界外の契約者(コール)
お姫様抱っこ☆
神宮寺とアリアは3階の大広間にいた。
そして、アリアが界外した薙刀を持った大きな式神がその広間で腕をとてつもない速さをもって大いに動かしていた。
しかし、そんな危ない刃物の間を難なく潜り抜ける、いや、踊っているように躱す者がいた。
「あははは!! そんな演武ではわたくしに傷もつけられませんわよ!  舞踏会にでも参加したらよろしいのでは!?」
笑いながら全ての斬撃を躱しつつ、右手の人差し指と中指で挟むように持っていた棒を薙刀を振り回す式神に向け、狙いを定める。
「肉質はレアでございます!!」
そう言った直後、突如として式神の体が燃え始めた。
最初は火を振り払おうと必死にもがいていたが、やがて力尽きたのか、次の一瞬では灰となって風に舞っていた。
「あらら、やっぱり火加減はもう少し師匠に習ったほうがよろしいかしら。焦がしてしまっては師匠の為のお料理も出来ませんわ」
まるで失敗したように落ち込んだ口調でそう告げる。
白いワンピースにキラキラとした装飾を付けている少女。
その頭にはとんがり帽子を被っていた。
一連の行動。
このような攻防をアリアはすでに7回も行っている。
「なんだよありゃ!! おいアリア! あいつが神じゃなくて魔法使いとかって意味わかんねーーぞ!! 説明しろぉい!」
「うっせーな! いま次の界外してんだから後にしてよ!!」
アリアが怒鳴るように答え、足元に大量の幾何学模様を張り巡らす。
「一気に6体!!  こいつで足止め食らってろ!!」
光がほとばしると、先ほどの鎧武者の式神が6体も幾何学模様の上に現れる。
それを見届けたアリアは、後ろを向くと神宮寺の手を取って全速力で駆ける。
「あ、あれ!? いいのか出しっ放しで……」
「あれは時間稼ぎ! あの女に『都市伝説』関連の神は相性悪いっぽい!」
なんだそりゃ。
そう思いながら神宮寺は引っ張られながら後ろを振り向いた。
そこには、真っ赤な火だるまとなった鎧武者達が無惨にもがきながら倒れていた。
その炎の中から、あの女が出てくる。
「うふふふ、界外術師なんて所詮はこの程度ですわね。師匠の鬼のような教練がなかったらわたくしも逃げていたでしょうけど」
そう言いながら女は持っていた杖をこちらに向けた。
神宮寺とアリアに向けて。
「まずい! 」
それを見ていた神宮寺はとっさにアリアに抱きつき、頭を抱えるように抱く。
「え!?」
一瞬だが少し嬉しそうな声が聞こえた気がするが、そんなものは無視だ。
「燃えちゃえ!!」
女の楽しそうな声と共に、神宮寺の背中が焼けるように熱くなる。
もう終わりだ。
そう思って目を閉じた時だった。
突然熱さがなくなり、逆に冷気を肌で感じたのは。
「……………あれ?」
不思議に思い頭だけを振り向かせて後方を確認する。
そこには、黒いスーツの女性の後ろ姿が見えた。
後ろで髪を束ねており、背中から感じるオーラからは神宮寺がさっき感じた共感といったものが伺えた。
「…………えーーと、し、シズクさんでしょうか?」
おそるおそるといった感じに尋ねる神宮寺に、『メビウスの輪』のパートナーであり神宮寺と同じ『神格者』のシズクは振り向き。
「………………」
無言でコクリと頷くだけだった。
そんな彼女にぽかんと口を開けて惚ける神宮寺だったが、シズクが神宮寺の体に丸めた紙を投げてグッと親指をあげる。
「???」
なんか喋ってほしいな。
そう願うも、シズクは顔を振り返らせて前を見据えていた。
そちらに目を移すと、炎を放った女の杖を持っていた右手が丸ごと氷み包まれて凍っていた。
「な、!?  何ですのこいつは!! 界外術師!? いいえ、さっき一階にいた奴らは転がしておいて残りは上階のひよりを倒そうとしているはずですわ! あなた、何者ですの!?」
凍った右手を左手で抱くように持つと女は後ずさる。
しかし、たいしてシズクはそのまま前進する。
無言で無表情のまま。
とりあえず、窮地は脱したと思った。
神宮寺は丸まった紙をポケットに入れ、次に自分の下にいたアリアの足と背中に手を回して抱きあげる。
神宮寺は深く考えてなかったが、これは前回と同じような気がすると思っていた。
まぁ、他者からしたらお姫様抱っこに見えるのだが。
「と、とりあえずシズクさん? ようは俺とアリアはここから逃げて、あんたに任せていいんだよな?」
とりあえず了解を聞くと、またも無言で頷くだけだった。
「ちょっと! と、ととととりあえずこの抱き方やめてくんない!? にゃ、にゃんだか嫌だから!!」
腕の中で暴れるアリアの言うことは無視し、さっきあの女が襲ってきた際に先に階下に行かせた東條と平を追うために階段を降りる。
その直後、大きな爆音と凍るような氷結音が背後から聞こえたが、神宮寺は振り返らずに下に進む。
そして、アリアが界外した薙刀を持った大きな式神がその広間で腕をとてつもない速さをもって大いに動かしていた。
しかし、そんな危ない刃物の間を難なく潜り抜ける、いや、踊っているように躱す者がいた。
「あははは!! そんな演武ではわたくしに傷もつけられませんわよ!  舞踏会にでも参加したらよろしいのでは!?」
笑いながら全ての斬撃を躱しつつ、右手の人差し指と中指で挟むように持っていた棒を薙刀を振り回す式神に向け、狙いを定める。
「肉質はレアでございます!!」
そう言った直後、突如として式神の体が燃え始めた。
最初は火を振り払おうと必死にもがいていたが、やがて力尽きたのか、次の一瞬では灰となって風に舞っていた。
「あらら、やっぱり火加減はもう少し師匠に習ったほうがよろしいかしら。焦がしてしまっては師匠の為のお料理も出来ませんわ」
まるで失敗したように落ち込んだ口調でそう告げる。
白いワンピースにキラキラとした装飾を付けている少女。
その頭にはとんがり帽子を被っていた。
一連の行動。
このような攻防をアリアはすでに7回も行っている。
「なんだよありゃ!! おいアリア! あいつが神じゃなくて魔法使いとかって意味わかんねーーぞ!! 説明しろぉい!」
「うっせーな! いま次の界外してんだから後にしてよ!!」
アリアが怒鳴るように答え、足元に大量の幾何学模様を張り巡らす。
「一気に6体!!  こいつで足止め食らってろ!!」
光がほとばしると、先ほどの鎧武者の式神が6体も幾何学模様の上に現れる。
それを見届けたアリアは、後ろを向くと神宮寺の手を取って全速力で駆ける。
「あ、あれ!? いいのか出しっ放しで……」
「あれは時間稼ぎ! あの女に『都市伝説』関連の神は相性悪いっぽい!」
なんだそりゃ。
そう思いながら神宮寺は引っ張られながら後ろを振り向いた。
そこには、真っ赤な火だるまとなった鎧武者達が無惨にもがきながら倒れていた。
その炎の中から、あの女が出てくる。
「うふふふ、界外術師なんて所詮はこの程度ですわね。師匠の鬼のような教練がなかったらわたくしも逃げていたでしょうけど」
そう言いながら女は持っていた杖をこちらに向けた。
神宮寺とアリアに向けて。
「まずい! 」
それを見ていた神宮寺はとっさにアリアに抱きつき、頭を抱えるように抱く。
「え!?」
一瞬だが少し嬉しそうな声が聞こえた気がするが、そんなものは無視だ。
「燃えちゃえ!!」
女の楽しそうな声と共に、神宮寺の背中が焼けるように熱くなる。
もう終わりだ。
そう思って目を閉じた時だった。
突然熱さがなくなり、逆に冷気を肌で感じたのは。
「……………あれ?」
不思議に思い頭だけを振り向かせて後方を確認する。
そこには、黒いスーツの女性の後ろ姿が見えた。
後ろで髪を束ねており、背中から感じるオーラからは神宮寺がさっき感じた共感といったものが伺えた。
「…………えーーと、し、シズクさんでしょうか?」
おそるおそるといった感じに尋ねる神宮寺に、『メビウスの輪』のパートナーであり神宮寺と同じ『神格者』のシズクは振り向き。
「………………」
無言でコクリと頷くだけだった。
そんな彼女にぽかんと口を開けて惚ける神宮寺だったが、シズクが神宮寺の体に丸めた紙を投げてグッと親指をあげる。
「???」
なんか喋ってほしいな。
そう願うも、シズクは顔を振り返らせて前を見据えていた。
そちらに目を移すと、炎を放った女の杖を持っていた右手が丸ごと氷み包まれて凍っていた。
「な、!?  何ですのこいつは!! 界外術師!? いいえ、さっき一階にいた奴らは転がしておいて残りは上階のひよりを倒そうとしているはずですわ! あなた、何者ですの!?」
凍った右手を左手で抱くように持つと女は後ずさる。
しかし、たいしてシズクはそのまま前進する。
無言で無表情のまま。
とりあえず、窮地は脱したと思った。
神宮寺は丸まった紙をポケットに入れ、次に自分の下にいたアリアの足と背中に手を回して抱きあげる。
神宮寺は深く考えてなかったが、これは前回と同じような気がすると思っていた。
まぁ、他者からしたらお姫様抱っこに見えるのだが。
「と、とりあえずシズクさん? ようは俺とアリアはここから逃げて、あんたに任せていいんだよな?」
とりあえず了解を聞くと、またも無言で頷くだけだった。
「ちょっと! と、ととととりあえずこの抱き方やめてくんない!? にゃ、にゃんだか嫌だから!!」
腕の中で暴れるアリアの言うことは無視し、さっきあの女が襲ってきた際に先に階下に行かせた東條と平を追うために階段を降りる。
その直後、大きな爆音と凍るような氷結音が背後から聞こえたが、神宮寺は振り返らずに下に進む。
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