異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?
40 人妻というエロジャンルはあるけど彼女は人じゃないから(言い訳)
「陣取りに違和感、ね。ここの人間族は絶対言わないわ」
にこりとしながらタカミツ先生と俺を見やるロッタさん。最終的にその目線はリトに向いたもんだから「ぴ!?」とわけのわからん小声の悲鳴をあげてリトは俺の影に隠れた。
いや別にそんな目が合ったくらいで・・・なに、女の人だからなの?魔王族だからなの?
「ウタキくんの言うその違和感、きみはなぜその正体を知りたいんです?勇者だからですか?謎を解き明かすとかそういう・・・」
「いや、俺がただ気持ち悪いからです」
「うふふふっ、あなたやっぱりはっきり言うのねえ!知的好奇心を満たす行為、わたしは嫌いじゃないわ」
だって気持ち悪いじゃないか。
こんなに何もかもが知っているようでいて、ぜんぶ偽物みたいな世界。
ラノベのようなゲームのようなこんな世界。
食品サンプルとか和菓子で作ったお寿司とかそういう違和感。
本物っぽさはあるし限りなく本物なのにやっぱりなんか違う、そんな場所で平然としてられるほうがどうかしてる。
某ユニットも歌ってるだろ、自分の舌で舐めてがっつり噛みつかなきゃわかんねえって。
なら俺は口が開くだけ噛みついてみようってそう思っただけだ。まあ、それはクレオが引き金だから最初から俺の意志ってわけでもないけどね。(あと何度でもいうけど俺は男の娘は守備範囲だと思ってない)
「タカミツ先生、もし立派な椅子がチョコレートだったり、おいしそうな料理がかじってみたら砂だったらどうします?」
「それはまあ、用意した人にいたずらですかと問いかけますね」
「俺は今まさにそんな気持ちですよ。どっきりでも仕掛けられてるんじゃないかって。壮大な夢を見てるのかもしれないって」
ゴキブリ軍団のせいでどっきりの線は完全に消えた。だとしたら夢か。夢だとしても、現実だとしてもこんだけの期間この世界に居たらもうどっちでも大差ない。
「そもそもカタストロフ殿下がなぜお生まれになったかを知るべきね」
「でも魔王族は人間族より古い種族でしょう?」
「かといって無関係とはいえないわ。だって人間族が存在する前は私たちは絶対王者として存在していた種族だもの」
「食物連鎖のてっぺんってことですね」
足を組み替えてロッタさんは紅茶のお替りを要求する。
「坊や、あなた女に関して厄介なルート持ってるって言ったわね。なんとなくわかるわ、ぞくぞくするのよあなた見てると」
「ロッタさんルートだとしても俺のこと殺さないでくださいね」
「残念だけど私のゲームはもう終わってるから、他人のルートに干渉することはないわ。これはどっちかというと本能よ」
ロッタさんは透き通るような銀髪の巻き毛のショートヘアだ。マリリン・モンローを連想しても絶えればだいたいそんな見た目をしている。
セクシーの権化みたいな人が艶っぽくこっちを見てくるのはそそるものがあるけど、エレーナの話じゃ俺とこの人(人?)は40世紀以上歳が離れてる。
人妻寝取りジャンルは嫌いじゃないけど、どうやらこの人はルートにははいらないっぽいな。良かったような残念なような。
いや、うん、人妻にヤンデレられるって冷静にやばいよな、麻痺してきたなそろそろ。
「んふ、タカミツ先生もマスターもあなたも、そこの光属性の坊やも、まず歴史のお勉強を始めましょうか」
「え、なんでマスターまで」
「ああ、彼は5、6年前にこの世界に来たんです、ねえ、シンイチロウさん」
「マスターってのは寡黙にコーヒーいれるもんだろう?」
そういう後出しほんっっっとうにやめてほしい心臓に悪い。
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