異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?

守村 肇

38 勇者とか陰キャとかなんかもうどうにでもなれよって







「ひどいっすひどいっす!張本人がいないからって勇者御一行様みたいな扱いされたっす!」


「よかったじゃん」


「俺は戦うの怖い一般人っす!っていうかもみくちゃにされたっす!」


「もしかして人混みが苦手だったりすんのか?」


「女の人が苦手っす・・・」


「エレーナとかティタニアさん平気じゃん」


「知り合いはまあなんとかなるっていうか・・・」




フィーアのときも微妙に後ろにいたの、ビビってたのもあるんだろうけどあれはフィーアが女の子だったから怖かったのか。ちょっと納得した。
っていうかリトが来たことでシリアスムードはどっか行ったし、こいつロスくんに全部押し付けてきたってことだよな?なんてやろーだ。




「邪魔したのは申し訳ないっすけど!俺の!気持ちも!考えてくださいっす!」


「だが断る」


「うわああぁあぁウタキさんの鬼いいいぃぃ!」




泣き崩れているリトは放っておいて、さっきタカミツ先生は先代魔王と知り合いだったといってたな。そんでもって先代の陣取りは魔王が勝っている。思い出せてはいないようだけど普通じゃない何かがあったっぽいのもたしかだ。これは会ってみる必要がある。




「先生、先代の魔王に合わせてほしいです」


「彼女なら多分今の時間なら・・・ああ、ほら来ましたよ」


「まあ、貸し切り?私来てもよかったのかしら?」


「やあ、ロッタ。今ちょうど君の話をしていたところで」


「わたしの?あ、今代の勇者役の子じゃない。どうもはじめまして」


「え、あ、はい、はじめまして」




見た目は普通の人間・・・いや、羊のようなぐるりとうねった黒い角が生えている。恰好は黒を基調としたニットに脛くらいまでの長さのタイトスカート。ぱっと見は上品なご婦人、って感じだけど。




「わたしに聞きたいことがあるんでしょう?」




にっこり微笑むと先代魔王というその人(人?)は優雅な動きでソファへ腰かけた。マスターはスッと紅茶とミルクを目の前に置く。彼女はどうやらここの常連さんなようだ。なるほどな。陣取りが終われば敵味方関係ない、って話には聞いてたけどこういうレベルで日常生活になじんでいるわけか。そりゃ疑問だわ。




「改めて、先代魔王を務めていたロッタ―ルと申します、よろしくね坊や」


「不本意ながら勇者になったウタキといいます」


「ずいぶんはっきり言うのねえ」




毒気を抜かれたような顔で苦笑された。
タカミツ医師もコーヒーのお替りを頼むとカウンターからはいい匂いがただよってくる。俺のは冷たいやつだしまだ残ってるからいらないな。
くすんくすんと泣いているリトをパキラが笑いながら慰めている。いつの間にかマスターはオレンジジュースを出してくれたようだ。いい人だな。と思っていた矢先、




「さ、なにが聞きたいの?娘の攻略法かしら?」




待って今娘って言った?

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