私に彼氏ができないのは天使(妹)のせい!?

りゅう

私と天使(妹)と恋




 「こう先輩…あの…聞いていいのかわからないですけど…こう先輩とゆめ先輩の間に何かあったのですか?」

 私は恐る恐るこう先輩に尋ねた。こう先輩は少しだけ戸惑った表情をしたが、すぐにいつもの優しい表情に戻る。

 「みことちゃんには…話しておくべきかな…一昨年ね。僕が入部した時、ゆめ先輩がいろいろ教えてくれてたんだけどさ…僕、ゆめ先輩に優しくされてゆめ先輩のこと好きになってさ…ちょっとだけ…その感情を表に出したりしたらゆめ先輩に嫌われちゃってさ…一昨年の半ばくらいから仲がめちゃくちゃ悪くて…この前は、チューバの後輩紹介しないといけなかったから無理言ってきてもらったんだ。去年までは…パート練習もしなくて…」
 「そう…なんですね…」
 「ゆめ先輩は何も悪くないからさ、この話聞いても、気にせず関わってあげて欲しいな。ゆめ先輩、本当にいい人だしさ、女の子の後輩欲しがっていたはずだから…」

 こう先輩は悲しそうな表情で言う。なんて…言えばいいのだろう……

 「一昨年さ、基礎はゆめ先輩に教えてもらった。他にもいろいろ教えてもらった。だけど…もっといろいろ教えて欲しかったし…もっと一緒に練習したりして欲しかったんだ…だから、僕に後輩が出来たら…ちゃんと面倒見て、一緒に練習したりしたかったんだ。一人で吹くより誰かと吹いた方が楽しいからね」

 こう先輩は笑顔で私に言う。その言葉を聞いて私は……

 「こう先輩、私、チューバ始めたばかりでわからないことだらけです。いっぱい教えてください。いっぱい、練習に付き合ってもらいたいです。こう先輩だけじゃなくて、ゆめ先輩とも一緒に…せっかく、同じパートなんですから三人で練習したいです」
 「そうだよね。今度…ゆめ先輩も誘ってみるね」
 「はい。お願いします。あと、こう先輩の恋も応援してます」
 「ありがとう」
 「いえいえ、こう先輩、そろそろ練習再開しましょう。もっとこう先輩と吹きたいです」
 「うん。ありがとう…」
 「こちらこそ有難うございます。こう先輩、本当にいい先輩だから…これからも頼らせてくださいね」
 「うん。いろいろ頼ってよ」

 なんで…応援する。なんて言ってしまったのだろう。私は…こう先輩に振り向いて欲しいのに……



 「お姉ちゃん馬鹿だね…」

 アパートの部屋に帰ってから天使(妹)に泣きながら抱きついて慰めてもらい、話を聞いてもらうと妹から辛辣なコメントをいただいた。

 「馬鹿って言うな…」
 「はいはい。ごめんなさいね。まあ、馬鹿なお姉ちゃんの側にはいつもみゆがいるから安心してよ…」
 「ありがとう…」
 「どっちが姉だかわからないね…」

 泣きながら抱きつく私の頭を撫でながら私の妹はそう呟いた。私がお姉ちゃんだからね。




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