聖剣に選ばれたスライムは、魔物なので勇者失格です!?

アイララ

初戦闘は痴情のもつれ

「お待たせ〜。この防具、中々いい感じだね。軽くてとても動きやすいよ。」

『そいつはよかった。ところでお前が持っている剣、中々強そうな符呪がされてるな。鞘に収まっている状態でも光の符呪がされてるのが分かるぞ。

だが光の符呪は魔物に対してはかなり強いが、人間や亜人達には効果がない。どうだ、ここで一つ炎の符呪が付いた剣を買わないか?』

『ふむ、それもそうだ。貴女もそう望むならもう一つ買っていきましょう。どれにしますか?』

へ〜、この聖剣って人間に対しては弱いのか。まぁでも、あくまで魔王や魔物を倒す為の武器だし仕方ないか。

それでこの店の中にある武器から選べばいいんだよね。どれがいいかな?直剣に曲剣、大鎌のような変わった武器もあるし、これは中々時間がかかりそうね。

「どれにって言われてもね、そんな簡単には選べないよ。う〜ん、まずはこれかな、この直剣も良さそうだし、、、。」

『選ぶのが大変なら、外で試し振りしてみたらどうだ?どうせ今の時間は客もいないし、人通りも少ない。誰にも迷惑はかかるまい。』

店の主人はそう自虐するように言った。そう言うのなら早速試してみようかな。ちょうど良さそうな剣があったしね。

〜〜〜〜〜

店の外に出ると、そこにいるのは三人の女性。服装から見るに冒険者だろう人達は、私の事をジロリと睨んでいる。

『ちょっとちょっと、何勝手に彼と一緒にいるのよ!彼と一緒に冒険しようと私は血の滲む努力をしてきたのに!』

『そうよ!貴女みたいな雌猫が、いきなり横から手を出すなんて許せない!ここで報いを受けてもらうわ!』

『正義の元に成敗致す、お覚悟を!』

あちゃ〜、モテる女は辛いねぇ〜てなる訳無いでしょ!全くもう、彼とは出会ったばかりでなんの関係もないのに。

まぁ、そんな事言っても聞くような雰囲気ではないよね。かといって、逃げても相手が持ってる弓で射抜かれる可能性がある。

仕方ない、ここは戦って切り抜ける以外の選択肢はないか。

『待て待て待て!店の前で決闘はやめてくれよ。ここで死人でも出たら、ただでさえ少ない客がパッタリ途絶えちまう。

ほら、戦うのならこれを使え。これなら死者が出る事もないだろう。』

店の主人は戦おうと構えた私達を止め、模造のロングソードを渡してきた。なるほど、確かにこれなら精々骨折程度で済むだろう。

三人の女性達も、渋々納得した表情と共に剣を取る。再び剣を構え直して決闘再開、この世界で初の真剣勝負だ。

まぁ、真剣じゃなくて模造刀だけどね。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品