私に彼氏ができないのは天使(妹)のせい!?

りゅう

私と天使(妹)の過去⑧




 「帰ってください」

 偶然、お菓子を取りにリビングに向かう途中、玄関からお母さんの冷たい声が聞こえて来た。お母さんがこんな声を出すのは珍しく、私は少し玄関を覗く、するとちょうどお母さんが玄関の扉を閉めるところだった。

 「今日も来てたんだ…」
 「えぇ…」
 「もう片方も?」
 「来てたわ。追い返したけど…」

 妹のためを思うとそれが一番だと思う。お母さんの行動は正しい。そう思っていた翌日、私は今日も妹の部屋で妹と過ごしていた。最近は妹と折り紙をしたりしている。最近まで、妹は何もしないで私の側にいるだけだったが、何もしないと何も変わらないと思い、昔、妹が好きだった折り紙を一緒に折ったり、オセロとか将棋とかトランプとか、ストーリー要素のないゲームをよく妹とするようになった。ストーリーのあるゲームとか勉強とかはどこに妹の精神を不安定にさせる引き金があるかわからなかったので、今はなるべくさせないようにしていた。

 甘やかしすぎかもしれないが、妹の辛そうな顔を、家族全員が見たくなかった。あと、妹は最近よく寝るようになった。つい最近まで、あまり寝れていなかったが、折り紙とかがいい気分転換になったのかもしれない。妹の睡眠時間が増えたことにより、私にも家で勉強できる時間が増えた。

 そして今日のお昼過ぎ、お昼ごはんを食べてオセロをしていると妹は眠そうにしていたので妹にお昼寝をさせた。

 「あと3日…」

 短すぎる制限時間を私は口にする。妹が寝てる時、私はたまにテンションを落ち込ませてしまう。妹の方が大切、と言ったはずなのに、やはり、諦めきれない気持ちがあった。

 「勉強しよ…」

 妹のかわいい寝顔を見つめて私は心を落ち着かせて妹の勉強机に座る。ちょうどそのタイミングで家のインターホンが鳴る。まだ、昼過ぎでお母さんはちょうど家にいない時間だった。

 宅急便とかかな…と思いながら無用心に家の扉を開けると、家の前には見覚えのある男性が立っていた。






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