聖剣に選ばれたスライムは、魔物なので勇者失格です!?

アイララ

勇者装備は神様製

『剣や防具などの装備は基本的に鍛冶屋が販売しています。ですが、そこいらの鍛冶屋は質が悪くお勧めできません。

ここロックバルンが経営している鍛冶屋なら、その心配もなく購入できます。勇者様には最高の装備を着てもらいたいですしね。』

そんな話を聞きながら来た店は、少し古く感じる建物の鍛冶屋だった。『防具を買いにきた、邪魔するぞ。』と言いながら彼と共に店に入る。

中は辺り一面に剣や防具があり、少しごちゃごちゃしてるが壮観であった。転生前に遊んでいたゲームで使っていた装備に似ているのもある。

そんな事を考えながら眺めてたら、なんだか懐かしく思えてきた。そういえばゲームプレイして最初の頃は、色んな装備を使っていたよね。今はなんだかんだでロングソードに落ち着いたけど。

店の中を眺めて少し経つと、店の奥から聞こえている鍛治の音が止まった。そのまま鍛治の音を出してた人が私達の前に現れる。鍛冶屋の主人、ロックバルンだ。

長年鍛治で鍛えられた身体と厳つい頑固そうな顔でギロッと睨まれて、思わず後退りしそうになる。そんな私にお構いなく、鍛冶屋の主人が話しかけてきた。

『おう、ゼルドラントじゃないか。いつも一人のお前が女を連れてるなんて珍しいな。防具か、彼女への贈り物にするつもりか?』

『彼女じゃない、ただの友達だ。それより彼女に良い防具を見繕ってくれ。もし無かったら今すぐ作るんだ、大至急でな。』

『おいおい、防具なんざ普通はそう簡単に用意出来ないぞ。だがまあ、あるにはある。待ってろ、すぐ持ってくる。』

とんとん拍子で話が進み、鍛冶屋の主人が持ってきたのは懐かしの防具だった。

『ほら、これだ。普通なら小柄な人は調整が必要だが、たまたま合いそうな防具があったのでな。着てみるといい。』

そう言われながら防具を渡される。見覚えのある装備、ゲームでいつも来ていた防具がそこにある。長年、ゲームで愛用していたロングソードに革の軽装鎧。それが現実の物になるなんて思いもしなかった。

「あっ、ありがとうございます。早速来てみますね。」

防具を手に試着室へ駆け込む。どんな着心地か楽しみだなぁ。

〜〜〜〜〜

『随分気前いいんだな、何か嬉しい事でもあったのか?』

『ちょっと違うな、あの防具は貰ったんだ。今日の朝起きたら布団の隣に置いてあっててな。しかも、【いいの見繕っておいたわ】なんて書いてある紙と一緒にな。

しかもその防具にピッタリ合いそうな体型をしてる奴が今ここにいる。変な話だろ?』

なるほどな、神様の思し召しという訳か。神様の考えている事は解らぬものだ、聖剣と一緒に渡せば手っ取り早いと思うんだがな。

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