転生しているヒマはねぇ!
74話 天界
「大丈夫ですかな、ダイチ殿?」
天界の地面に降り立ち、翼を身の内にしまった風神ウェントスが、心配そうに、オレの顔を覗き込む。
……猛禽類のアップはけっこう恐いな。
「大丈夫……とは言えないけど、少し休ませて貰えれば、すぐ回復すっから」
オレは大評議場のある中央大陸中央運河の上空から、ウェントスに右腕で抱えられ、ウェントスのテリトリーであるダリーナ峡谷上空に位置する彼の住居前まで飛んできた。
現界の造りは空に天界、地表に人界、地下に魔界の三層構造だ。
ただ、それぞれがマーシャの母マリンが構築した『空間の隔絶』なるもので隔てられており、人界で普通に空高く飛んでも天界には辿りつかないし、普通に深く穴を掘ろうが魔界には辿りつかない。同じ現界にあっても、普通の人類が天界や魔界に行くには、転移魔法や転移魔方陣等が必要になってくる。
まあ、そうでもなかったら、今頃大地に太陽の光は届いていない。魔界にも朝昼晩があるらしいしな。
つまり、現界が三層構造になっているというのは、冥界側や神族、高位の悪魔族といった、自力で『空間の隔絶』を越えられる者たちから見た世界観だそうだ。人類からすればまったく違う世界にあるのと変わらない。
ちなみに、天界には人界や魔界にある山や川、海といった地形が無い。
俺たちが今立っている白い床のような平らな地面と神の住居、そして世界の果てまで続く青い空だけだ。
他には先程まで説明会を行っていた神族評議場や、交流会が行われた天冥交流会議場くらいかな。
ある意味起伏のない砂漠みたいだ。
たまに見つける神の住居がオアシスで、それ以外は白い砂。
一人で歩いていたら、絶対に自分が今どこにいるかわからなくなる。なんたって広さは現界の他の世界と同じなのに、住んでるのは神族137名とそれに従属している天使たちだけ。世界中に信者がいるような神の中には、別荘を持つ神もいるらしいが、それを数に入れたところで、人界の建築物の数とは比較にならない程少ない。人口?密度も低い。
ふう。ようやく楽になってきたな。
筋肉ムキムキの神様に抱えられての空旅は、正直快適な旅とは言えない。
「アハハ、案外だらしないなぁ、ダイチは。あんな快適な空の旅なんて、そうそう出来るものじゃないのに」
何故かウェントスの左腕に抱えられ、オレと一緒にやって来た旅女神レンダが、ニコニコと笑っている。 
あれは間違っても快適なんかじゃない。生身で時速100キロ超えは絶叫系だ。神様なんだから転移しろ転移! 内臓の位置がだいぶ変わった気がするぞ!                 
「ところで何でレンダまで一緒に来たんだ?」
「ボク? そんなの決まってるじゃないか。
ダイチと一緒にいると楽しそうなことに巡り会えそうだからだよ!
ボクは旅の女神であると同時に、好奇心の女神でもあるんだ。
これはもう一緒に行くっきゃないよ!」
ああ。天界版シャーロだな。呆れはするが、残念なことにシャーロに似ているということはオレと気が合うということでもある。手に入れたい現界側の個人的な仲間の一人になってくれるかもしれない。
「とりあえず家の中に入ってくれ。嫌な気配は特にしていないから大丈夫だとは思うが、念の為、地上の様子も確認しておきたい」
そう言って彼は白壁平屋建ての住居の中に入っていく。レンダに手を引かれオレも後に続く。
「お帰りなさいませ、ウェントス様!
説明会はいかがでございましたか?
おおう! レンダ様もご一緒でございましたか!
我が主がいつもお世話になっております!
あわわわ、お初のお客様もいらっしゃいますーっ! 引きこもりのウェントス様に、レンダ様以外のお友達が出来るなんて、感激のあまり死んでしまいますーっ!」
オレたちが中に入るなり、すぐに元気の良い声がウェントスを出迎える。
キラキラしたブロンドロングヘアーの上に光の輪を浮かべ、その背には白い対の翼を持った天使……プリサだった。
天界の地面に降り立ち、翼を身の内にしまった風神ウェントスが、心配そうに、オレの顔を覗き込む。
……猛禽類のアップはけっこう恐いな。
「大丈夫……とは言えないけど、少し休ませて貰えれば、すぐ回復すっから」
オレは大評議場のある中央大陸中央運河の上空から、ウェントスに右腕で抱えられ、ウェントスのテリトリーであるダリーナ峡谷上空に位置する彼の住居前まで飛んできた。
現界の造りは空に天界、地表に人界、地下に魔界の三層構造だ。
ただ、それぞれがマーシャの母マリンが構築した『空間の隔絶』なるもので隔てられており、人界で普通に空高く飛んでも天界には辿りつかないし、普通に深く穴を掘ろうが魔界には辿りつかない。同じ現界にあっても、普通の人類が天界や魔界に行くには、転移魔法や転移魔方陣等が必要になってくる。
まあ、そうでもなかったら、今頃大地に太陽の光は届いていない。魔界にも朝昼晩があるらしいしな。
つまり、現界が三層構造になっているというのは、冥界側や神族、高位の悪魔族といった、自力で『空間の隔絶』を越えられる者たちから見た世界観だそうだ。人類からすればまったく違う世界にあるのと変わらない。
ちなみに、天界には人界や魔界にある山や川、海といった地形が無い。
俺たちが今立っている白い床のような平らな地面と神の住居、そして世界の果てまで続く青い空だけだ。
他には先程まで説明会を行っていた神族評議場や、交流会が行われた天冥交流会議場くらいかな。
ある意味起伏のない砂漠みたいだ。
たまに見つける神の住居がオアシスで、それ以外は白い砂。
一人で歩いていたら、絶対に自分が今どこにいるかわからなくなる。なんたって広さは現界の他の世界と同じなのに、住んでるのは神族137名とそれに従属している天使たちだけ。世界中に信者がいるような神の中には、別荘を持つ神もいるらしいが、それを数に入れたところで、人界の建築物の数とは比較にならない程少ない。人口?密度も低い。
ふう。ようやく楽になってきたな。
筋肉ムキムキの神様に抱えられての空旅は、正直快適な旅とは言えない。
「アハハ、案外だらしないなぁ、ダイチは。あんな快適な空の旅なんて、そうそう出来るものじゃないのに」
何故かウェントスの左腕に抱えられ、オレと一緒にやって来た旅女神レンダが、ニコニコと笑っている。 
あれは間違っても快適なんかじゃない。生身で時速100キロ超えは絶叫系だ。神様なんだから転移しろ転移! 内臓の位置がだいぶ変わった気がするぞ!                 
「ところで何でレンダまで一緒に来たんだ?」
「ボク? そんなの決まってるじゃないか。
ダイチと一緒にいると楽しそうなことに巡り会えそうだからだよ!
ボクは旅の女神であると同時に、好奇心の女神でもあるんだ。
これはもう一緒に行くっきゃないよ!」
ああ。天界版シャーロだな。呆れはするが、残念なことにシャーロに似ているということはオレと気が合うということでもある。手に入れたい現界側の個人的な仲間の一人になってくれるかもしれない。
「とりあえず家の中に入ってくれ。嫌な気配は特にしていないから大丈夫だとは思うが、念の為、地上の様子も確認しておきたい」
そう言って彼は白壁平屋建ての住居の中に入っていく。レンダに手を引かれオレも後に続く。
「お帰りなさいませ、ウェントス様!
説明会はいかがでございましたか?
おおう! レンダ様もご一緒でございましたか!
我が主がいつもお世話になっております!
あわわわ、お初のお客様もいらっしゃいますーっ! 引きこもりのウェントス様に、レンダ様以外のお友達が出来るなんて、感激のあまり死んでしまいますーっ!」
オレたちが中に入るなり、すぐに元気の良い声がウェントスを出迎える。
キラキラしたブロンドロングヘアーの上に光の輪を浮かべ、その背には白い対の翼を持った天使……プリサだった。
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