ジャスティン・ウォーカー〜予言の書〜

けんじぃ

スフィンクスの謎

扉を開けた先は、薄暗く、松明の明かりでわずかに照らされた部屋だった。


出口が向こう側に見えたが、出口の前にはまたも銅像があった。
さっきの鳥と違って、不思議な生き物の形をした銅像が座っていた。顔は人のようにも見えるのに胴体はライオンのようで翼まで生えているのが見えた。
「これ。スフィンクスだわ。古代の伝説上の生き物よ。」


きっとこの銅像も動きだす。そう思って僕達は身構えた。
すると予想通り銅像はゆっくりと4本の足で立ち上がった。
するとなんとスフィンクスは話しだした。
「そなたらに問う。この問いに答えなければそなたらの命はない。まずは挑戦するだけの知恵の持ち主かを試す。2人同時に答えるのだ。」
僕らは顔を見合わせてうなずいた。
「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足になるものはなんだ。」
全く分からなかった。僕は困ったようにイザベラを見た。だがスフィンクスは察したように言った。
「答えを片方が教えれば命はない」
僕は頭の中で一生懸命考えた。
足ということは動物だろうか。
でも歩き方が変わる動物なんているだろうか。
朝、昼、夜。1日でこんなにも変わるはずない。僕ははっとした。これは例えなんだ。
朝は1日の始まり。夜は終わりだ。
はじめは四本足で、真ん中で二本足、最後は三本…分かった。


僕はイザベラの方を向いて笑顔で答えがわかったことを伝えた。
合図をした。
「答えは、人間だ(よ。)」
答えだ瞬間イザベラと一緒で安心した。


「ふむ。正解だ。人間にしてはそなたらの知恵はなかなかのものだ。では私の謎かけに答える権利を与える。答えるのはどちらでもよい。答えられればこの向こうに行くことができる。ただし1人のみだ。」
「分かった。」僕達は同時に答えた。
「ではそなたらに問う。人間の鼻は9,口は3,目は4。では耳は。」
僕は聞いた瞬間に答えられないと思った。さっぱりだった。答えは数字だろう。言ってないのは1,2,5,6,7,8だ。適当に言うわけにもいかない。命がないということはスフィンクスが襲ってくる。この部屋の広さなら逃げ切れる可能性は低い。
「難しいわ。」
数字同士をかけて見たらいいだろうか。
「くしさんじゅうろく」少し声に出してしまったがスフィンクスは気にしてないようでほっとした。
僕はスフィンクスの言った言葉を思い出すように言った。
「もう一度問題は聞ける?」
「問題は一度しか言わない。」
僕とスフィンクスの会話を聞いて、イザベラははっとして、何か思いついたように考え出した。
「わかったわ。間違いない。答えは「ちょう」よ。」
「ふむ。正解だ。」
「どうして分かったの?」
「数字の読み方よ。わたしはきゅう、よんと読んでいたけど、ジャスティンはく、しと言ったわ。数字には読み方が2つある。数字の読み方に気をつければ、鼻はきゅうかくの9,口はみかくの3,目はしかくの4,だから耳はちょうかくのちょうよ。」
「では通るがよい。」
「待って。1人が通れるなら答えたわたしじゃなくてもいいはずよね。」
「ふむ。その通りかもしれん。よかろう。」
「ジャスティン言って。この先は私よりあなたの力が必要な気がするの。それに」
イザベラはスフィンクスの方を向いた。
「ねぇ。謎かけ続けてほしいわ。また1つ答えたらまた1人通してくれるわね。」
「ふむ。それは予想外だが、よかろう。私は謎かけするためだけにここにいる。」
「ねっ。すぐに私も追いつくからジャスティンは早く行って。」
確かに僕が残っても追いかけることはできない。
「でも僕だけの力じゃ…」
「信じてあなたの力を。私たちは信じてるわ。あとは自分で信じるだけよ。」
背中を押されて僕は振り返りながらも覚悟を決めて、スフィンクスの横を通って次の道へと一歩一歩進んで行った。

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