こじらせ女の恋愛記録

ひよこまめ。

孤独と葛藤


高校最後の体育祭が終わり
私たち高校3年生はいよいよ受験モードへと突入していた。


私たちカップルはというと
彼が夏に野球部を引退してから、2人で過ごす時間がとても増えた。


朝は待ち合わせをしてから一緒に登校し
一緒の授業は隣同士で座って受け
授業と授業の間の休み時間も会ってお喋りをし
昼食は一緒に食べ、放課後は一緒に帰った。


学校がある月曜~土曜は、朝から夕方までほぼずっと一緒にいた。




これは彼が体育祭の団長をやっていた影響だと思うが
知らない後輩から
「○○先輩(彼の名前)の彼女さんですよね?」と声を掛けられたこともあるくらい
校内で私たちカップルを知らない人はほとんどいなかった。笑


私は正直、そんなに一緒にいなくてもいいと思っていたけど、彼は違った。


彼は元々とても嫉妬深い人だった。


特に高3になってクラスが離れてからは
休み時間のたびに私の教室の前をうろつくようになった。


私が気づかなくても、周りの友達が気づいて
「また来てるよ!」と教えてくれた。


こう言ったら悪いが、まるでストーカーみたいだった。


彼と同じクラスだった友達が
「ねえ、教室でめちゃめちゃ怖い顔しながら貧乏ゆすりしてるんだけど!」
と、わざわざ私に報告してきたことがあった。


どうやら私が、廊下にいる彼の存在に気づかないまま
クラスメイトと仲良く楽しそうにお喋りをしてる姿を見て嫉妬をしたらしい。


そういったことは度々あって
イライラして落ち込む彼を毎回慰めるのは正直めんどくさかった。


やがて
周りの友達も彼のイライラした姿を見るのが嫌になったのか
私に声をかけてくれる友達は少なくなった。


私はもっとみんなと話したいのに。
もっとみんなと遊びたいのに。


「みおかには彼がいるからいいじゃん!」
と言われることが増えた時は
なんだかこのまま友達がいなくなってしまうような気がしてつらかった。


彼のことは大好きだったけど
私は友達との時間も大切にしたかった。


残り少ない高校生活。


彼だけに依存するような生活は送りたくなかったのだ。


だけど彼には私しか見えていなかった。


ずっと一緒にいたい。
将来結婚したい。
と言ってくるのはまだわかるが
子供の名前まで考え始めた時はさすがに少し引いた、、


「お前に捨てられたら俺は一生誰とも付き合わない」
「お前が裏切ったらお前を殺して俺も死ぬ」


半分脅しのようなことを言われたこともあった。


LINEの返信が少し遅くなっただけで
「大丈夫?」
「何かあったの?」
「なんで連絡してくれないの?」
と立て続けに100件くらい送ってきたこともあった。


私: 「いや、普通に考えて受験生だし、勉強してるに決まってるじゃん、、」
彼: 「そうだよね、ごめんね」


そんなやりとりをすることも多かったので
私はなかなか受験勉強に身が入らなかった。


家に帰れば
「勉強は大丈夫なの?」
「ちゃんと合格できるの?」
という母からの言葉。


私は、受験への焦りと不安を感じていた。


「MARCH以上の大学じゃないと受験料は払わない」
「うちは浪人はないからね!」
と母から散々言われていたし


私としてもMARCH以上の大学に入りたいという強い思いがあったので
とても必死だった。


私がMARCH以上の大学に入りたいと思ったのは、こんな考えがあったからだ。


ある程度のレベルの大学に受かることができなければ、きっと周りの人からバカにされると。


受験期間なのに、彼氏と呑気にイチャイチャしていたせいだと。


そう思われることだけは絶対に避けたくて
そのためにも、ある程度名の知れた大学に入りたかった。




11月のある日のこと。


彼の嫉妬問題と受験への不安や焦り
たくさんのストレスで精神的に疲れていた私に
さらに追い打ちをかけるようなしんどい出来事が起きた。


4限終わり。


昼休みは、彼と自習室に行って勉強するのが日課だった。


一度教室に寄って、自習室に行く準備をしようとしていた時だった。


同じクラスの男子生徒に突然怒鳴られたのだ。


あまりにも突然のことだったので
初めはそれが私に向けてのものだとは思わなかった。


けれど
聞こえるか聞こえないかの声で不満を呟く彼の目線の先には
ほかでもない私がいた。


「え?!私?!」
と、自分を指差してキョトンとした顔で答えると


「お前しかいねえだろうが!!!」
という怒声が飛んできた。


「みんな必死でやってんのに、お前らヘラヘライチャイチャしてんじゃねえよ!迷惑なのわかんねえのかよ!」


驚きと恐怖のあまり、私は静かに涙をこぼしながら呆然と立ち尽くしていた。


その場にいたクラスメイト達もまた
彼の突然の行動には驚いていて
教室内は静まり返っていた。


近くにいた先生が止めに入ってくれたおかげでその場は一旦収まったのだけど
何が起こったのか一瞬では整理することができずにいた私は
ただずっとその場に立ち尽くしていた。


廊下で私を待っていた彼は
なかなか出てこない私を心配して教室に入ってきた。


彼は私に何が起きたのかを理解していなかった。


「どうしたの?」と聞かれても
何も答えずただ泣きじゃくる私を
彼はとても心配そうに見つめていた。


ちょうどその頃は
迫り来る受験本番への不安と焦りで
学年のみんながピリピリとし始めていた時期だった。


怒鳴ってきたクラスメイトは
そんな中で私と彼が楽しそうにしてる姿が気に食わなかったらしい。


「気にすんなよ!」と優しい言葉を掛けてくれた友達も何人かいたけど
その一件以来、私は人間不信に陥るようになった。


今まで誰も言わなかっただけで
他のみんなも怒鳴ってきた彼と同じような気持ちを抱いていたのかもしれない。


心配するフリをして
本当は「ざまあみろ」とか「自業自得」とか思われてるのかもしれない。


そんな風に考え始めたらもう
誰の言葉も信用できなくなっていた。


私はその日以来、学校に行くのが怖くなった。


行きたくなかったけど
行かないと親に心配されてしまうので
しばらくの間、私は保健室登校をするようになった。


ありがたいことに
その間も心配して連絡をしてきてくれた友達はたくさんいたけど
どんなに優しい言葉をかけられても素直に受け止めることができない自分に
悲しみと苛立ちを覚えていた。


もうすぐ受験本番だというのに、なんでこんな思いをしなければならないんだろう。


私の精神状態はもはや崩壊していた。


つらくて、苦しくて、もういっそこのまま死んでしまいたいとも思っていた。


やり場のない苦しみ、怒り、悲しみを、私は全て彼にぶつけていた。


「もう死にたい」
「こんなふうになったのは、全部○○(彼の名前)のせいだよ」
「こんな思いをするなら付き合わなければよかった」


彼をたくさん傷つけているという自覚はあったので
彼から別れを切り出される日がきても仕方がないと思っていたけど
彼は私がどんなにひどいことを言おうとも
怒ることも別れを切り出すこともなかった。


それどころか彼は
「お願いだから、死ぬとか、付き合わなければよかったとか、別れたいとかそんな悲しいこと言わないでよ」
と泣きながら言っていた。


私が死んだら生きる意味がないと泣きじゃくる彼の姿は、見ていられないほどだった。


二人して悩み、苦しむ時期がしばらく続いたけど
私たちは互いに励まし合い、支え合った。




お互いの絆や愛情が深まった出来事のように思えるけど、私は違っていた。


この頃から少しずつ、彼に対する私の気持ちは薄まり始めていた。

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