私に彼氏ができないのは天使(妹)のせい!?

りゅう

私と天使(妹)の過去⑤




 「学校で何か言われた?」
 「校長先生と教頭先生に謝罪はされたわ。でも、この件は内部で処理したいって…大事にすればみゆに更に負担がかかるかもしれないからって言われたけど…」
 「納得、いかないね…」
 「ええ、明日は土曜日だし、お父さんともう一度学校に行くつもり」
 「そっか、みゆの側には私がいるから大丈夫。安心して…」
 「ありがとうね」

 お母さんと話をしている間、お父さんは黙っていたが、明らかに不機嫌なのがすぐにわかった。でも、その怒りを私たちにぶつけるようなことは絶対にしない人なので怖くはないが、圧がすごかった。

 なんとなく重い空気の中、お母さんがいれてくれた温かいお茶をゆっくりと飲んでいると、妹の部屋から悲鳴のような叫び声が聞こえた。

 私は慌てて妹の部屋に走り妹の側に駆け寄る。

 「みゆ、どうしたの?大丈夫?」
 「お姉ちゃん、みゆを1人にしないでよ!怖いの!」
 「ごめんね。ちょっとママたちとお話ししてたの。大丈夫。大丈夫だよ。みゆを1人にしないから。ごめんね。さ、一緒に寝よう。みゆも疲れてるでしょう?早く寝よう」

 私は叫ぶように泣く妹を必死にあやしながら妹をベッドに寝かしつけて、私も妹の横で妹を抱きしめるように寝る。

 「ママ、みゆは大丈夫だから、今は2人にさせて」
 「わ、わかったわ」

 私を追いかけて妹の部屋にやってきたお母さんにそう言うとお父さんを連れて妹の部屋から出て行く。この一件で、妹の精神状態が完全に不安定になっていることを、私たちは悟ってしまった。

 妹の寝顔を見ながら、少し安心する。私は、寝れなかった。妹のことが心配で…たまに、妹の寝顔が険しくなり魘されているような時がある。そんな時、私は妹をぎゅっと抱きしめて、妹の頭を撫でる。しばらくそれを続けると妹の寝顔は穏やかになり安心する。これを何度も続けたらあっという間に日が昇っていた。

 この日から、1週間、私は学校を休んで妹の側にいた。私の担任の先生に電話で事情を伝えると妹の心配をしてくれ、理解してくれ、私が学校に戻った時に授業についていけるように課題等を郵便で送ってくれたりしてとても助かった。

 妹は、最低限部屋から出ない。トイレに行く時と、私と一緒にお風呂に入る時以外はずっと私と部屋にいる。そんな生活が2週間続いた。






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