異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?

守村 肇

17 そもそもこれはハーレム話である





「あーーーいやだぁああアァァ行きたくねええええぇぇぇぇ」
「やだちょっと、変なキノコ生やさないでよ」




クレオにかっこつけたはいいけど心の底からいやだ。こんないい天気の日はオンラインゲームでヘッドショットを決めるに限る。嘘ですそんなに上手くないです。
冒険物や戦記物は嫌いじゃない、というかむしろ好きな方だけど自分がやるってなれば話は別になる。当然のことだと思うしそうであってほしい。




「なんで俺あんなに自信満々だったんだろうな?」
「まあまあ、でもかっこよかったですよウタキさん」
「あらあら、随分仲良くなったんですね、焼けてしまいます」
「それ変換ミスだと信じてるからね俺」




やきもちなんて可愛いもんじゃない。物理的に焼かれる予感がする。




「今日はどうするつもりなの?」
「武器的なものゲットして一旦王様に会いに行くよ」
「あらあら、じゃあマロニエさんの鍛冶屋がいいですね」
「あとアリアさんのところかしら」




アリアさん、は確実に女性だろう。マロニエって植物の名前じゃなかったっけ。カタカナ名に疎い俺としては見当もつかない。
これから先、女の子と出会うたびに辟易としなくてはいけないのかと胃を抑える。リトの言葉を忘れたりなんて絶対できないだろう。
現実世界でならもっと楽しくキャンパスライフ謳歌して生きてたに違いないと思う。まあヤンデレってとこで色々詰んでる感じ否めないけど。




「じゃあ、多分今日そのまま街の外にでると思うから。いろいろとありがとな、2人とも」
「気をつけてくださいね」
「最期はわたしたちのとこに帰ってきてくださいね?」
「うん、俺、まだ死にたくないかな…」




エレーナ以外と話す度に言葉の端々に背筋がぞくっとすることがある。ヤンデレ、というには優しすぎるのかもしれないが死んでもなお女の子に寵愛される未来って想像したら怖すぎる。俺の剥製とかそういうこと?嫌じゃね?
あとヤンデレはヤンデレだけどみんな相互的に排除しようとしてるよね。これハーレムっていうの?俺の知ってるハーレムと違うんですけど。




「よっし、エレーナ道案内頼んだ」
「任せといて、なんかちょっとやる気になったのね?」
「んー、まあ、なんていうかちょっと思うところがあってさ」




ふうん?なんて楽しそうにエレーナは微笑んだ。くそう、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。

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