異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?

守村 肇

61 あんまり冒険らしいことしてないよね







ラノベの主人公、勇者系チートならもっと物理的にダンジョンクリアとかしててもいいと思うんだけど俺のステータスはこの世界に来た時からたぶんほっとんど変わってない。


だってなんもしてないからな。多少の打たれ強さとスルースキルはついたかもしれないけど。


エレーナをアリアさんに預けて2日目。歴代勇者の記録を一から洗うために王宮の地下書庫にいる。


フィーアは魔族だから入れられないってことでいないけど、ティタニアさん、ロスくん、リトとパキラがそれぞれ記録の洗い出しを手伝ってくれている。




「ティタニアさんのスキルとかも可視化できたらなぁ」


「そのへんの雑魚魔族なら剣圧だけで殺せると思うが」


「もしかしなくても味方もそこそこチートなのでは・・・」




ちょくちょく俺に向かって遠くから剣振り下ろしてたのって殺すためのイメトレなのかなと思ってたけど、検圧でマジで殺しにかかってた可能性出てきた。


忘れてた、この人俺のこと殺したいタイプのヤンデレだった。魔王討伐の話してるとみんな普通に会話してるから忘れがちだけど、オデット姫だけが敵じゃないんだった。エレーナ以外の女の子なんてみんな敵だった。




「ロスくんは?」


「僕はランス・・・槍がメインですけど、武器と名の付くものなら何でも使えます」


「言っておくがこいつは傾国だぞ」


「男なのに?」


「いや、美女を指してのそれでなく文字通り傾国させた」


「どゆこと・・・」


「昔はもう一つ国があって、僕そこの出身だったんですけど悪い意味で独裁的だったんで。むかついてこう、ぷちっと」


「ぷちっと」


「ぷちっとです」




むかついて、なんてレベルで国一つ滅ぼしたのこの子。超怖い。


っていうか改めて思うんだけど、パーティがすでにチートじゃん。俺いらないじゃん。そんでエレーナ帰ってくるんだろ?俺いらないじゃん。なんで勇者にされたの?どういうことだよ泣くぞ。




「ウタキ様は何を狙っておいでなのですか?」


「え、なに、そう見える?」


「歴代勇者様は脳筋…んんっ、筋肉で会話をするのが好きな方が多くいらっしゃるので」


「それ言い直した意味ある?」




おもくそ馬鹿にしてなかった?筋肉はすごいんだぞ、鍛えたら鍛えた分質も量も伴って応えてくれる!って高校のレスリング部の奴が言ってた。
俺から言わせれば2日構わなかったら「もうあなたとはいられないわ」って今までのことなかったことにしようとするメンヘラだけどね。




「俺は見ての通り貧弱だからね、正面突破みたいなのは難しいと思って」


「まあたしかに貧弱で脆弱で軟弱で最弱には見えますけど」


「ロスさんウタキさんに恨みでもあるっすか?」




リトが乾いた笑いを浮かべる。俺には心当たりなんてないので目を合わされたところで首をひねるしかない。いや、俺、ロスくんも結構脳筋だと思ったけど。




「まず、ロッタさんが言うには魔王は女だから多分会ってしまえば俺の勝ちなんだよね」


「ルートのこと知らなかったらすっごい腹立つこと言ってるっすね」


「お前女苦手だろ」


「まあ…」


「だけど、側近まで女ってことはないと思うんだ。何匹かボスがいたら男もまざってくるだろうし」


「あっ、じゃあそのあたりだけ僕らの出番ですね?」


「穏便にね、穏便に」


「いやですよ、派手にやりましょうよ」




王様が荒っぽいからといってた理由が何となくわかってきた。怖いこの子。言ってることが物騒。




「軟弱、お前何をそんなに構えてる?魔王戦に向けての調べものとは系統が違いすぎるぞ」


「俺が一番懸念してるのは食人鬼のほうなんで」


「? なぜだ?」




むしろなんで食人鬼にそこまで無頓着なの?



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