界外の契約者(コール)
4話 salmon@コックリさん
毎回同じ場面を見ていて、毎回これだけで神々しいと、また禍々しいとすら思える。
……などと、神宮寺が胸中でそんな感想を述べ終えた直後、少女の凛々しい顔がコロリと変わり、今にも泣きそうな目を携えた顔になり目の前にいる下田アリアに、おそるおそる話しかける。
「あ、あのぉ……」
「毎回毎回、界外したらその顔浮かべてなんか不満でもあるの?」
「ヒィ! そ、そんなことありませんって!!むしろ疑問ですぅ………」
「なに。早く言って」
着物ケモミミ少女は大きな耳をピコピコ動かし、ウルウルと潤ませた瞳でアリア尋ねる。
「あ、あたしぃは、なんで毎回小麦粉を使ったモノを贄に界外されてるんですぅか?そ、そこのところ教えて下さいよぉアリアさん」
それに対するアリアの回答はと言うと。
「気分に決まってるでしょ。意図してやる意味が無いし」
「そ、そんなのってあるんですか!! あたしぃは日本の神様なんですぅよ。できるなら好物のお米やお魚なんかで界外させてくださいよぉ……」
少女は、潤んでいた瞳から涙がポロポロ溢してその場に座り込んでしまった。
納得していないようだった。
呆れ半分で地べたに座る着物ケモミミ少女に、これはさすがの神宮寺でも共感できる。
例えて言うならば、ある知人宅にお客人としてお呼ばれされているのに、お通しがコンビニから買ってきたお惣菜。
そんな断るのも、あえて享受するのも微妙な立ち位置で何十回も同じ事をやられたら、流石に図太い男である神宮寺もうんざりする。
だがそんなのおかましなしに、アリアはツカツカと座り込んだ少女の元に歩いていく。
そして、おもむろにカバンを漁りだして何かを探し出す。
取り出したのは一個のおにぎりだ。
それがただのおにぎりなら何も問題はなかった。
シャケおにぎりと書いていなければ。
動いたのはケモミミ少女の方だった。
さっきまでめそめそと涙を流していた少女は目にも止まらぬ早さで飛び上がるように立ち上がり、アリアの右手に収まっているシャケおにぎりを奪い去る。
そして綺麗に流線を描きながらおにぎりの包装紙を外し口に運ぶ。
ここまでが2秒。
ぽかんと口を開けて何が起きたのか分からなかった神宮寺。予想していたのか、呆れ顔でガツガツとおにぎりを頬張る少女を見つめるアリア。
「言っちゃ悪いと思うけど。神様って本当に単純でたすかる」
「もぐもぐ……そんな、もぐ……神さまをぉバカにしないでくださいぃ!………もぐもぐ……」
おにぎりを食べながら反論するが、その姿で説得力のない神様少女。
そんな少女より背が少し上で頑張って見下そうとしているアリア。
離れたところでぽかんと口を開けている神宮寺。
奇妙で、不気味で、バカバカしい空気が人気のない道を意味もなく包んでいく。
しばらくして、着物ケモミミ少女が手を合わせて「ご馳走様でしたぁ!」と大きな声で食事を終了したので、アリアはすぐに用件を伝えることにした。
「おい、こっくり。あんた呼び出したのはお食事させるためでもないのは分かっていて?」
構図が上級生が下級生をいじめている図なのだが。
着物ケモミミ少女、こっくりさんと呼ばれる『都市伝説と言う神話によって産み出された20世紀の神』は。
「ま、また人探しですかぁ……。コレって連日やるとすっごく疲れるんですぅよ」
「知ってるわよ」
下田アリアはこっくりさんの事情など御構い無しに、後ろに立っていた神宮寺に指を向ける。
「だから、あいつを呼んだのよ」
……などと、神宮寺が胸中でそんな感想を述べ終えた直後、少女の凛々しい顔がコロリと変わり、今にも泣きそうな目を携えた顔になり目の前にいる下田アリアに、おそるおそる話しかける。
「あ、あのぉ……」
「毎回毎回、界外したらその顔浮かべてなんか不満でもあるの?」
「ヒィ! そ、そんなことありませんって!!むしろ疑問ですぅ………」
「なに。早く言って」
着物ケモミミ少女は大きな耳をピコピコ動かし、ウルウルと潤ませた瞳でアリア尋ねる。
「あ、あたしぃは、なんで毎回小麦粉を使ったモノを贄に界外されてるんですぅか?そ、そこのところ教えて下さいよぉアリアさん」
それに対するアリアの回答はと言うと。
「気分に決まってるでしょ。意図してやる意味が無いし」
「そ、そんなのってあるんですか!! あたしぃは日本の神様なんですぅよ。できるなら好物のお米やお魚なんかで界外させてくださいよぉ……」
少女は、潤んでいた瞳から涙がポロポロ溢してその場に座り込んでしまった。
納得していないようだった。
呆れ半分で地べたに座る着物ケモミミ少女に、これはさすがの神宮寺でも共感できる。
例えて言うならば、ある知人宅にお客人としてお呼ばれされているのに、お通しがコンビニから買ってきたお惣菜。
そんな断るのも、あえて享受するのも微妙な立ち位置で何十回も同じ事をやられたら、流石に図太い男である神宮寺もうんざりする。
だがそんなのおかましなしに、アリアはツカツカと座り込んだ少女の元に歩いていく。
そして、おもむろにカバンを漁りだして何かを探し出す。
取り出したのは一個のおにぎりだ。
それがただのおにぎりなら何も問題はなかった。
シャケおにぎりと書いていなければ。
動いたのはケモミミ少女の方だった。
さっきまでめそめそと涙を流していた少女は目にも止まらぬ早さで飛び上がるように立ち上がり、アリアの右手に収まっているシャケおにぎりを奪い去る。
そして綺麗に流線を描きながらおにぎりの包装紙を外し口に運ぶ。
ここまでが2秒。
ぽかんと口を開けて何が起きたのか分からなかった神宮寺。予想していたのか、呆れ顔でガツガツとおにぎりを頬張る少女を見つめるアリア。
「言っちゃ悪いと思うけど。神様って本当に単純でたすかる」
「もぐもぐ……そんな、もぐ……神さまをぉバカにしないでくださいぃ!………もぐもぐ……」
おにぎりを食べながら反論するが、その姿で説得力のない神様少女。
そんな少女より背が少し上で頑張って見下そうとしているアリア。
離れたところでぽかんと口を開けている神宮寺。
奇妙で、不気味で、バカバカしい空気が人気のない道を意味もなく包んでいく。
しばらくして、着物ケモミミ少女が手を合わせて「ご馳走様でしたぁ!」と大きな声で食事を終了したので、アリアはすぐに用件を伝えることにした。
「おい、こっくり。あんた呼び出したのはお食事させるためでもないのは分かっていて?」
構図が上級生が下級生をいじめている図なのだが。
着物ケモミミ少女、こっくりさんと呼ばれる『都市伝説と言う神話によって産み出された20世紀の神』は。
「ま、また人探しですかぁ……。コレって連日やるとすっごく疲れるんですぅよ」
「知ってるわよ」
下田アリアはこっくりさんの事情など御構い無しに、後ろに立っていた神宮寺に指を向ける。
「だから、あいつを呼んだのよ」
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