界外の契約者(コール)
パーティーには無縁の男
土曜日の19時頃。
その日、上野にある大きなビルの5階から7階を貸し切りにパーティーが催されていた。
招かれた招待客はみんな綺麗なドレスやスールを着ており、仕草や纏っているオーラが違っており。そこらで着飾って歩いている一般人とは付いているものが違っていた。
さて、そんなお客人の中で一番、いや特に浮いている存在がいた。
「うへー、何だよみんなあんなに着飾って。あのおばさんとか首に垂らしているネックレスに付いてんのアレってダイヤか? あのおじいさんがしてる指輪とか見たことない色の宝石だな」
似合わないスーツを着て、なりだけを正した男。神宮寺 孝作。
彼はあたりに怪しげな視線を投げつけており、今にも会場内を歩いている黒服の男達に取り押さえられそうだ。
「ほら! あんまりキョロキョロしない」
不審人物である神宮寺の右足を、ハイヒールで踏んだ少女。下田 アリアはその身長に似合わず赤を基調にしたドレスを着ていた。
「いってえぇな…………お前は平気なのかよこんな豪華なパーティーとか」
「こーゆうパーティーはお父さんにいっつも連れられるからね。慣れないほうがおかしいのよ」
「すいませんでしたね。俺は一般市民でしたよ」
不貞腐れて視線をそらす神宮寺。
その視線の先には霧島がいた。ただし、神宮寺の知らない霧島 弾が。
「お父さまとお母さまにはよろしくと言っておいてくれたまえ」
「えぇ、それを聞いたら親も喜ぶと思いますよ。武田さんの話はよく聞いてましたし。ところで、今度の選挙はどうなるんですか?」
「ああぁ、その話なんだが……ここだけだぞ」
「大丈夫ですよ。僕は誰かに他言することはないですから」
「本当かい? なら話すが実は……」
霧島は上品な仕草で飲み物を持って、何処かで見たことのある政治家らしきおじいさんと談笑していた。
忘れていたが、霧島は不良のように見えるが立派なお坊ちゃんだった。
「あーもー、俺だけ浮くのはなんでなのさ……」
「別にあんただけじゃないよ。ほらあれ」
アリアが指差す先には片手にお皿と片手にフォークを携えて、並んでいる料理を片っ端から食べている女性がいた。
青紫の色のドレスを着て、神様だというのに珍しく化粧をしたヨグ=ソトースだった。
彼女は周囲の訝しげな目も関係なく、熱心な感じで料理に手をつけていく。
「あのドレスどうやら霧島の母親のものらしいけど」
「……あれ? あいつあんなに背が高くて胸デカかったか?」
「……神様だから自由に変えられるんでしょ。あと、あんたパーティー終わった殴り殺すから」
「おいおい。こんなパーティーのあとに殺人事件とか後味悪くなるぜ! まぁ、冗談だろうし良いけど。あははは!!」
「………………」
「………………ごめんなさい」
平に謝る神宮寺に溜息をつきつつ、アリアは目的の人物が何処にいるか探す。
さて、読んでいる方には話が急速すぎてわからないだろうと思うので話しておく。
水曜日のお昼休み。
彼らは東條絵里の依頼でこのパーティーに出席すると共に、このパーティーの主催者であり主役の大鷲 誠治とアイドルである自分の護衛と警護を頼まれた。
その際、神宮寺が嫌々ながら参加しようとした時に「護衛が務まったら大鷲さんからさらに報奨金が出る」と聞いて即決したのは言うまでもない。
だが、一体二人は何から狙われているのか?
大鷲誠治という男は2年前に外務大臣を務めていたことがあり、その際の怨恨が原因で狙われていると見て間違いはない。
しかし、東條絵里はどうだろうか?
彼女が命の危機を知ったのは神宮寺たちに会う前の夜のことだ。
帰り道中にシルクハットの奇人が襲ってきたという。
ここまでなら変態と区別できるのだが、その男は違った。
男は手のひらから炎を放ったのだ。
東條絵里はその炎を避けて間合いを取ったのだが、次の一手では逆の手で首を掴まれて宙に浮かされた。
幸い、遠くから彼女を見守っていた彼女の神が助けて男は逃げたのだが。
翌日の朝には彼女が住んでいるアパートに殺害予告が書かれた紙と一緒に、メロンとスイカが着払いで送られた。
まぁ当然、同居人の神は「送り主コロス」と言って配達員にお金を払った後、送り主が書かれていない配達先の書類をビリビリに破って、果物を美味しくいただいたようだが。もちろん毒見だったのらしいが、毒は入っていなかったとか。
そしてその日の朝食、スイカとメロンのフルーツ盛りを食べて学校に来た東條絵里は。昔からの知り合いであるアリアに相談したところ。アリアが勝手に神宮寺たちと一緒に護衛をすると首を縦に振ったそうだ。
経緯はここまでだが。
しかし、この話を聞いた神宮寺達はまだ殺害理由が分かっていなかった。
結局、他のアイドルの恨みで狙われているということにされたが。
さて、命を狙われているとうの本人はというと。
「イエーーーイ!! 盛り上がってるかーーい!?」
…………予想以上に盛り上がっていた。
その日、上野にある大きなビルの5階から7階を貸し切りにパーティーが催されていた。
招かれた招待客はみんな綺麗なドレスやスールを着ており、仕草や纏っているオーラが違っており。そこらで着飾って歩いている一般人とは付いているものが違っていた。
さて、そんなお客人の中で一番、いや特に浮いている存在がいた。
「うへー、何だよみんなあんなに着飾って。あのおばさんとか首に垂らしているネックレスに付いてんのアレってダイヤか? あのおじいさんがしてる指輪とか見たことない色の宝石だな」
似合わないスーツを着て、なりだけを正した男。神宮寺 孝作。
彼はあたりに怪しげな視線を投げつけており、今にも会場内を歩いている黒服の男達に取り押さえられそうだ。
「ほら! あんまりキョロキョロしない」
不審人物である神宮寺の右足を、ハイヒールで踏んだ少女。下田 アリアはその身長に似合わず赤を基調にしたドレスを着ていた。
「いってえぇな…………お前は平気なのかよこんな豪華なパーティーとか」
「こーゆうパーティーはお父さんにいっつも連れられるからね。慣れないほうがおかしいのよ」
「すいませんでしたね。俺は一般市民でしたよ」
不貞腐れて視線をそらす神宮寺。
その視線の先には霧島がいた。ただし、神宮寺の知らない霧島 弾が。
「お父さまとお母さまにはよろしくと言っておいてくれたまえ」
「えぇ、それを聞いたら親も喜ぶと思いますよ。武田さんの話はよく聞いてましたし。ところで、今度の選挙はどうなるんですか?」
「ああぁ、その話なんだが……ここだけだぞ」
「大丈夫ですよ。僕は誰かに他言することはないですから」
「本当かい? なら話すが実は……」
霧島は上品な仕草で飲み物を持って、何処かで見たことのある政治家らしきおじいさんと談笑していた。
忘れていたが、霧島は不良のように見えるが立派なお坊ちゃんだった。
「あーもー、俺だけ浮くのはなんでなのさ……」
「別にあんただけじゃないよ。ほらあれ」
アリアが指差す先には片手にお皿と片手にフォークを携えて、並んでいる料理を片っ端から食べている女性がいた。
青紫の色のドレスを着て、神様だというのに珍しく化粧をしたヨグ=ソトースだった。
彼女は周囲の訝しげな目も関係なく、熱心な感じで料理に手をつけていく。
「あのドレスどうやら霧島の母親のものらしいけど」
「……あれ? あいつあんなに背が高くて胸デカかったか?」
「……神様だから自由に変えられるんでしょ。あと、あんたパーティー終わった殴り殺すから」
「おいおい。こんなパーティーのあとに殺人事件とか後味悪くなるぜ! まぁ、冗談だろうし良いけど。あははは!!」
「………………」
「………………ごめんなさい」
平に謝る神宮寺に溜息をつきつつ、アリアは目的の人物が何処にいるか探す。
さて、読んでいる方には話が急速すぎてわからないだろうと思うので話しておく。
水曜日のお昼休み。
彼らは東條絵里の依頼でこのパーティーに出席すると共に、このパーティーの主催者であり主役の大鷲 誠治とアイドルである自分の護衛と警護を頼まれた。
その際、神宮寺が嫌々ながら参加しようとした時に「護衛が務まったら大鷲さんからさらに報奨金が出る」と聞いて即決したのは言うまでもない。
だが、一体二人は何から狙われているのか?
大鷲誠治という男は2年前に外務大臣を務めていたことがあり、その際の怨恨が原因で狙われていると見て間違いはない。
しかし、東條絵里はどうだろうか?
彼女が命の危機を知ったのは神宮寺たちに会う前の夜のことだ。
帰り道中にシルクハットの奇人が襲ってきたという。
ここまでなら変態と区別できるのだが、その男は違った。
男は手のひらから炎を放ったのだ。
東條絵里はその炎を避けて間合いを取ったのだが、次の一手では逆の手で首を掴まれて宙に浮かされた。
幸い、遠くから彼女を見守っていた彼女の神が助けて男は逃げたのだが。
翌日の朝には彼女が住んでいるアパートに殺害予告が書かれた紙と一緒に、メロンとスイカが着払いで送られた。
まぁ当然、同居人の神は「送り主コロス」と言って配達員にお金を払った後、送り主が書かれていない配達先の書類をビリビリに破って、果物を美味しくいただいたようだが。もちろん毒見だったのらしいが、毒は入っていなかったとか。
そしてその日の朝食、スイカとメロンのフルーツ盛りを食べて学校に来た東條絵里は。昔からの知り合いであるアリアに相談したところ。アリアが勝手に神宮寺たちと一緒に護衛をすると首を縦に振ったそうだ。
経緯はここまでだが。
しかし、この話を聞いた神宮寺達はまだ殺害理由が分かっていなかった。
結局、他のアイドルの恨みで狙われているということにされたが。
さて、命を狙われているとうの本人はというと。
「イエーーーイ!! 盛り上がってるかーーい!?」
…………予想以上に盛り上がっていた。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
17
-
-
58
-
-
35
-
-
39
-
-
20
-
-
52
-
-
2
-
-
127
-
-
337
コメント