聖剣に選ばれたスライムは、魔物なので勇者失格です!?

アイララ

その剣の記憶が疼く

『それじゃあ最初はこの私、ゼルドラント親衛隊の一人、巨樹の大剣使い・ルアンが戦うわ。ゼルドラント様、私の剣捌きを見てください!』

そう言いながら彼女は、私より一回り大きい身体から剣撃を繰り出してきた。今、ルアンが手にしてるのは大剣ではなくロングソード。だけどそれでもあの体格、まともに食らえば大怪我は免れないだろう。

まともに食らえばの話だけどね。

振りが素直すぎる。私が今までゲームで戦ってきた相手は、もっと私を惑わす動きをしてた。フェイントもない、軽快なステップもない、ただ力任せの動き。

一振り、二振り、間を挟んで繰り返す。これ以上ない読みやすい動きをしてるわね。これなら簡単に買わせそうだわ。

タイミングを見て、右に左に躱し突っ込んでいく。間を置かずに首元に剣を当て、『、、、参った。』勝負あり。

『こんなにあっさり負けるとはな、流石ゼルドラント様と共にいるだけはある。ルッシュ、ルゼンタ、仇を取ってくれ。』

仇を取ってて、そんな大袈裟に言わなくても。それにしても本当に身体がよく動くよね。長年ゲームで培ってきた技術が、私の身体に染み込んでる感覚がするわ。

これも聖剣の力かしら?まあいいわ、今は目の前の敵に集中しないと。

『三対一だけど卑怯だなんて言わないでよね。これもゼルドラント様の為、擦り寄る虫は尽く排除するの。

それがゼルドラント親衛隊の役目なんだから!見ててください、ゼルドラント様!隼の短剣使い・ルッシュがこのお邪魔虫を排除してみますわ!』

そう言って華麗な動きと共に突撃してきた。お得意の短剣でなくロングソードではあるが、それでもいい動きをしている。

だけど、それだけ。動きはいいが、私の筋力でも十分受け止められる範囲。これなら楽に勝利できそうね、、、うん?

〜〜〜〜〜

引っ掛かったわね、この女。私がワザと力を抜いているのに気づいてないわ。後は相手が突っ込んでくるのを待つだけ。

流暢に喋っているから、口の中に何か仕込んでいるとは思わないはず。でもそれは大間違い、後から仕込む事だって出来るのよ。

首元に隠し持つ痺れ毒を口で取り、そのまま相手に浴びせてやるの。勿論、私達三人は解毒薬を摂取済み。この勝負貰ったわ!

〜〜〜〜〜

変ね、やけに顔を隠すような動きをしてるわ。、、、もしや!!!

相手の剣撃を押し切り突っ込んで、狙い通り顔を見せた所に剣を突きつける。

「それで、一体何をするつもりだったのかしら?」

『、、、ペッ、痺れ毒よ。よく気づいたわね、降参するわ。ルゼンタ、後は頼んだわよ。』

なるほど、上手い事考えるものね。だけど、動きが分かりやすいのは見逃せないわよ。

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