私に彼氏ができないのは天使(妹)のせい!?

りゅう

私と天使(妹)と食事会






 食事会が始まって数分…お姉ちゃんが珍しくめちゃくちゃ不機嫌だということが隣に座る私にはよくわかった。
 バリチューの食事会には私と宇佐美さん、そして今日からユーフォパートとしてサークルに入った1年生の東久留美さん。久留美さんは一言で表すなら天然…めちゃくちゃ鈍臭い…あざといな…と思うこともあるが、わざとではなくガチの天然のようだ。久留美さんは天然だが、めちゃくちゃかわいいしめちゃくちゃ優しい。たぶん先輩から好かれるタイプだろう。ユーフォパートは私含めた3人が今年のフルメンバーだ。
 ユーフォパートが一列に並んで座る向かい側にチューバパートは並んで座っていた。
 まず、めちゃくちゃ不機嫌そうなお姉ちゃん…その横に3年生のこうさん、そしてこう先輩の横にチューバパート4年生の石川夢さん…お姉ちゃんが不機嫌そうにしている理由を私はなんとなく察した。
 こうさんが夢さんのことを好き好きオーラ全開なのだ。そして夢さんはこうさんのことを興味がないように適当に相手していた。夢さんはすごくおしとやかそうな女性で清楚系美人、はっきり言ってめちゃくちゃかわいい。しかも大人しくて普段あまり話さないが、仲良くなったらめちゃくちゃ話してくれるタイプというのも好感が持てる。
 「一方通行だねぇ…」
 宇佐美さんの呟きを聞いてチューバパートの現状をなんとなく察した私と久留美さんは引きつった笑みを浮かべた。
 一方通行と宇佐美さんは言ったがまさにその通りだと私は感じる。まず、端っこに座るお姉ちゃんは隣に座るこうさんが好き、だが、こうさんはお姉ちゃんに好意を抱かれていることに気付いておらず、こうさんはとなりに座る夢さんが好き、だが、夢さんはこうさんに全く興味がないようだった。チューバパート大丈夫かな…とユーフォパート全員が思うのだった……
 
 その後、みんなで料理を食べながらいろいろな話をしたが、ユーフォパートからは絶対に恋愛関係の話を出さないように3人とも気遣っていた。
 帰ったら不機嫌なお姉ちゃんの相手をしないといけないのか…と思いながら私は甘海老をいただく。めちゃくちゃ美味しい。
 お姉ちゃんは少し不機嫌だったが、バリチューの食事会は無事に終わった。その場で解散となり、私とお姉ちゃんはアパートに向かって歩いていた。

 「お姉ちゃん、どんまい…」
 「気づいてたの…」
 「気づかない方が難しいと思う」
 お姉ちゃんは食事会の最中に何度かこうさんに好きアピールをしたが全く気づいてもらえていなかった。はっきり言って見ててかわいそうになるレベルでこうさんは鈍感だった。
 「まあ、その…元気出して、あと3年一緒にいられるんだから頑張って」
 「うん。ありがとう」
 お姉ちゃんはそう言いながら私に抱きついて泣き始める。せめてアパート帰るまで我慢しなよ。と思ったが、こんな状態のお姉ちゃんは珍しいので私はお姉ちゃんを抱きしめて、大丈夫だよ。と小さい子供をあやすようにお姉ちゃんの頭を撫でる。私に抱きついてしばらくするとお姉ちゃんはもう大丈夫。と言い、私から離れる。その後のお姉ちゃんはいつものお姉ちゃんだった。
 たまにはお姉ちゃんから抱きつかれるのも悪くないな…とドキドキしながら私は思うのだった。






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