないとな。


「よし!このブラック伯爵家はこの私、レイ・フォン・ブラックが引き継ごう!ええっと…まず王宮に使いをだせ、そして父上と母上の体はどうした?」


「いえ、お辛いでしょうが、無理でしょう」


「ならば良い。父上と母上の死で領内は混乱するはずだ。それを先に落ち着かせよう」


「「「かしこまりました」」」


 どうやら、落ち着いて動いてくれるようだ。状況を冷静に見ないとな。

 ステータスがすでに授与されているようだ。

 教会て授与の儀をしていないのに。先程のことが関係しているのだろうか。

《ステータス》
名前  レイ・フォン・ブラック
年齢
種族
性別  男
レベル  1
体力  100/100
魔力  1000/1000
称号  覚醒者 ブラック伯爵家当主 転生者 
    種族を超えし者 寿命を超えし者 神の使徒

魔法  火魔法
    水魔法
    風魔法
    土魔法
    光魔法
    闇魔法
    時空魔法
    召喚魔法
    創造魔法
    破壊魔法
    生活魔法

スキル 剣術 アイテムボックス 体術 隠密 隠蔽 鑑定


「WOW…大変だ…って、年齢と種族ぶっ飛んでんだけど何で!?不老不死ってこと!!?!」

 ま、まぁいい。良くないけど。ステータスは置いておいて、今は人が欲しいな。俺には、信頼できる仲間がいないわけだし。

 召喚魔法?良さそうだな。これで、契約出来たら人材確保だ。やってみよう!

「なんか出て来い、召喚!」

「「「お呼びにより、参りました」」」

「ええっと…だれ?」

 出てきたのは、執事服を着た男が七人。そして、メイド服を着たのが七人。片方は、黒いオーラが後ろに見えていて、もう片方は神々しいオーラだ。全員が片膝をついて、頭を垂れている。

「もしかして、悪魔と天使?」

 執事服の男が答えた。

「左様にございます。主様の魔力に呼ばれて参りました」

「あぁ、そう。名前はなんて言うんだ?」

 今度はメイド服の女が答える。

「我らに名前などございません。付けて下さいませ」

「じゃ、じゃあ悪魔のほうから付けていてこうかな。
ロイド、ラスラ、べリオット、ワザール、リスベル、テリオー、ザックな!
次は天使だ。
ミリース、マエル、ファニム、フェル、リール、ルアレ、サラフィスだ」

「有り難き幸せにございます」

「うん、いまの俺は信頼できる人が少ない。だから、俺のためにちからになって欲しい」

「この七罪源、傲慢のロイド、喜んで力になりましょう」

「この私、七元徳の謙虚を司るミリース、主様のため、精進致します」

「七罪源と七元徳ってなんなの?」

 代表して、ロイドと名付けた悪魔とミリースと名付けた天使が答えた。

「主様、七罪源とは悪魔の中で最も位の高く、力が強いものであります」

「天使も同様にございます。熾天使セラフィスと同様、または、それ以上の力を有しております」

「なるほど」

 悪魔の紹介でーす。

傲慢のロイド
 赤髪黒眼。赤悪魔公。中性的な見た目で、主の侮辱は絶対に許さない。自身よりレベルが低い者の攻撃を無効化。右手に『孔雀』の痣がある。

憤怒のラスラ
 青髪翠眼。青悪魔公。意外と気長だが、怒ると筋肉が隆起する。また、全ステータスが2倍になる。右胸に『狼』の痣がある。

嫉妬のべリオット
 翠髪赤眼。夢魔公。比較的小柄で、引っ込み思案で、兎に角嫉妬深い。一度受けた攻撃は二度と通用しない。鳩尾に『蛇』の痣がある。

怠惰のワザール
 灰髪金眼。堕天使。痩せて、やつれている食べることも、歩くこともめんどくさがる。本人曰く、俺こそ、怠惰を極めた者だ とのこと。ただ、命令には忠実。精神攻撃が得意。右腕に『熊』の痣がある。

強欲のリスベル
 白髪紫眼。白悪魔公。少しふくよかな体型をしていて、現金な性格。一度受けた攻撃を模倣できる。右眼に『狐』の痣がある。

暴食のテリオー
 黒髪黄眼。黒悪魔公。大柄で一番身長が高い、超が付くほどの美食家で、不味いものに厳しい。相手の解析を得意とし、完了したら吸収する。右腿に『虎』の痣がある。

色欲のザック
 紫紺髪朱眼。インクブス。女性のような見た目をしていて、男も女もバッチこい。魅了攻撃が得意。右額に『蠍』の痣がある。

 次に天使でーす。

謙虚のミリース
 金髪青眼。胸が一番大きく、とにかく真面目。冗談が通じないのは玉に瑕。敵が高慢になれば大斧で倒す。それまでは寛容。左目に『羊』の痣がある。

忍耐のマエル
 銀髪金眼。必要なこと以外喋らないが、主のことに関しては饒舌になる。言霊を使い敵を倒す。左尻に『鷹』の痣がある。

感謝のファニム
 白髪紫眼。十歳児くらいの身長で、コンプレックスに感じているらしい。祈りで心を落ち着かせ戦意喪失させる。左腿に『雀』の痣がある。

勤勉のフェル
 桃髪翠眼。眼鏡をかけていて、知識欲が半端じゃない。全ての魔法を扱える。左腕に『象』の痣がある。

慈善のリール
 茶髪紺眼。眼は空いているか視力がないが、周りの様子は見えていて、心まで読める。全ての傷、病、呪いを治せる。左手に『麒麟』の痣がある。

節制のルアレ
 赭髪白緑眼。超が付くほどケチだが、子どもに対しては、甘くなるところがある。全ての武器を扱える。舌に『海豚』の痣がある。

純潔のサラフィス
 二藍髪藤紫眼。高身長で潔癖性で近寄り難い雰囲気がするが、根は明るくポンコツ。心に穢れがあれば、真人間に変える。左肩に『猫』の痣がある。


 七罪源と七元徳に別れている。強そうだし、優秀そうだし、一安心だ。いきなり戦いを挑まれたらどうしようと思ったけど、そんなこと無かったみたいだ。

 彼らに従者兼事務官として、やってもらおうかな。取り敢えず、この領を発展させて、国内一番にしたいと思う。ほかの領知らないんだけどね。兎に角、課題は山積みだ。


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