聖剣に選ばれたスライムは、魔物なので勇者失格です!?

アイララ

魔物は勇者になれません!?

『勇者様、よくぞ聖剣を抜いてくださいました。これで憎き魔王を打ち倒せます。ですが一つ問題がありますね、、、何故魔物の姿をしてるのですか?』

そう言いながら目の前の青年は、私の事をじっと見つめている。これにはきちんとした理由があるのに、失礼な人ね。

「光の神様が私をこの世界に連れてくる途中、邪魔が入って魔王の手で魔物の姿にされたの。それと、初めて会った人をじろじろ見るのは感心しないわ。」

『失礼しました。てっきり魔族から隠れる為に、魔物の姿をしているのかと勘違いしたので。それにしても本当に魔物が勇者になったのですね。』

本当にって何よ、そんなに魔物が嫌いなのかしら?確かに口では失礼とか言って謝ってるよ、この人。でも、さっきは嫌悪の目で私をじろじろ見ていたよね。魔物ってあんまりいい印象ないのかな。

「そうよ。だけど魔物でも魔王は倒せるし、なんの問題もないと思うけど。何か納得できない事でもあるの?」

『いえ、誰が勇者であろうと私は納得はしています。問題はこの世界の人間は絶対に、勇者が魔物である事を認めない事です。

発端は一年前、魔王が突然暴れ出してからです。魔物達は魔王の命令により、人間を襲うようになりました。

勿論、すべての魔物が命令に従った訳ではありません。しかし長い事友好的だった魔物が突如、襲い掛かったという事実は、人々を魔物嫌いにさせるには十分過ぎました。

なので、例え勇者であろうと魔物は迫害されるでしょう。当然、そんな状態で魔王討伐は不可能です。恐らくそれが、魔王が貴女を魔物に変えた理由だと思います。』

なるほどね、これは思ったより厄介になりそうだな。一応、魔王から何故か大量の魔力を貰ってるから、敵と戦うのは苦労しないはず。

だけど問題なのは、魔物の姿で人間達と一緒に生活できないって事。そんな事すれば当然人間達から迫害される。どうしよう、何かいい考えを探さないと、、、。

『(どうやらお困りのようね、勇者ちゃん。そんな貴女に光の神が便利な呪文を掛けてあげる。)』

唐突に聞こえる神の声。それと同時に、目の前にいる青年の左手から光が溢れ出した。

『この光は、、、なるほど、主従の呪文とな。私が勇者お付きの騎士になれと、そう聖剣は言っているのか。まぁ実際に声が聞こえる訳じゃないが。

それではよろしくお願いしますね、勇者様。その姿の事は、私の知識で何とかなる筈です。』

そうお付きの騎士になったという青年が、左手で握手してくる。私がそれに答えると突然、手を通して知識が流れ込んできた。

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