異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?
11 オディール王
「ほんと―にいいのか?部屋はいくらでもあるのに?」
「そうですわ、ウタキ様。わたくしウタキ様と一つ屋根の下に暮らせるんでしたら、ああ、そんな、夢のような、お慕いしているウタキ様のお着替えも、お食事も、湯あみもお掃除も、わたくしが毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日隅から隅まで」
「うん、怖いから遠慮しておく。ありがとう王様」
「どうしてですのおおおおおおっいやですわウタキさまあああああっ」
もう慣れた。慣れたくなかったけど慣れた。
オデット姫は発狂系でティタニアは殺しにかかってくるタイプのヤンデレだ。泣きそう。
王様の計らいで王室の空き部屋を貸してくれるってことだったけど、俺はこんな初期値で死にたくないよ。
「ウタキ、鍛錬をするのであればわしが付き合おう、いつでも申すが良い。相手になる」
「ありがとう、アシュタルさん」
最後までこの人だけがまともだった。アシュタルさんとエレーナがいなかったらすでにいろいろ諦めてたと思う。だって王室の人みんななんかおかしいもん。俺の計り知れない思考の世界で生きてるもん。
「城下に良い宿屋がある。話は通しといたから番号聞かれたら00390038って伝えるようにな」
「その数字だとなにかあるのか?」
「俺の、というか王の識別番号だ。俺のはまた別にあるけど。一般市民は知らないから内緒だぞー?」
いわく、ずっとそこにいてもいいしほかに気になる物件があったら勝手に移動してもいいとのことだ。まあそのためにはレベル上げとかをしてある程度稼がないといけないけど適当にほっぽり出されるより全然いい。ありがとうご都合主義。ありがとう優しい世界。
「宿屋まではエレーナが案内してくれるからな!」
「ずるいですわずるいですわずるいですわずるいですわずるい…」
「ふんっ、さっさと出ていけ軟弱者め」
怖い。
エレーナは乾いた笑いを浮かべている。なんかいると思って助けたやつのせいでこんなことになってるんじゃ災難だとしか言いようがない。職務を全うしてるだけなのに。
「エンジュっていう宿で、クレアとクレオって双子が切り盛りしてるんだ。母親が床に伏しててなー働き者だぞ」
「王様詳しいな」
「? 王だからな、民衆のことは把握しておかないとだろう?」
ちゃらんぽらんなようで、難しいことも当然のようにやってのけるのはさすがの一言に尽きる。めちゃくちゃ努力してるのかもしれないし、本当のカリスマかもしれない。俺にはわからないけど今後も頼ることは多そうだ。
「ありがとう王様、魔王倒して恩返しするわ」
「おう、頼んだぜーウタキ!」
気がかりなのはその双子が絶対女だろうってことだ。死ねそう。
「陛下、あなたは大丈夫なのですか?」
「んあ?なにが?」
「ウタキは出会う女性が余すことのくルートのようですが…」
「んふふ、まあ、そうだな。オデットやティタニアとは違って俺は外堀を埋めていくことにするさー。いずれウタキは俺なしじゃこの世界で生きていけなく…いや、もう帰れないくらいに依存してもらうさ」
「………………」
アシュタルは深いため息をついた。やっぱり。なにも大丈夫じゃない。
「あははっウタキの世界には、俺がいればいいよね…」
42代、王位継承者であるオディールは、成人まで男性生を学ぶことを求められる。男として、兄として振舞うのは、それが軍事学であり帝王学に繋がるためでもあり都合がいいからなのだが
「俺が成人したらウタキを伴侶にするね」
女性である。
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