こじらせ女の恋愛記録

ひよこまめ。

甘酸っぱい青春


私が通っていた中高一貫校は
1学年160人の4クラスで編成された
わりと小規模な学校だった。


それでも
何回も同じクラスになる人もいれば
1回も同じクラスになったことがない人もいた。




高校2年生。


5年目にして初めて同じクラスになった人がいた。


その人こそが
のちに私の彼氏となる野球部のピッチャーだ。


彼とは約1年半ほどお付き合いをしていたのだけど
どうにも好きになったきっかけを思い出すことができない、、笑


きっかけは思い出せないけど
好きになり始めてからのことは鮮明に覚えている。


おそらくきっかけは、席が近かったこと。


席替えで
私は中1の頃から仲のいい女友達と隣同士になった。


そして、その子の隣の席にいたのが彼だった。


私の隣の席に座っていた彼女は
彼と元々親交があったため、よく話をしていた。


その2人の会話に混ぜてもらうこともあったし
逆に彼が私たちの会話に混ざってくることもあって
3人で会話をする機会が増えた。


それがきっかけで
私も彼と仲良くなって気になり始めた。


のだと思う、、笑




そんなこんなで私たちは仲良くなり
ある時、みんなで映画を観に行こうという話になった。


私たち3人に加え
前の席に座ってた男女の友達2人も一緒に行った。


観たい映画が2つあったので
2つのグループに分かれて観ることになり
私は好意を持っていた彼と同じ映画を観ることになった。


観た映画はバイオハザード。


お分かりだろうが
きゅんきゅんするような映画ではない。


だけど気になる人と隣同士で観る映画。


ドキドキの時間を過ごせるかと思いきや
学校終わりで相当疲れていたのかなんなのか
私はあの激しいサバイバル映画で
なんと爆睡してしまっていた。笑


はっ!
と気づいた時には既にエンドロールだった。


それに気づかれたかどうか
彼にどう反応されたかは残念ながら忘れてしまったのだけど
自分が寝てしまったことだけはしっかりと覚えている。笑


先に映画を見終わっていたもう一方のグループと合流すると
3人は私たちを待っている間に
ゲームセンターのUFOキャッチャーで遊んでいた。


UFOキャッチャーが得意な男友達が
ぬいぐるみをゲットして女友達2人にプレゼントしていた。


私が羨ましがっていると
それを見た彼が
「じゃあ、俺もなんか取ってあげようか?」と言ってくれた。


総額500円で
彼はリラックマのキーホルダーをゲットし
私にプレゼントしてくれた。


彼が私にくれた初めてのプレゼントだった。


私は嬉しくて、そのキーホルダーをスクールバックにずっと身につけていた。


、、、のだが


ズボラな私は
気づかない間にそれをどこかで落としてしまったようで
失くしてしまっていた、、。


せっかく取ってくれたのに、、
という申し訳なさと
彼から貰った初めてのプレゼントを失くしてしまったというショックで
ひどく落ち込んでいたのだけど


私に全く気がなかった彼は
「大したものじゃないし、そんなの気にすんなよ!」
と笑いながら言っていた。




彼と私は
彼の部活がオフである日の放課後に
お互いの好物であるラーメンを一緒に食べに行くくらいには仲良くなっていた。


学校の近くを2人で歩いていると
ばったり遭遇した同級生に
「あれ!?もしかして2人付き合ってるの?!」
と言われることはよくあったのだけど


彼はきまって
「俺とこいつはそういうのないから!」
と、笑いながら否定をしていた。


彼が私を意識していないことを実感するたびにショックを受けていたけど
貴重なオフを私と一緒に過ごしてくれるというだけで、私は嬉しくて幸せだった。




一緒に映画を観に行ったうちの1人でもある
私と同じ部活だった女友達(前の席に座っていた男女のうちの1人)は
彼とは何回も同じクラスになっていてとても仲が良かった。




これは余談だが
彼は中学時代に、この女友達2人に告って振られている、、笑




彼女は私の気持ちを知っていて
私たちの仲を取り持とうとしてくれた。


一番感謝したのは誕生日。


私の誕生日をお祝いしようと言って
彼を誘って3人でご飯を食べに行った。


「私、お腹痛いふりして行かないから2人で楽しみな!」
と言ってくれたのだけど


「それはさすがに気まずいから!笑」
と言って、彼女にも無理やり来てもらった。


本音は恥ずかしかっただけなのだけれど、、笑


そんな私の気持ちを察してか
帰り道の時には気を遣って
「私は家が近いから、みおかのこと駅まで送ってってあげなよ!」
と言って2人きりにしてくれた。


その日は12月の肌寒い日だった。


私が寒がっていると
彼は着ていたセーターと手袋を私に貸してくれた。


大きくてダボダボなセーターと手袋は
ふんわりとした温もりに包まれていて暖かかった。


当たり前にキュンとした瞬間だったし
当たり前に嬉しくて幸せだった。


でも、何の気なしで私に優しくしてくる彼の素振りは
私にとっては思わせぶりのような感じがして
もどかしくて苦しくもあった。


後日、彼から
「誕生日プレゼントは何が欲しい?」
と連絡が来た。


プレゼントくれるんだ、、!!!


という喜びはもちろんあったけど


物を貰うよりもなによりも
彼と過ごす時間が欲しかった私は
「何もいらないから私服で遊びに行きたい!」
と言った。


学校帰りに遊ぶことはあっても
プライベートで遊んだことは一度もなかったからだ。


彼はそんな私のお願いを快く了承してくれた。


なぜか忘れたけど
日程は大晦日の前日である12月30日を提案された。


急遽決まったこの年末のドキドキイベントを
私は心待ちにする日々を過ごした。




こんなに大好きでいたのに
彼は私の気持ちに全く気づいていなかった。


彼はとても鈍くて
私の想いに気づかないどころか
別の人のことを好きだとさえ思っていた時期もあって
それを否定したら本気で驚かれたこともある。




話は少し逸れるが
私が彼に一番キュンとした出来事の話をしようと思う。


言い忘れていたが
私は中高6年間ダンス部に所属していて
毎年クリスマスの時期には、校内でクリスマス公演を行っていた。


しかしその時期
学校内ではインフルエンザが流行していて
私自身も公演2日前くらいにインフルエンザに似た症状が出てしまったのであった。


おそらくインフルエンザであるということは分かりきっていたのだけど


どうしても公演に出たかった私は
周りのみんなに移してしまうかもしれないことを申し訳なく思いながらも
病院に行ってインフルだと診断されることを避けるため
高熱で死にそうになりながらも毎日登校し
保健室にも行かずに必死に授業を受ける日々を過ごしていた。




そして迎えた公演当日。


最初から最後までフラフラではあったものの
なんとか踊りきることができた。


終わった瞬間
全ての体力を使い果たし
身体中の水分も奪われて今にも倒れそうだった私に声をかけてくれたのは
他でもない彼だった。


「お疲れ!」と言って
飲みかけのカルピスを渡してくれたのだ。


その時の私と言ったら
それはもう今にも泣きそうなくらいに幸せで


ああ、、やっぱり私は彼のことが好きだ。


と思った。


公演後、すぐに病院に行き
案の定インフルと診断された。


もうすぐ冬休みという時期だったのに
翌日から出席停止をくらい
学校に行かずにそのまま冬休みを迎えることになった。


そんな私を心配してメールをしてくれたのもまた、彼だった。


「体調悪かったのによく頑張ったね」
という労いの言葉ももちろん嬉しかったのだけど


それ以上に嬉しかったのは
サンタの衣装を着て踊った演目で
「あれはマジで可愛かった!!」と褒めてくれたことだった。


好きな人に可愛いと言われることほど嬉しいことはないし
そのメールを受け取った時の私は
まさに天にも登る気持ちだった。




話は戻り
デートの約束をしていた12月30日当日。


体調はすっかり良くなっていたのだが
その日は天気が最悪で大雨だった。


場所はお台場。


まずはダイバーシティでショッピングをした。
店員さんに「カップルですか?」なんて聞かれて
彼がなんて答えるのかちょっと期待してみたけど
彼は否定も肯定もせずにただ愛想笑いをするだけだった。


フードコートで食事を済ませ、やることに困った私たちは映画を観ることにした。


観た映画はレミゼラブル。


今回は絶対に寝るまい!!!
と心に決めていて
寝ないことは無事にクリアしたのだけど
今度は別の問題が発生した。


映画が始まる前
混み合っていたトイレに行くのをやめたのだが
そのせいで、開始から1時間半くらい経った頃
トイレに行きたくなってしまったのだ、、笑


普通の映画は大体2時間ほどで終わる。


時計を確認し、もうすぐ終わるだろうと思って我慢していたのだけど
なかなか終わる様子がない。


それもそのはず
レミゼラブルの上映時間は、なんと2時間40分もあったのだ。


トイレに行きたくなってからは本編に集中することができず
とにかく尿意を抑えることに必死だった。


なんとか本編が終わるまでは我慢をしていたのだけど
エンドロールでついに限界を迎えた私は
「ごめん!トイレ行ってきても良いかな?泣」
と言って、彼を1人置いてトイレに駆け込んだ。


せっかくのデートの日に
好きな人の前でこれ以上ない恥ずかしい思いをしたことを
私は絶対に忘れない。


私は、お台場に来たからには絶対に観覧車に乗りたい!と思っていて
それを彼に伝えたら
「こんな大雨だけどいいの!?」
と驚いていたけど、一緒に乗ってくれた。


大粒の雨が打ちつける中で乗った観覧車は
普通なら生まれるであろう良いムードなんてものは一切なくて
むしろ笑いに包まれていたけど


好きな人と観覧車に乗ることは私の夢だったので
単純に、夢が叶って嬉しかったのを覚えている。


そんなこんなで楽しい時間はあっという間に過ぎ
帰宅する時間となった。


このデートで
私はどうにも鈍感な彼に
せめて私の気持ちくらいは気付いてほしいと思った。


もし気付いてもらえなくても
ひとりの女として意識してもらえるように
雨の力を利用して、さりげなく腕を組んで相合傘をしてみたり
帰りの電車で肩にもたれかかって寝たフリをしたりした。笑


その効果があってか
帰り道こそ何もなかったけど
帰宅後、ついに私は彼から告白を受けることに成功したのである。




「もしよかったら、俺と付き合ってくれないかな!?」




心の底から嬉しかった。


「ずっと前から好きだったからすごく嬉しい!」
と彼に伝えたら
「そうだったの?笑」
と言われて


ほんとに鈍いなあと思ったけど
もうそんなことはどうでもよくて


彼と両想いになれたこと。
大好きな人に告白してもらえた幸せをただただ噛み締めていた。


こうして私と彼は、めでたくカップルとなった。

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